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27話 ねぇ、さっきまでキャッキャウフフだったじゃん。

ポジティブ話から一気に入るネガティブ話。一体どこで路線変更したんだか、全く分からない話の展開ってありますよね。隙あらばネガティブな話に持ってく奴って何なんですかね(←ブーメラングッサリ)





「で、ナツキは気になる人いないんなら、なんか他の子の話は知らないの?」

「あー。でも、私はいじめられてたせいで女子を避けてたからなぁ......特には。」

「えーつまんないなぁ」


そんなこと言っても、ありゃトラウマになって人間不信になってもおかしく無いようなレベルだぜ?いじめなんて生易しいようなことじゃなくて、あれはただの暴力だ。いじめの上位互換みたいな。ほんとに、俺が頑丈じゃなかったら普通に何回も死んでると思うぞ。上から漬物石が降ってきたときは本当に死を覚悟したね。......なんで漬物石に押しつぶされて死ななきゃならんのだ。


「でもそうだなぁ。リーナ......教官の気になってる人なら知ってるかもしれない。」

「え、教官の!?」

「ああ。あの人は多分な、副教官のことが気になっている!」

「え、えええええええええ!?教官が、副教官を!?」

「ああ。俺の部屋に来るとき、いつもリーナが『副教官と仲良く話せない。もっと気さくに話すにはどうすればいいのだろうか?』と言ってるんだよ!」

「おお!で?」

「え。それだけ。」

「おお....?おぉん。......それ、部下との付き合い方に悩んでるだけなんじゃないの?」


部下との付き合い方......?ああ~。なるほど。確かに!いやでも、あんなに深く悩むようなことかなぁ。仕事に関することなら、あんなに深く悩むことないと思うんだけど......。同僚にも女の人はいるだろうから、そういう立場の人に参考意見を聞かせてもらえばいいだけのことだし。


「でも、ずっと言ってるんだぜ?俺にも心配そうに相談してくるし......」

「また俺!......でも、確かにそれは怪しいわね。そんな必死になるなんて、一体なんで......。」

「う~ん......そういえば、ゼルドとも最近仲良くしてるんだよね」

「まさかの二股!?とんでもないスキャンダルね......!!!出すところに出せば一体いくらでこの情報が売れるか......!」

「コラコラコラコラ。何を言っとるんだキミは。」

「はっ、つい!」

「ついじゃない。っていうか、もう少しで金脈に到着するじゃないか。クリピが大量に生えてる金脈にね。」

「......確かに。なんだぁ、なんだか残念。」


残念ってなんだ残念って。もしかして、お金が入るめどが立たなかったら売るつもりだったのか?なんていう......ある意味強い子だなぁ。......何を感心してるんだ俺よ。


「そもそも、その発想は人としてどうなんだ......?」

「なにも新聞屋に情報流すってわけじゃないんだからいいじゃん。」

「え?じゃあどこに流すんだよ?」

「教官よりも偉い人」

「コラコラコラコラ!!!!」


それもっとマズいじゃねーか!!てか、結局結末は同じなのか。どっちに流しても解雇か降格、謹慎処分や減給は免れないだろう。恐ろしい恐ろしい。しかも、色々あげたけど一番可能性が高いのは解雇......つまりクビだからね!?


「まったく、ナツキってば。冗談に決まってるじゃない。流しても訓練兵仲間に言うくらいよ」

「ああ、なんだ。その程度なら心配ないかもね」

「......大丈夫なんだ。結構問題だと思うんだけどなぁ」

「だったらいちいち言うなよ......でも、確かに。」


言われてイメージしてみたけど、学校で担任の先生が教頭と一緒にイチャイチャしてたところを目撃したが、すでに別の教師と付き合ってることを認めてた......みたいな?そんなこと知っちゃったらクラス内はもうギスギスと言うかなんというか......。クラス崩壊待ったなしというか。


「こりゃひでぇ。」


想像したら笑ってしまった。すんごい不謹慎だけど、絶対笑っちゃうよなぁ。先生に『○○先生と交際してて楽しいですか~?』とか質問したりして、反応を見て楽しみたい。いや、すっごい性格悪いな、コレ。一応言っとくけどアレだからね?元からこんな性格だったわけじゃないからね?この世界に来てからなんか色々あって性格が変わった気がする。ってか訓練生同士でのお金のやり取りって......ひどいな笑


「ナツキ、口調」

「あ、これはちょっと......」

「言い直してもこれか。まだ口調が固いよ」

「やっぱり無理だよ~っていうか話急に変えるのやめて~」


話には話の流れってもんがあるだろー。そこで話変えられるとなぁ。って、女子同士の会話ってこんなもんか。芸人さんとか芸能人の方みたいに、トークを本職としてる人以外は全員こんなもんなのかもなぁ。俺の周りには、いつもトークがうまかったり聞き上手だったりした人が居たから、本当のところは解んないけどね。


「自然に女の子言葉がつかえないなんて、ナツキ、実は前世男だったんじゃないの~?」

「......。」

「ん?どうしたの、ナツキ」

「いや、何も」

「何もって普通言わないでしょ。なんでもじゃないの」

「そんなの人によりけりでしょ」

「どうしたの、ナツキ。いつもと様子が違うわよ?......まさか。」


え、なに?何もって男子しか使わないの?マジ?くっそゼルドがよく使ってるから知らなかったぜ......!って言うかあれだな。もしかしたら、面倒くさくなるかもしれないから先にミルアに入った方が良かったかもな。......もう遅いけど。


