2話 この人物に遭遇したことは幸運なのだろうか、悪運なのだろうか?
改めて、ツイッターってすごいって思いました。
なんのこっちゃか解らないと思いますが、ツイッターってすごい。
どうか。どうかあやつの鼻が詰まってて俺の存在がばれませんように。合掌合掌。......う~ん。この世界の生物って、匂いで獲物を探すのかな?魔力とか生命力とか言われたらどうしようも無いぞ。魔力を抑える方法とかしらん。生命力を抑えたら、ちーんな結末しか見えてこない。......死んだふり?死んだふりはヒグマに通用しないらしいし。普通にガブっとやられるって。ゆっくり後じさりするのがいいらしい。
グルルルルルァ......!
ちっ、近いッ!!!!!!!この獣、かなり近い距離にいる!喰うのか?俺を食うつもりか!?!!!!!!フッ。やめておけ。これは別に自分の身を案じて言っているわけではない。其方の身が、滅びぬよう助言しているだけなのだ。うむ。
「し、死んでいる?そこの者は死んでいるのか?」
む!人の気配なり!どうやら人かな!?......助かったぁ。この世界に人が居ないかもしれないなんて、考え過ぎだったよね。人が居ないはずないよ。
「おい、そこの者!無事か?生きているなら返事をしてくれ!」
ほっ。どうやら、本気でこちらの身を案じている様子だ。これなら急に襲ってくるなんてことは無いでしょう。......オオカミの声のせいで若干警戒しているのは責めないでください。するっしょ。するよね。するべきだよ。今さっきまで命の危機に瀕していたんだから。
「大丈夫か、少年......」
はっ......と息をのむ声。なんだなんだ?俺のあまりの無様な格好に顔を青くさせているのか?......物語の主人公だったら、『僕のあまりのカッコよさに驚いて、言葉が出ないのかな?』とか言うんだろうなぁ。って、俺が主人公でも絶対言いたくないけど。そんなこと言う主人公は憧れるけどね、恥ずかしいんよね。うん。
「あ、ああ。ありがとうございます。助かりました。良く解らないまま迷い込んで、訳も分からずこの森に......。」
「う、動くな......!」
「......え?」
最初に飛び込んできたのは目の前にいる美少女が、俺に剣を突きつけている様子だった。ゴシゴシ。ゴシゴシゴシ。......ん?んん?......う~ん。なんのこっちゃねん!!!!
「う、動くなと言っている!ニンゲン!」
「......な、何を言っているんだアンタは!?」
この風貌で人間以外なわけないでしょうが!そんなこと言うアンタは、人間じゃないって言う......のか?って、え?
「そ、そんな。アンタは......魔族......なのか?」
健康的な褐色の肌に艶がある黒の長髪。美人なその容姿の中で、一際目立つもの。...........長くとがった耳。それは、この女の人が人間ではないことを意味していた。
「当たり前だろうが!ここは、魔族が住む大陸だぞ!人間は東の果ての大陸に住んでいるはずだ!」
魔族が住む......大陸?大陸ごとに住んでいる種族が違うってことか?ああ、俺は耳でもおかしくしたのかな?そういえば、左腕もそろそろヤバい。最初は激しい痛みだけだったけど、今はなんか、耳鳴りもするし、頭も痛いし、患部だけじゃなくて頭も熱っぽい。もしかして、熱が出た時に見る悪い夢なのか?
