38話 抑えられない愛しさが
愛玩動物と言えば、皆さんは犬と猫どちらが好きですか?
私は、猫です。犬は......昔手をガブっとやられたことがあるので、軽くトラウマです。
本編、始まるっス!
「み~る~あ~」
「一体、どうしたって言うのよ、ナツキ」
「えへへへ~何でもない~」
ミルアが命の危機から脱した日から、一日。つまり、翌日なわけなんだけど。私は、ミルアにべったりになっちゃっていた。自分でも、意識してわざとやってるわけじゃないんだけど......なぜだか、愛しさが抑えられない。もう、なんかミルアのこと好きだわ。同性として、なんか可愛がりたいというか、ペット感覚というか、愛玩動物と言うか、ネコっぽいというか。とにかくカワイイ。ずっとスリスリしていたい。
「何でもないって」
「いいからいいから~」
「私が良くないんだけど......ここ、町中だよ?」
そう、私たちは今、町中にいる。それも、食べ物屋さんが立ち並び、多くの人が行きかう商店街に。そんな商店街のどまんなかを女の子二人が歩いているさまは、結構絵になるらしくて、注目の的になってたりする。原因はそれだけじゃないかもしれないけど。
「なんか、みんなこっち見てるね、ミルア」
「当然でしょ、道の真ん中をほおずりしてる女の子二人が歩いてるんだから。私でも見ちゃうわよ、そんな人」
「そこは冗談でも『ナツキが綺麗だからだよ☆』くらい言って見せないと」
「何言ってんの、ナツキ。本当に、別人みたいだね」
そう、もう受け入れることにした。だって、ウジウジ言ってたって仕方ないし、今は女性として生きているわけなんだから、逆に都合がいいと考えることにしたんだ。せっかく異世界転生したんだから、今を楽しまなきゃ。例えば、今私はミルアにほおずりをしていい匂いとスベスベの肌を感じているわけだが、これが、私が男だった場合......結末は目に見えている。手に銀色の輪っかが付けられることになる。これは、私が女の子だから許されることなのだ。素晴らしい。
「ミルアは目を離すとす~ぐ危ないことをしようとするからね。だから、こうやって拘束しとかないと。ぎゅーって」
「こ、こら!抱き着くな!」
「ぐふふ。ええやないの~」
「ひゃっ!どこを触ってるんだ!?」
「ぐふふ、ここがええのんか?ここか?」
「ちょ、やめてよナツキ~!」
私がミルアとじゃれてると、周りの目はさらに強くなる。当たり前か。私が男だった時なら、ガン見して脳内メモリーに記憶させてただろう。
「目のやり場に困るな......」
「眼福......」
「目の保養......」
「ロリ百合......」
「岸壁......」
何か今、とても危険な言葉が混ざってたような。ロリだの百合だのは、人によってはとても不愉快な気持ちになる子ともあるらしいし。私は、理解があるタイプだけど。でも、心も女性になった今......分かることがある。ロリやら百合よりも、危険な言葉が混ざっていたことに......
「誰だ、今岸壁って言ったヤツ!」
「そうだそうだ!ミルアは岸壁なんかじゃないぞ!ほら、よく気を付けて触ってみると、ふっくらとしたふくらみが......」
「......╬」
ゴヅッ!
「いちちち......それに、私は胸は控えめな方が好きだし。大きすぎると、重くて肩がこるし......ちいさくてスベスベして......愛でれる!!!!」
「何をアンタは力説してるんだ!」
ゴヂンッ!!!
「はな‟がっ!」
「胸が大きい人から言われても、説得力ないんだよ!」
「いちち......まぁまぁ、ミルア。人は胸がすべてじゃないから。その証拠に、私はミルアのことが大好きだよ?」
「......ナツキは、恥ずかしいことを簡単に言うね」
「かんたんじゃないよ~ミルアだから、言うんだよ」
「ナツキ......」
「公衆の面前でいちゃいちゃしやがって......ありがとうございます」
「おい、だれか絵師呼んで来いよ。高く買い取るから」
「これが楽園か」
「私も姉さんと......」
私とミルアの絡み合いに、さらに人の目が集中していく。っていうか、最後のお姉さんガチな人じゃないか?ついていったら、どうなるか見れるのかな?き、きになる。ぐへへ。ぐへ、ぐへへ。やっぱり百合は素晴らしいなぁ。興奮するというよりは、芸術的な美しさがあるよね。その証拠に、昔の画家も女性二人が映っている絵を描くことがあったみたいだし。
とにかく、胸は控えめな方がいい。あれ、何か前にも同じようなこと言ったような気がするかも?ああ、たしか、リーナとあったばかりの頃もそんなこと言った気がする。やっぱり、胸で言ったらミルアだよね。お世話になった具合で言うと、リーナだけど。女の子はきゃしゃな方が良い。抱きしめた時に、腕が余るくらいの......そして、シルクのような触り心地!
