30話 超神秘的!【緑の楽園】
今回のタイトルは、一分ほどで決めたのでそのまんまです。え?いつもそのまんま?
......さ、本編まいりましょうか。
「んがががががぁあああああああああ!!!!」
「うわぁぁぁぁぁあああああああああ!?!?!?」
やはり、女の子らしくと言っていたミルアも、この状況では女の子らしさなどかなぐり捨てて走っていくようだ。当然か。しんだら女の子らしくもくそも無いワケだし、第一、ここには俺しかいないわけだ。あれ?つまりは、俺もミルアの前では女の子らしくする必要なくね?あれあれ?
「ちょ、何処まで追っかけてくるんだよ、このクモはァァァ!!!!」
「ちょっとナツキ!大きな声出さないでよ!今耳凄い良くなってるんだから!」
「んなこと言ったってなぁ!これ、どうしようもねーからね!?叫びでもしないと、不安で不安で仕方ないんだよ!!!」
「そりゃ解るけど、耳痛いんだよ!今真なる吸血鬼の能力使ってる最中なんだから!」
そう、なんとミルアのやつ人間の血を携帯してやがったのだ。何だよ持ってるなら最初から使えよ。って思うじゃん?でも、そうはいかないらしい。理由は、曾祖父の代から保存されてきたものだというのと、保存されているのはこの一瓶だけだったというわけだ。瓶の他に手紙も入っていたそうで、それには『何かがあった時の為に。友からの贈り物。』と、書かれていたそうだ。
「大御爺様も、人間のご友人が居らしたのなら、教えて下さったら良かったですのに!」
「そんなこと言ってる場合じゃないぞ!?って言うか何その喋り方!違和感すごっ!!!」
「うるさいわね!」
「本当にお嬢様だったのかぁ.....」
まさか、マジでお嬢様だったとはなぁ。たしかに、お嬢様っぽいところはあったにはあったけど......立ち居振る舞いが上品だったし、言ったら俺にいつも注意してたのはそういう事だったのか。私は三流貴族の娘とか言ってたけど、ぶっちゃけ信じてなかったからなぁ。
「今はそんなこと言ってる場合じゃないって言ったのナツキでしょ!?とにかく、ホラ走る!!!」
「う!お!あ!ちょ、追いつかれてるけどミルア速い!!!」
「ちょっと走る速さにまで気を回してる余裕ないから!!!頑張って付いてきて!」
ミルアは、今純血の吸血鬼の力の一つ、超音波を使っている。超音波を使って、何をしているか。それは、周囲の地形把握。つまりは、超音波を飛ばして、跳ね返ってくる音波を観測して、地形を把握しているというわけだ。超音波を使う動物と言えば、コウモリ、そしてイルカ位ならぱっと思いつくと思うが、その動物たちと同じ使い方をしている......と思う。良く分かんないから詳しくはググってくれ。
「ちょっと!もう!限界!何ですけど!!!!」
「解ってるからちょっと黙ってて!!」
「まだ!見つから!......っはぁっ!ないの!?!?」
「もう少し!こっちからあの匂いがする!それに、反響が散らばってるから......」
「匂いかよ!って、なに?拡散?」
「そう!多分もう少しだからそれまで我慢して!」
「~~~~~~~っ!!!!解った!!!!!!!」
死ぬ!マジで!出る!色々出るから本当に!マジで!ああ、なんかもう疲れすぎて周りが暗くなってきた。ああ、なんだか気持ち良くなってきたなぁ。
「はっはっはっ......」
「......ちょっとナツキ?大丈夫?え、ナツキ?ちょっと」
「はっ......ふっ......」
「息!速く息を吸って!ほら!酸欠よ、ナツキ!」
「はぁ......も、ダメ。おいてっ......て」
「バカ、ナツキ!速く立ちなさいよ!?」
「むり......」
もう、目の前は何も見えない。声もあまりよく聞こえない。頭がふわっとした感じで、ふらふらする。苦しい。苦しくない。感覚がない。怖い。良く分からない。今、俺はどんな体制をしている?座ってる?倒れてる?立ってる?歩いてる?走ってる?ああ、駄目だ感覚がない。声も聞こえなくなった。目の前に蛍がちかちかして飛んでる。うぷ。ダメだ............
