33話 先輩、かっこいいっす。まじ輝いてるっす。
今回のタイトルもよく考えた挙句、意味不明です。
グヴォォォォォォォォォォォ!!!!!!
「いやぁぁあああああ!!!!ナツキ!ナツキィ!助けて!助けてぇ!!!」
「ミルア!?ミルアぁ!!待ってて、今助けに行くから!」
グヴォォォォォォォォォォォ!?!?!?
「こないでっ!このっ、化け物!やめろっ!近づくな!」
「今、助けに行くから!!!」
「来ないでっ!この......汚らわしい人間っ!」
「え?」
「はっ!?」
最悪だ。最悪な夢だった。バカでかいクモに襲われていたミルアを助けようと思っていたら、いつの間にか状況が変わってて、私が人間だということがバレてた?しかも、拒絶されてた......?
「ん?起きたのか。全く、俺らが通りかからなかったら死んでたぞ。デカいクモの化け物にかじられてる所を保護したんだからな」
「あなたは......」
「俺はBランク冒険者のハイドって言うもんだ。一応、このパーティーの副リーダーをやってる。で、こっちで横になってる無愛想な奴がレジーナだ」
「副......リーダー......」
まだ頭痛でボーっとしている頭で、今入手した情報を整理する。男の人、茶髪、短髪、こげ茶の瞳、浅黒い肌。Bランク冒険者、ハイド。冒険者パーティーの副リーダー。
女の人、青髪、濃い青の瞳、白い肌、貧乳、とんがり帽。Bランク冒険者、レジーナ。......この人たちが通りかかってなかったら死んでた?今自分のいる場所は、テントのようなものみたいだ。天幕と言うヤツだろうか?
「ミルアは!?」
「一緒にいた、かじられてた女の子の事か?それなら、治療が終わってそこで休んでいるが......」
「ミルア!......ほっ」
横になってるミルアを見つけ、一安心する。しかし、治療したと言っても未だ包帯だらけで、それには血がにじんでいる後も見つけられる。自身のファイアーボールは太ももと指、手のひらに大きな損傷を引き起こし、さらには、クモにまでかじられていたらしい。......正直、生きていたのが奇跡だと、ハイドさんに言われる。ミルアは、夢の中で戦っている最中なのか、表情は険しく、額には大量の汗が浮かんでいる。
「ミルア......私のせいで......。ごめんっ!ごめんね......」
「あの場所を見れば何があったか大体は察しが付くが、直接、アンタの口からきかせてくれ。......一体、何があったんだ?」
「私とミルアは、低ランクのクエストを請けて、ここに来ました。私たちはまだ冒険者になりたてでランクも低かったので、低ランクにしたんです。だけど、低ランクだったって言う情報は間違ってて、大きなクモみたいな魔物が......。行きはやり過ごしたんですけど、帰りに捕まって......それで、ミルアが無茶をしてあんなことに......」
俺は、副リーダーのハイドさんに事のいきさつを説明した。大体大まかなことだけを説明し、クリピについてのことは伏せることにしたのだ。だけど、説明の中間に明らかな空白が開いてるし、依頼内容についても言っていない。もし、本当に聞きたいのであれば、確実に気付いて聞いてくるだろう。
「クモの魔物?どうして、慎重に行動しなかったんだ」
「私とミルアは、このクモは魔導兵器だという結論に至ったんです。よく考えれば分かったことなんですけど、その時は謎が解けたって興奮してて......」
「ゴーレム?なぜ」
「......ミルアは、ここである発見をしたんです。ある有名な方たちが書いた本と、一致するものが存在するって。それで、仮説を立てたんです。クモは、そこに立ち入る資格をテストするゴーレムだったんじゃないかって」
「なるほど......確かに、その仮説は俺でも考えるかもしれない。」
納得したようにうなずき、俺の考えを肯定する。
「しかし、なぜ他の可能性も頭に入れて行動しなかったんだ?」
「え?」
「だって、そうだろう。冒険者は、命がいつだってかかった職業なんだ。だったら、様々な可能性を考え、考慮し、行動しなきゃならない。自分の命は軽いかもしれないが、友達、知り合いの命は重い。自分が思ってる人の命は重いんだ」
「すみません......」
「俺に謝ったってしかたないだろう。謝るならこの子に。だけど、謝るだけはダメだ。鍛錬をして、悔しさ、恐怖を胸に刻み、絶対守ると。そう決めて、絶対に守る。」
「......」
そのBランク冒険者、ハイドさんの言葉はあまりにも重く、強いものがあった。それは、まるで自分も同じことを経験したかのようで。それを乗り越えてここまで強くなってきたみたいで。最高にかっこよくて、最高に輝いて見えて。
「ハイド。ちょっといいすぎ。この子萎縮しちゃってる。」
「お、レジーナ起きたのか。」
「おきた。それより、大丈夫なの?」
「ん?何がだ」
「その子。様子が変。」
「あ?」
何を言ってるのか良く分からないという風に、ハイドさんがこちらを向く。
「......!」
「おい、大丈夫か?」
「は、はいっ!?大丈夫ですっ!」
頭がぽけーっとして集中できない。何だろう、熱でもあるのかな?それにしては、なんでかすごく嬉しくて楽しい気分。
「......顔が真っ赤になってるぞ?熱があるんじゃ」
すすすっとこちらに近寄り、私の額に手を当てようとするハイドさん。ちょ、近い近い近い!!!整った顔が近づいてくる!!きゃー!?!?!?