「たまんないっスねぇ、これは......」
「ちょ、触り方がいやらしい!」
「ぶげ......ミルア、私の顔今どうなってる?」
「うぅん?か、かわいいよ?」
声が震えているんですが。まぁ、後でこっそりと顔面を修正しておけばいい話なんだけどね。一度記憶した顔はちょっと意識するだけど即座に変身することができるからね。便利!......痛みはあるけど。
「まぁ、いいや。よし。ミルア、冒険者ギルドに行って、さっさとクエスト報告しちゃおうよ!」
「そうだね。そのために、この町ウルミアに来たわけだしね」
「ギルドかぁ。私たち、まだFランクだもんね」
「そうだね。ハイドさん達は、Bランクだもんね。リーダーとモイナさんはAランクだし」
「私たち、まだ全然お金も無いし、地位もないよ」
「そうだね。私も、地位と力があったら」
Aランク冒険者といったら、様々な場所に顔が利き、色々な利益がある。例えば、普通に高難易度なクエストを受注することができる。あとは、身分証の提示が必要なくなる。有名鍛冶師にも、もしかしたらいい剣を打ってもらえるかもしれない。そして、レアアイテムの情報、それを取引する場の参加権利。オークションは冒険者ランクDからしか、参加できない。
「ミルア、私たち、必ず強い冒険者になろうね?それで、騎士になるんだ」
「ナツキ......そうだね。私たちなら、必ず出来るよね絶対に......絶対になって見せる。それで、見返して見せるんだ。私を、ただの無駄飯ぐらいとしか思ってないお母様を」
「私たちは、強くなれる。ぜったい、ぜーったいに!」
「ナツキ」
「なに?」
「ここ、冒険者ギルド前なんだけど」
「うん」
「いつまでキメ顔でポーズしてるの?」
「うん///」
私たちは、離しながら歩いて、もうギルドの前に到着していた。その前で、『絶対強くなれるキリッ』と言ってポーズをしてたわけなんだけど......声に出されると、妙に恥ずかしいね。なんでだろ。と、私とミルアがふざけあっていると。
「おいおいおいおいおーい。ここはお洋服やさんじゃないんだぜー?」
「あまっちょろいお子さんたちが来ていい場所じゃねーんだよなぁ」
「ちがいねぇなぁ。まだまくも破れてないようなお子様が、こんなところに何の用だァ?」
ギルドから出てくる、三人ほどの男たち。格好は......どこの世紀末かと疑いたくなるような恰好をしている。モヒカンって。
「うっわ、最低ね」
「ナツキ、無視した方が良いわ」
「怖くて目も合わせられましぇーん」
「ぎゃははは!」
うるさいハエだなぁ。そんなにハエ叩きで潰されたいのかな?こういうイキリ冒険者に限って低ランク冒険者だから困る。一体どうしたら黙ってくれるんだろうか。
「......」
「......」
「無視してんじゃねえぞコラ!てめぇらみてぇな、遊びで冒険者になるような奴らが冒険者全体の品格を落としてるんだよ!」
「おーい子供相手に向きになるなよぉ」
「意味ねぇって、こんなガキ相手にしたって」
「そうそう、男にかまったって、得の一つもありゃしねぇってぎゃはははは!」
むかっ。さっきから人の身体的特徴とか年齢をいじりやがって。しかも、何だその汚くて品のない笑い方は。私の事だけならまだ許したけど、ミルアのこともいじりやがって。ミルア......悔しくて涙目になっちゃってる。......許さない。絶対に許さない。
「この......」
「おお‟?なんだ嬢ちゃん、まさか、俺とやりあおうってのかぁ?」
「ぐへはははなり立て冒険者の特徴だな。自分の強さを過信してる」
「俺らはランクDだぞ?お前ら、ランクFだろ?」
「かかってきなよ、オッサンたち。まとめて相手になってやる」
「ちょ、ナツキ~?」