「うぉげるろっぷ」
「ちょ、ナツキ!吐かないでよ!?」
「ああ......?うっ、頭がズキズキする......」
「そりゃそうよ。アンタ、脱水症状が出てぶっ倒れたんだから。だから、水分補給はこまめにとりなさいって......」
「いや、ミルアがめちゃくちゃ早く走ってたからだろ。自転車なら余裕で抜けた速さだよ、あれ」
「ジテンシャ?......よく分からないけど、ごめん。」
そうかぁ。自転車、この世界にはないのかぁ......じゃあ、何て例えたらいいんだよ。そこそこ早くて、この世界の人なら全員知ってるような動物、または魔物......
「フェルコンドル位なら抜かせたね!余裕で!」
「間違いないわ、本当に。」
ほらね。トーク力のある人なら、その場にいる全員が納得して理解できるような例えを出せるもんなんだよ。俺みたいに、例えがうまい奴ならね☆
「それより......」
「ええ」
「ここって......例の?」
「そう。ここが、例の場所。クリスタルピール群生地、通称【緑の楽園】よ!」
「なんじゃそりゃ。ここにそんな名前付いてるわけ無いし......まさか、ミルアがつけたん?」
「いや、そんなわけないでしょ!」
「じゃあ、どういう事だよ?」
「言ったでしょ、私はこの冒険の記述が一番信憑性があるって。その理由は他にもあって、私が発見したクリピ群生地について、この本に書かれてるのよ。詳しい場所を指し示す地図もあって、【緑の楽園】って名付けられてるの」
「地形が似てるって気が付いて、試しに行ってみたらドンピシャってわけか」
「そういう事」
なるほど。そういう事なら確かに信憑性がある。あの、『物事を証拠無しに断言しない選手権一位、優柔不断を嫌う人選手権一位のミルア』と呼ばれるミルアが断言するのもうなずける。ミルディラーダ様主催の大会で総合優勝してるからね。うそです。そんな大会ありませんでした。ミルディラーダ様は本当に居る貴族です。勝手にすみませんです。あったら打ち首にされるかもな......。
「それにしても、すっげーな、これ」
一面に広がる緑、点在する巨大で色とりどりの池。鳥の鳴き声、魔物の鳴き声。そこら中に果物の生る木が生え、その木には色とりどりの果物が。そこには、クリスタルピールと思しきものもあり、大量に実っていた。洞窟内のはずが、不思議と明るく、太陽のようなものも存在する。どうやら、ここには朝、昼、夜という概念があるらしく、ここに生息する動植物もそれに従って生活をしているらしい。
「不思議でしょ?まるで、ここだけ異世界みたいな......」
「そうだな......白亜紀みたいだ」
「はくあき?」
「ああ。一億四千年前......人間が生まれるはるか昔。この世界では、魔族は居たのかな......」
「この世界......?」
「......」
「......ナツキ?」
「............。」
「ナツキ、どうしたの?急に黙りこくって。」
「............。」
......やっちったでぃ。完全にリーナと話してるような気分で言っちまった。これはもう、ごまかしの利きようがないんじゃないか?ああ、マジでどうしよう。ゼルドに変身と前世のことがバレた時にもリーナにクソほど怒られたって言うのに......ミルアにもバレちゃったって言ったら、一体どんなこと言われるんだろ?
「ああ、そうだ。クリピでも集めに行くか。」
「ナツキ?ねぇ、ナツキ?急にどうしたの?ねぇねぇねぇ」
急にうっざ。なんだミルアのくせに。って、すっごい疑ってるし、俺が急に黙り込んだからなんだろうけど。ああ、マジでどうしよう。リーナに何て言われるか。
『仕方ない。これ以上多い人間にこの話が触れたら危険だ。......今のうちに始末しておくか』
とか言われたらどうしよう!!!!ああ、怖いよぉ。殺されちゃうよぅ。......ああ、もうなるようになれ!ここまで来たら、かんっぜんに知らないふりでやり過ごすしかない!!!!