「は、ハハッ。そうだったよ。確かに、この大陸に住んでいるのは魔族だ。それで、人間が住んでいるのは東の果ての大陸だった。」
「な、何を当然のことを言ってる......?」
この様子からして、嘘を言っているわけではないようだ。この人だけがそれを信じているヤバい人っていうわけじゃない限りはね。ま、そっちの方は望み薄かな。
「もしかして、人間と魔族は......?」
「......当然、敵対関係にある。常識だ。」
......ぷぷーっ!良く解んない魔物から逃げてたら、もしかしたらもっとヤバい奴に会っちゃったかもってさ!わーらーえーるぅーwwwwwwww......わらえねー。はぁ。
「......貴様らの愚かさが......魔王様を苦しめているのだ!」
「ああ、すまない。すべては俺たち人間のせいだ。」
「謝って済むことかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
嫌な音が鳴り響くほど歯を強く噛みしめ、発せられた言葉には、強い憎しみがこもっていた。それは、ただ今言ったことだけではないような。もっと、何か重いことを言葉の内に秘めているような......。フン。今回もまた、運が悪かったってことか。しゃーないやな。
「............?」
目をつぶっていても、何も起きない。痛みも、衝撃も、何も起きない。聞こえるのは荒い息遣いだけ。
「やめなさい。その人が悪辣な人間ではないことは見ればわかるでしょう。」
「しかしっ......!」
「目を見なさい。状況を理解していない者の目だ。それにこのものの服......普通の平民ではないことが明らかだ。この服の材質......見たことも無い。まずは話を聞いてみてはどうだ?」
「くっ......!」
......。一体俺はなんだってこんな夢を見ているんだろうか。時代劇でも見ているような気分になってくる。起きたらこの出来事をまとめて小説にでもしてみるか。案外ウケるかもな。
「で、貴様はいったい何者だ?」
「......右も左もわからなくて、獣に襲われそうになって怯えている少年に向かって剣を突きつけたヤツのセリフがそれかよ。」
ったくよぉ。本当に心のない奴だよなぁ。マジであり得ないって。俺の振る舞いを見たら、存在が開くかどうか位解るんじゃないの!?
「申し訳ございません。ウチの戦闘員が無礼を働いたみたいで。」
「ったくさぁ。急に変な場所に迷い込んで、痛む左腕を押さえながら怯えてて、久しぶりに聞いた人の声に安心してたんだぜ?そしたら、顔を見るなり犯罪者扱いだよ。まったく、いたいけな少年の心は傷ついちまったよ。」
「す、すまなかった。......だが、なぜこの大陸にいるんだ!昔結ばれた条約で、人間はこの大陸に立ち入ることは禁じられているはず!」
素直に謝るなんて、殊勝な心掛けだと思ったけどずいぶん強気に出るジャマイカ。こっちは出るとこ出てもいいんだぞ!!!
「だーかーらー。言ったろ?訳も分からず迷い込んだって。車......馬車にひかれて意識を失ったら、いつの間にかこんなところにいたんだってーの。来たくて来たんじゃないわい。」
「馬車に轢かれて気が付いたら......ですか。そんな事が......」
「そんな馬鹿なことあるはずがないだろう!こいつは嘘をついているんだ!」
「バレる嘘なら付く意味がないわ!嘘じゃないからこんなバカなこと言えるんだよ!」
自分でもあほなこと言ってるっていう自覚はある。だけどね、事実なの。事実だから仕方がないの。って、やっぱり馬車はあるんだね。......よくある転生、転移ものの定番、RPG風時代設定か。
「ともかく、俺は左腕もこんなんなんだ。みんなにとってはこのけがは普通なのかもしれないけど、俺は魔法を使ったことがない。使い方も知らないし。殺すならさっさと殺してはくれないか。痛いんだよね、」
「......潔いんだな。良いだろう。死ねぇぇぇぇぇぇぇい!」
ビシッ。
そんな漫画みたいな小気味いい音が鳴った。視線を上げると、俺を助けてくれた初老の男性(執事?)の左手が見事に黒髪美少女の頭の上に振り下ろされていた。
「馬鹿者。本当に殺そうとするものがあるか。この馬鹿がすみません。魔帝国で治療しますので、もう少し辛抱ください。」
「......いいのか?聞いた感じ、人間は魔族から疎まれているらしいが。」
この展開を狙ってはいたものの、まさかこんなにうまくいくなんて思ってもいなかった。......多分気づいてんじゃないのかな。この執事、ずいぶん頭がいいみたいだし、経験も豊富っぽい。俺のポーカーフェイスなんて一瞬で見破られちゃうでしょう。コツはずっと微笑をたたえてることらしいぞ。飄々とした性格で行こう。飄々ってなんだっけ。......てへ。
「陛下の元で管理をすれば、文句など言う輩もおりますまい。」
「......先に言っておく。俺は貴族でも何でもないぞ。」
「存じております。」
「そうか。それならいいけど。貴方は爵位もちなんだろ?いいのか、こんな生意気な口の利き方で。」
「問題ございません。......貴方は、少々問題がございます。恐らく、私共で管理をすることになりそうです。そこも含めて教育いたしますし、その態度でも問題ないほどに手柄を立ててもらいますので。」
......う~ん。一体何をおっしゃっているのだろうか。教育?管理?問題がある?怖いこと言わないでくださいよ。本当にちょっと怖くなってくるじゃないですか。
すっごい頑張って更新したい。書き溜める勢いで頑張りたい。