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26話 女子から振られる恋バナはキツイ。

振られるというのはいわゆる話のふりの事です。【破局(ぜつぼう)】の事ではないです。





「私の事より、シースの事よ!」

「へ?」

「純粋な子なんだから理由があると思うのよ!っていうかミルアも掴んでるんでしょ?」

「まぁ、掴んでるっちゃ掴んでるけど......」

「さっすがミルア!」


ほらね!今の状況からわかると思うけど、女子は一部の例外を除いて恋バナが大好きだ。っていうことは、『恋』に関する情報がやり取りされる場が多くあるという事でもある。つまりは、女子は膨大な恋バナのネットワークを共有していると言っても過言ではない。そう言えば、俺のクラスにもいたなぁ。やたらそういう事に関する情報をもってて、《情報放送局 チアキ》って呼ばれてたやつが。噂話がそいつの耳に入ってしまったが最後、絶対に全校生徒に伝わってしまうという......。こわいのが、成功した話だけじゃなくて失敗した話......告白失敗とかの話も広めるところなんだよなぁ。


「それがね、魔力灯を取り換えるっていうクエストを受けてたんだけど、バランス崩して梯子から落ちちゃったんだって。そしたら、偶然下にいたゼルドがお姫様抱っこでキャッチしたらしくて......」

「あ~......。」

「しかも、頭から落ちちゃったらしくてね、もしゼルドが受け止めてなかったら死んでたかもしれないって。まぁ、魔族は頑丈だから問題なかったと思うけど」

「でも、そんなことされたら確かに......」


惚れちゃうよなぁ。くそっ。あの野郎、いつの間にそんな素敵な恋愛フラグを立てやがったんだ!


「うん。私でも怪しいわね......」

「いや、シースはああ見えて天然の気がありそうだからね。同じ天然とはいえ、しっかりした天然のミルアなら問題なく気付けたと思うよ。」

「何に?」

「よく考えればわかるよ。」

「えー?」


そうそう。ゼルドが、なぜ魔灯を取り換える(・・・・・・・・)必要がある室内に居る(・・・・・・・・・・)シースの真下にいたか(・・・・・・・・・・)っていう事をね。


「あ!もしかして!」

「そう。」


騎士見習いは制服が定められてんだよ。これが、騎士長の趣味なのか結構大胆でねー。ここまで言えばもう解るよね?そう、シースが魔灯を取り換えた時着ていたのは騎士見習いの制服であるミニスカート(・・・・・・)。ギルドに持ち込まれた依頼は、魔灯を取り換えてほしいという物。つまり、依頼者は一般市民の魔灯を取り換えられない老婆か子ども。ギルドにクエストを発注するには子供の年齢が低いということから、老婆。つまりは、シースが居たのは老婆の家。例外はあるにしろ、ギルドのように誰もが自由に立ち寄っていい場所なわけがない。つまり、そのシースの下にいたゼルドは......。


「覗きね!?」

「そう。なんでわざわざ個人宅の中にいるシースの下に居たのか。それは、ミニスカの下に隠れたパンツの魅力に抗えず侵入してしまったからよ!!!!」

「おお!」

「そしたら、丁度シースがバランスを崩して落ちてきたってワケ。いや、もしかしたらそれすらもゼルドが揺らして仕組んだことなのかも。」

「何て最低な奴なのゼルド!見損なったわ!」

「見損なったって言うかミルアは最初から信用してなかったよね?思いっきりフックキメてたし」

「そ、そんなことないわよ?最初は半々だったし......」

「半々だったのに顔面ぶん殴ったのか......」

「うぐっ。」


そこは黙っちゃダメだろ......なんか、何でもいいから反論しなきゃ。『だって、ナツキが襲われてると思って、考えてる暇なかったんだもん!』とか。『そこに頭があったから取り敢えず殴ってみた』とか、『今日は休日だしゼルドの頭殴っとくかっておもった』とか。