「だだだだだいじょうぶです!?!?」
「......?なら、いいんだが。」
「ハイド、鈍い。」
「は?いっつも無感情なお前には言われたくないんだが。」
「あはは......。それより、他の皆さんはどうしたんですか?」
熱くなった顔を、手でパタパタ仰ぎながら、質問する。見た感じ、この天幕内には私とミルア、ハイドさんとレジーナさんだけ。私たち二人はパーティーメンバーではないので、私が見たハイドさんのパーティーメンバーは、今のところレジーナさんしかいないというわけだ。
「ああ。リーダーと魔法使いはクモの討伐に行った。」
「あのクモですか?」
「ああ。お前らを襲ったあのクモだ。」
「大丈夫なんですか?あのクモ、かなり強かったと思うんですけど......」
「大丈夫。リーダーとそのお魔法使いはランクAだからな。心配はいらないと思うぞ」
「アレは化物。魔族をやめてる。心配するだけ無駄。そんなことより、さっきのゼルフィード様の受け売り?」
「ん?ああ。俺が新米の時言われた言葉だからな。あのとき、ゼルフィードさんは既にSランクだったからなぁ。」
「ゼルフィード様って、現代のペルセウスと呼ばれている冒険者の......?」
この世界には、例えにできる英雄がペルセウスしかいないのかなぁ......なんて、くだらないことを考えながら質問する。
「そう、そのゼルフィードさんだ。俺が新米の時、今のお前みたいに命を救われてな。その時、教えてくれた言葉なんだ。その時は、残念ながらレジーナしか助からなかったが......」
「......昔の話」
「なんか、すみません」
一瞬でお通夜ムードになってしまった天幕の中で、空気を悪くしてしまった原因の私が謝る。
「いや、いい。お前のお陰で、昔のことを少し思い出せた。ありがとうな」
「そう。あの頃が懐かしい。」
二人が、落ち込んでしまった私の事を見て、慌ててフォローを入れてくれる。じーん。優しい先輩たちだぁ。と、そういうやり取りがあった後は特にこれといった出来事が起こるわけでもなく。何となく、発言することも出来ず、時が流れていく。
チクタク。チクタク。チクタク。
ハイドさんの傍に置かれた時計が、音を奏でる。きまずい。何だこの雰囲気。圧倒的に気まずいなぁ。だれか!助けて!話し相手が居ないせいで、本気でミルアを起こそうか検討し始めた時。
バサッ。
天幕の入り口をめくる音。だれかが、天幕に入ってこようとしている。ささっと、ハイドさん達が身構える。
「いよぅ。すまんな、遅くなった。」
「リーダーが凡ミスばかりするからです。」
「仕方ないだろ!?あんなデカいの、久しぶりに戦うもんだから手こずって。しかも、アイツ、俺のキライなスピード、パワータイプだったじゃん!!」
二人の男女が天幕内に入ってくる。会話の内容から察するに、おそらく、この二人が残るメンバーだ。リーダーと、魔法使い。なるほど。見た感じによると、このパーティーは魔法使い二人と戦士二人で構成されているらしい。
「お疲れ様です、イザグドさん。......で、倒せました?」
どうやら、このパーティーのリーダーは、イザグドと言うらしい。なんか、呼びにくい名前だなぁ。だけど、格好は、まさにイザグド!みたいな、赤髪短髪の長身イケメン男子だ。たしかに、これはイザグドっぽい。
「私も気になる」
「倒した......と、おもう。」
「どういうこと?」
「レジーナ、信じれないかもしれんが......クモ魔物は、俺が殺ったと思った瞬間、へんな文字みたいのになって消えちまったんだ。」
「......文字?」
「ああ。」
「で、モイナ。なんだったけ?」
この魔法使いのお姉さんは、モイナさんと言うらしい。こちらもまた、微妙に噛みそうな名前だ。だけど、その容姿は素晴らしく、レジーナがカワイイ女の子という風なのに対して、こちらは、美しいグラマーなお姉さんという感じだ。黒髪で、長髪。とんがり帽。
なんか、凄いこんとんとして来たなぁ。私、この状況で一人だけなんだけどなぁ。どうすればいいんだ?ねぇ、ミルア~助けてよ~早く起きてぇ。




