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37話 無事に、何事もなく帰ってきました

サブタイトルって、やっぱり話の内容を細かく示したものなんですよね?

それ、すごく難しくないですか?他の人達はどうやってるんだろうなぁ


本編、はーじまーるよー!





「ハイドさんから聞いたよ?ナツキ、寝たっきりうなされてたって。しかも、腰の剣に手をかけ始めるから大変だったって。」

「寝たきり?夢?」

「......で、ハイドさんが申し訳なさそうにしてたんだけど、あまりにも腕の力が強くて危険だったから、腕を折ったって。そのすぐ後に力が抜けて、治療して......ってことらしいわ」


腕の骨を折った?いやいやいやいや。ちょっとまって?理解が追い付かない。えー......っと。つまりは、今までのは全部夢で、ミルアは生きてるって事?私が自殺したのも夢で、生きてるって事?え?え?え?でもちょっと待って?どこからがゆめで、どこからが現実だったの?ミルアの、歩けなくなるとか、剣を握れなくなるとかは?


「私の怪我は、レジーナさんが全部治してくれたよ。神経とか、筋とか、筋肉とか、骨とか血管とかもぜーんぶ治してくれたの。」


つまりは、ハイドさんに寝てろって言われてからあったこと全部夢だったって事?じゃあ、歩けなくなるとかも、剣が持てないとかも、激しい運動が出来ないとかも、冒険者活動が出来ないとかも、全部ぜーんぶ夢だったの?


「そんな。あんなに......酷かったのに。」


流石に、「あんなにぐちゃぐちゃだったのに」とは言えず、少し表現を濁す。すべてが夢だったという事への安堵感ももちろんあったが、それに勝るぎもん。あれほどの怪我を......指が欠損していたけがを元通りに、太ももの傷口から色々出ていた筋とか筋肉とか血管......それを元通りに。......人間技とは思えない、まさに神業。


「あの人たち、結構有名な冒険者なのよ?」

「でも、あんなにすごい傷を完璧に直しちゃうなんて。普通じゃないよ」

「そりゃそうよ。ハイドさんは、凄まじい観察力や危機察知力、戦闘力で、斥候と戦士を引き受ける。その暴れっぷりは、見た魔物が恐れて逃げ出すほどだそうよ。イザグドさんは、剣の技量と少しの魔法、そして、知識で他を寄せ付けない圧倒的な力を発揮する。レジーナさんは、圧倒的な魔力と使用できる魔法の数を有していて、同時に発動できる魔法は、十にも上る。その魔法の量によって、敵はあっと言う間に穴だらけになる。モイナさんは、膨大な魔力と知識によって組み合わされた複数の魔法で、周囲を灰燼と化す。彼女を本気で怒らせると、一軍隊すらも丸々消し去る。その魔法が放たれた後は、生物はもちろん植物すらも棲めない死の地になるそうよ」


......Bランク冒険者って、そんなにすごいの?そういえば、私たちを簡単に瀕死にしてくれたクモも、ハイドさんは「リーダーとモイナなら心配ない」と言っていた。それほど、信頼できる強さなのだろう。いや、それにしても、三人の説明はまだ分かる。知識、魔力量、力、技量。それを使って、圧倒的な力を。でも、モイナさんだけ、格が違い過ぎないか?軍隊を丸々壊滅させて、生物が住めなくなるなんて、まるで核兵器のようだ。


この世界は、魔族側の国が一つ。人間側の国は三十以上。正直、人間側の国の数なんて把握してない。あの事件があって以来、人間に何て興味はない。最初は人間のご飯が恋しくなるかもなんて思ってたけど、全然そんなことないし、むしろ魔族側のご飯はすごくおいしかった。まぁ、それは置いておいて、人間の国は複数に細かく分かれている分、一国家当たりの所有領地が狭い。この世界では十分すぎるほど十分なのだろうけどもし、もし仮に、大規模な農場や鉱山をモイナさんの魔法で潰せたら?それが本当に、核分裂、核融合反応を利用して発生する核爆発なのだとしたら、この戦争、間違いなく魔族側が勝てる。


農場を潰せば、小麦や稲、ニンジンなどの作物が取れなくなり、食料の価値が上昇する。もちろん、家畜のえさは農場で作ってるため、育ちにくくなっちゃった肉の価格も上昇するだろう。鉱山も、人が立ち入れなくなれば、鉄鉱石や錫、銅などの鉱石の価値もあがるだろう。