「とにかく。シースは今、ゼルドに騙されて惚れちゃったってわけでしょ?」

「っていうことは......シースが危ない!」

「体だけが目当てって言うのもあり得るな......」

「どこまで魔族を貶めるのよ、ゼルド......!」


やべ。冗談で言ったのに、けっこう本気にしてるっぽい。っていうか本気で信じてるっぽい。やべ。どうしよ。バレた時にはどっちからも怒られそうなような......。


「だけど、俺たちの思い違いかもしれない。だから、帰ったら本人たちに聞いてみよう。」

「そうね。もしもこれが本当だったらゼルドの顔面を二度とみられないように......」

「おおぅ」


ぶつぶつとゼルドの顔をどういう風に破壊するかを具体的につぶやくミルア。こんなにかわいくない女子の呟きは初めてだ。っていうか今そんなに具体的に考えてるって、確実に殺るつもりじゃん。


「体目当てはともかく、パンツ覗きは間違いないと思うからねぇ......」

「どっちにしろ顔面パンチは確定ね」


やば。余計なこと言ったかも。どんどんゼルドの顔面の安全が亡くなってきた。文字通り、お亡くなりになられるかもしれない。ごめんな、ゼルド。お前のことは忘れない。お前は良い奴だったよ。面白いいたずらも思いつくし、お前といると話題に欠かないし。だけどなぁ、お前は魔族としてやっちゃあいけないことをした。だから、ごめんな。


「まぁまぁ。でも、シースがねぇ......。あの子は恋とかそう言うのに興味を持たない子かと思ってたんだけどなぁ。」

「う~ん......今までそういうことに興味がなかったからこそ、耐性がなかったんじゃないの?」

「ああ~なるほどね。そういう場合もあるのか。体制がないからこそ、その雰囲気に耐えれなかったと......」


あるよねー。結構あるよねー。結婚詐欺師とかって、お金持ってる女の子よりも免疫なさそうなうぶな子を狙うらしいし。免疫あるかないかは重要だからなぁ。シースは免疫がない。だから勘違いしてるんだろうなぁ。きっと倒れた自分を抱えてくれたゼルドを、白馬に乗って助けに来てくれた王子様かなんかと勘違いしてるんだ。でも、ゼルドのことだからなんだかんだ言って間違いを指定してちゃーんとフッてあげるんだろう。なんだかんだ良い奴だからなぁ、アイツ。


「大丈夫だと思うよ。ゼルドもそこまでクズじゃない。竜人族(ドラゴニュート)を憂いて元老院に異議を申し立てるようなヤツだから。」

「そうよね。ゼルドもただ明るくて元気なだけよね。」

「そうだよ。悪戯ばかりやってるのも、周りを楽しませたいからじゃないかな。俺も救われてるし、ミルアもくすっと来ることもあるだろ?」

「確かに......じゃあ、アイツは訓練で疲れた私たちを元気づけようとしてるってワケ?」

「そうだと思うよ。」


俺が助けを読んだら必ず来てくれるし、あのフック事件の時も心配して駆けつけてきてくれたし、クエストにも誘ってくれるし、俺の変身の訓練にも付き合ってくれる。最近では結構変身のバリエーション増えてきたんだぜ?


「いっつも俺......じゃなくて私の訓練にも付き合ってくれるし。」

「また俺って......え、まって訓練にいつも付き合ってくれてるの?」

「え、普通じゃないの?」

「普通女の子の訓練に何回も付き合ってくれる人いないよ!」

「まじで?」

「マヂだよ!」


食い気味の「マジ」ありがとうございます。食い気味っていうかもはや食ってるよね。食い過ぎてジじゃなくてヂになってるからね。何言ってんだ俺?何言ってんだろ俺。忘れて。うん。


「っていうか、何も思ってない男の子に訓練に付き合ってって何回も言う女の子もあまりいないよ!」

「それは言い過ぎなんじゃないかなぁ......。単純に友達とかあるじゃん。」

「ナツキ。下心なしの男女の友達なんて、存在しないんだよ。どっちかが下心抱いてるから。間違いないよ。」

「それは言い過ぎじゃぁ......。」


だって、俺が学生だった頃も普通に女子で友達だったやつとかいるからなぁ。幼馴染のチアキとか。情報放送局の。絶対男女間でも友情は成立するって。女友達が多くてバレンタインデーはチョコを断ってた俺だって身体は純潔なままなんだし。でも、どうなんだろ。世間一般ではミルアの認識が正しいのかなぁ。


なんだか、そう考えると虚しくなってくる......と、思いつつ洞窟の天井を見上げてみる。はぁー。いつまで続くんだろうなぁ、この景色。......はやく洞窟抜けないかなぁ。






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