34話 ねぇ、起きて、起きてよ......
今回はこれでいいんじゃないかな?タイトルは完璧に内容を表してるし。
え?はっきりとあらわしすぎて、ネタバレに近くなってるって?
......ではでは、本編参りましょーう!!!
頼むぅ~、ミルア、早く起きてくれ!いや、ゆっくり休んでても良いから早く起きてくれぇ。この私以外白井人って言う状況が全く理解できないよぉ。しかも、なんか良く分からない話始めちゃったみたいだし。全然話しについてこれないよ?
「それが、クモを倒したとき死体とかが一切現れず、文字のようなものに解けて消えていったの。私は、その文字が【失われた魔法文字】なんじゃないかと思っているの」
「「ロストルーン?」」
「ロストルーンって言うのは、記述から消えてしまった古代のルーン文字。だよね、姐さん」
「説明ありがと、レジーナ。そう、レジーナの説明に追加するけどロストルーンは強力な効果の者もあって、昔の王や代表たちが平和の為に、封印したとも伝えられてるわ。今では、その封印を解こうと研究者たちは血眼になって研究してるってワケ。」
姐さん?レジーナはモイナさんのことを姐さんと呼んでいるのか。......そう呼ぶことになるまでに、一体どんな経緯があったのだろうか?
「封印か。だが、平和のために封印したって言うなら、そのままにしておいた方がよくないか?」
「そうね。でも、封印は全てを一度にしてしまったから、便利な物とかも無くなってしまったらしく、それを解除するのに躍起になってるらしいのよ。」
「なるほど......だが、便利といっても安全の方が優先だろう。便利になったところで危険が増えてたら意味がない。」
「そうなのよねーだけど、国のお偉いさん方はそういう考えじゃないらしく、封印解除を最優先に研究を進めてるのよ。『これがあれば......!』っていう場合がおおいのね、きっと。」
「しっかし、今回のヤツが古代文字の遺物だったとはな......」
「なんだ、知ってたんじゃない。」
「まぁな。ハイドのヤツは知らなかったみたいだからな。一人だけじゃ寂しいだろ?」
ハイドをバカにするように放たれた言葉は、容赦なく心をえぐる。
「うっ。しかしなぁ、知ってるだろ?俺が、腕力しか取り柄がない筋肉バカだってこと」
「いや、とっさの判断は俺も評価するぞ。お前の危機察知能力と瞬間判断能力には驚かされるものがあるからな」
「そうね。それは、確かに高く評価してるわ。何度も、危ないところを助けられてるし。」
「私も、そう思う。自分のことをそんなに卑下することはないと思う。」
今度は、打って変わってみんなでハイドのことを褒めまくる。やはり、ここまで生きぬき、お金と名誉を得てきただけのことはある。逆に、その能力がないと、この冒険者と言う世界を生き抜くのは困難と言うワケだ。
「うう.....皆、俺のことをそんなに褒めてくれるなんて」
「何言ってんだ。俺たちは、仲間じゃねーか。仲間のいい所の一つや二つ良い所を見つけられなくて、どうするってんだ」
「そうよ。私たちは仲間なんだから、互いにいいところ、悪い所を指摘しあって成長してけばいいのよ」
「姐さんの言う通り」
「ううぅっ。皆ぁ」
ところで、私はと言うと。
(うわぁ。なんだよこれぇ。余計居づらい雰囲気になっちゃったじゃーん!!私はどうこの雰囲気の中で行動すればいいんだろうか?ああ、あれか?私も、『そっ、そうですよ!ハイドさんは私を助けてくれたし、良い人ですよ!』とでも言うのか?よくラノベである、『いや、そういう事じゃないんだよなぁ。だけど、なんかカワイイ(ほっこり)』みたいな雰囲気に持っていくのか!?)