そういう市場の値動きの仕組みは良く知らないけど、国のお金はどうなるんだろう?装備と食料にお金がかかりまくるから、戦争とかも難しくなるんじゃないかな?物の価値が上がると、どうなる?貨幣が足りなくなって、造幣するしかないだろう。なら、貨幣の価値が下がる。貨幣の価値が下がるってことは、○○国の銀貨は価値が下がっているから......取引で、普通よりも多く銀貨が請求される?だめだ。全然わからない。結局、どんどん悪循環に陥りそう。


「ま、そんなこと考えても仕方ないか」

「ナツキ、どうしたの?」

「どうしたのじゃないよ!本当に.....死ぬほど心配したんだから!」

「また急だね......それについてはごめんって。」

「もう二度とあんなことしないで!」

「私は、ナツキが死にそうになったら何度でもやるよ。自分が死にそうになってもだけど」

「やめて。......ほかに方法があるから」

「......どういう事?」

「今は説明できない」


さっきまで見ていた夢で、秘密を打ち明けないリスクについては十分に理解することができた。だけど、この秘密は簡単に打ち明けていいほど生易しいものじゃない。......ミルアは、仲が良かった叔父さんを人間との戦争で亡くしてる。それ以来、人間には嫌悪感があるそうだ。......簡単に、打ち明けていいものじゃない。


「それにしても、随分女の子らしい言動になったじゃない。私、ナツキが急に泣き出すからびっくりしたよ?」

「............」

「ナツキ?おーい、ナツキ?」


何気なく、何の意図も含まれていないであろうミルアの無邪気な言葉で、秘密について考えていた頭が急に冷却される。女の子らしいふるまい?()がいつそんなことを......?いつから......いつからだ?そういえば、この変身能力は、細胞や組織情報、遺伝情報までもまるっきり違うものに書き換えることで行える技だったはず。だったら、女性ホルモンや男性ホルモン、生物的本能のようなものも、書き換わるんじゃないか?本能的に、女性らしい動きをしてた?


「軽くホラーだな」

「ナツキ?」


無意識のうちに、こういう振る舞いが出来るようになったことは、むしろ喜ばしいことなのだろう。不自然感が無くなり、怪しまれることも少なくなるという事なのだから。でも、無意識(・・・)それが怖い。しかも、急にだ。練習の結果、それが体に染みついて出来るようになったというなら問題はないだろう。だけど、急に。急に女性らしい動きをするようになった。何の前触れもなく、無意識のうちに。......元の自分という存在が、急に薄れていく。でも、俺が私に......俺?


「ちょ、ちょ、ちょ」


俺の元の顔、どんなんだっけ?


「ナツキ?顔が真っ青だよ?」


ちょっとまってくれ。記憶は残ってる。ここに来る前に生活してた記憶は残っている。だけど、自分の顔だけ思い出せない。自分の顔はどんなんだっけ?容姿端麗だったのは覚えてる。だけど、どんな顔の構成だったかは全くと言っていいほど思い出せない。


「いや、なんでもないよ。ちょっとつかれただけ。」

「そう?」


私の顔を覗き込んで心配するミルアを安心させるため、嘘をつく。何でもなくなんてない。一体どういう事なのか?もしかして、使い過ぎた副作用?だとしたら、マズいかもしれない。


「かえろ、ナツキ」

「そうだね、ミルア」


そうだ。落ち着け。どっちみち、今回は成功なんだから。だって、ミルアも無事に帰って来たし、私も自然な振る舞いが出来るようになった。それに、よく考えてみたら、前の世界の元の顔を思い出せなくなってもなんら困ることはない。なぜなら、新しく作ればいいんだから。それに、前の世界の記憶がなくたって、私が困ることなんてない。この世界にはケーキもあるし、スイーツもある。私が開発しなくても、十分に地球時代の食べ物を堪能することができるんだ。


「帰るの、めんどくさいなぁ」

「ねー」


帰り道も、何か起こると思っていたが、何も起こることはなく無事に近くの町につくことができた。身構えてたから、なんか損した気分だ。でも、余計に疲れちゃったけど、何も無い方が良いよね。危険は少ない方が良いって、今回痛いほど知ることができたから。教訓を得たことはともかく、今夜はよく寝れそうだ。疲れもピークに達していることだし。





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