「本当に前世男なの!?っていうか、前世の記憶持ってるの?」

「何だその言い方。まるで、まれに前世の記憶を持ってるやつがいるみたいな言い方だけど。」

「実は、居るのよ!前世の記憶と経験が強すぎて、次の生でも記憶をもって生まれてくる人が!」

「へぇ!それは知らなかったな。」

「ペルセウスのような、偉業を成し遂げたり冒険とかをした濃い魔生を送った人が次の魔生でも記憶を持ってるていうわ。結構前からこの話は知れていることもあって、ペルセウスだって名乗る人は数えきれないほどいるの。」

「何でそんなこと知ってるんだ?」

「実はね......」

「実は.......?」

「私にも前世の記憶があるのよ!」


結構なための後放たれた言葉は、俺の想像の範疇を超える......物ではなかった。普通で親切な人なら、『な、なんだってー!』って言う態度を取ってあげるんだろう。しかし残念、俺は普通の人じゃないし、親切でもないのでそんな反応してあげません。これが、もしもさらっとボードゲームでもしながら『私さぁ、前世の記憶あんだよねー』みたいに言われたとしたら『ほーん。......え?お前今なんて?』ってビックリするけど、そんなに溜められたら察しがついちゃうよ。


「あ、そう。」

「え?」

「いや、その。す、すごー....い。」

「......」

「......。」


......。すまん、訂正させてくれ。今までの人たちは多分親切だったわけじゃなくて、いたたまれない雰囲気になるのを回避しようとして、あんな態度を取ってたんだ。やっちまったでぃ。


「まだ......だれに‟も‟話したごとながったのに‟....」

「あ、あ~!ごめんな、凄いことだよな?マジで、ミルアの秘密を最初にしれて光栄だし、めちゃめちゃ嬉しいよ!!!!ははっ!」

「......ほんと?」


いや~......前世?の記憶?すっげーわ。まじすっげーわ。ぱねーっスわ。なんでだ。嘘はついてないんだろう。真実なんだろう。ミルアはそこまでおバカな子じゃない。心の底から信じられるくらいの根拠があるんだろう。つまり、間違いなく真実なんだろうけども。......俺、異世界転移(転生?)してるんだわ。前世の記憶持ちで。うん、これはアレですよ。......圧倒的被りッ!


「因みになんだけど、前世はどんなひとだったの?」

「私?私はねー......あまり覚えてないんだけど、大きな翼を広げて空を飛んでた記憶が。」

「へぇ!空を飛んでたか。それは、この世界で間違いないのか?」

「うん!見覚えのある山があったからね!」

「ほぅん。」


山。またなーんか説得力のないホワンとした目印だな。もし、前世が数百年、数千年前だとしたら、山も地形も何もかも変わってると思うんだけど......。でも、見る人が見たら山の形ってすぐわかるらしいし......難しいなぁ。


「私、吸血鬼だから寿命永い方なんだよねー。」

「いや、知ってるよ。」

「で、その前世では私の翼黒かったからさあ。もしかしたら、前世は純血の吸血鬼だったかもしれないんだよ。」

「純血の吸血鬼?」

「うん。純血の吸血鬼って、凄いんだよ。コウモリに変身できるし、空を飛べるし、不老不死だし、体を無数のコウモリに変えることもできるんだよ。」

「なんだそれ。無敵じゃん」

「そうなんだよ!憧れるなぁ。先祖返(せんぞがえ)れたら、ペルセウスを超える偉業を成し遂げるのも夢じゃないよ!」

「確かに!って、ちょっとまって。......今なんて?」


俺の耳が行かれちゃったんじゃ無ければ、今とんでもないことを聞いてしまった気がする。いや待て。いや待てと。


「ペルセウスを超える偉業を成し遂げるのも夢じゃないよ!」

「その少し前」

「そうなんだよ!」

「ちょっと先」

「憧れるなぁ。」

「その一つ先」

先祖返(せんぞがえ)れたら」

「先祖返りって、もしかしてお前が【純血の吸血鬼】に先祖返ることができるってことか!?」

「まぁ、可能性はかなり低いけどね。」


俺があまりのことに驚愕して硬直していると、照れくさそうに頬を書きながら、説明を始めるミルア。


「前世が今と同じ種族だった場合で、なおかつ前世の記憶があるっていう魔族に限り、前世の能力も開花することがあるんだって。力、敏捷、丈夫さ、耐性とかのステータスは単純に足されて、スキルとか魔法は前世のを使えるようになるとか!」

「すごい......すごいよミルア!」


これが真実だったらとんでもないことだ。だって、俺の目の前に先祖返りの条件がそろった不老不死の無敵純血の吸血鬼に鳴りそうな女の子がいるんだから!そんな異能力手に入れたら人生めちゃくちゃ楽しいんじゃないの!?まさか、この世界の主人公はリーナじゃなくてミルアだった!?くっそー、俺も主人公になりてぇー!!!


「いいなぁ。ミルアいいなぁ!」

「そんなことないよ。確実に先祖返りできるわけじゃないし、不老不死だっていいことばかりじゃないんだよ。私は、前世の記憶が結構残ってるから解るんだけど、不老不死は煙たがられるよ。」

「どういうことだ?」


不老不死は煙たがられる......?ミルアは、前世で一体どういう理由で煙たがられてたんだろうか?想像もつかない。いや、想像つきすぎて解らない。


「こればかりはね、経験した本人にしかわからないよ......」

「そうか」


何だこの雰囲気。さっきまでキャッキャウフフとした女子トークの真っ最中だったじゃねーか。いつからこんな暗い話になったんだ?誰か助けてぇ......この雰囲気を一発で改善させる気の利いたギャグをくれぇ。





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