何か良く分かんない思考に捕らわれていた。何言ってんだろう。冷静に分析してる私と、慌ててどうすればいいかわからない私がいる。いやいや、マジでどうするんだよこの状況。......なんか、数分前から同じようなこと言ってる気がするな。
「そっ、そうですよ!ハイドさんは私を助けてくれたし、良い人ですよ!」
「うぅっ、名前知らんけどありがとうなぁ、新米冒険者ぁ」
「新米冒険者って呼ばないでください!」
「本当だよ、ハイド。デリカシー無い」
「本当か!?俺、そう言うのダメだ。やっぱ、わかんねぇなぁ......」
がっくりと諦めたように肩を落とすハイドさん。う~ん。なんか、余計変な方向に行った気がする......。っていうか、言わないって言う方向で決着がついてたような気がするんだけど、何で言っちゃったんだろうか?まぁ、いいや。どうせ、この混沌な雰囲気と状況をどうにかするには微々たる変化だし。
(ああ、もうどうにでもなれ。この面倒くさい雰囲気も、あと数時間したら収まるだろ。この人たちも人間なんだし、夜になったら休むだろうから)
「まぁ、私たちが町とかで情報収集しているときに素振りしてるのは違うんじゃないかな、とは思うけどね」
「そうそう、俺らだって、もともとロストルーンについて知ってたわけじゃないんだぜ?それなのに、調べ物を始めようとすると、ハイドはいつもどっかいっちまうじゃねーか」
「姐さんとイザグドの言う通り」
「皆ぁ....」
今度はぼろくそ言うんだね。まぁ、勉強しなければ、知識は身に着けられないからね。生まれつき何もかも知って生まれてくる人なんていないんだから。
「お前は呑み込みが早いんだから、勉強すればすぐに身に着けられると思うんだけどなぁ」
「そんなこと言ったって......」
「お前の方がレジーナよりも解体を覚えるのは早かったんだろ?」
「それはそうですけど....」
「え、それ本当ですか?」
「不本意ながら、本当」
マジか。どちらかと言うと、レジーナさんみたいなしっかり者タイプが一番何でもこなしちゃいそうなイメージがあるんだけどな。まさか、脳筋で力バカで、魔物の群れを見たら真っ先に突っ込んで行きそうなハイドさんが、覚えが早くて、何でも出来ちゃうパターンだったなんて......
「あははっ!その認識は間違ってないわね」
「くっ、くくっ....面白いことを言うじゃないか」
「ふっ。ふふっ。ハイド、残念」
「えっ、えっ、ええっ?」
どうやら、思ってることを口に出してしまっていたようだ。ああ、まためんどくさいことに。この空間には、何か別の力が作用してるんじゃないかって疑ってしまう。
「新米、俺の事、そういう風に思ってたのか。命の恩人ですとか言われたときは嬉しかったのになぁ。どうせ、俺が喋ってるときも、『何この筋肉。喋れるの?脳みそまで筋肉でできてたら、喋れないと思ってたのに』とか考えてたんだろ?」
なんだそれ。ぷくくっ。そのシーンを思い浮かべたら、なんか笑いが込み上げてきた。喋る筋肉って!ぷくくく!だめだ、笑いをこらえられない!
「あははは!なんですか、喋る筋肉って!考え過ぎですよ、ハイドさん!そんなこと思ってる人、居るわけないじゃないですか!」
「あははははっ!たまにはハイドもユニークな冗談を言うのね!今のは中々に面白かったわよ」
「お前、自虐ネタにまで走るようになったのか。ようこそ、自虐の世界へ」
「ふふっ、ふっ。ハイド、面白い」
私が笑ったのを皮切りに、天幕内にいるハイドとミルアを除く全員が笑いだす。
「なんだよぉ!笑うなよぉ」
「あ、ハイドさんがいじけた!」
「あはははははっ!もう、最高!」
「ぶぐっ、くくくっ!」
「ふふふ、苦しい、ふふっ!」
なんか、いいなぁ、こういうの。絆でガッチリつながった仲間との、コミュニケーション。私たちは、まだ死線を切り抜けてきたわけじゃない。今回のは死線にカウントしてもいいと思うけど、今回が初だ。まだ、ミルアとはお互いを知り合って、知り尽くしているわけじゃない。だから、お互いのことを知り合った仲間同士での軽いふざけあいが、どうしても輝いて見える。
ミルア.....起きてよ......




