20話 ドラゴニュートの深い事情。
前書き。
「ふぅ......食った食った」
「予想以上においしかったな」
「助かった......これで俺は」
名前のヤバい料理はヤバかったのは名前だけで、味はおいしかった。三人とも心行くまでお腹いっぱい食べたのだった。なんだこれ。
「そうだな......ゼルドのおかげで、またおいしい料理を知ることができたよ。ご褒美に特別訓練コースのプレゼントだ!」
「え......?」
「そうだな、今回はゼルドの活躍だ!心惜しいが、特別訓練......古き良き訓練を贈呈だ!」
「フザケンナ!それ、昔の死亡者続出鬼訓練じゃねーか!!!」
「死亡者続出で志望者激減な。ぶふっ!おま、サムいわ!」
ほんっと何言ってるんだよ!リーナの顔余計険しくなってんじゃーん(笑)!おいおい、これ以上怒らしたら、何されるかわかったもんじゃねーぞ?
「それ言ったの教官じゃん!?しかも俺、今志望者って言ってないよね!?」
「ホントにナツキの知り合いはうるさいヤツばっかりだな。ここはともかく、食事店で騒ぐのは非常識だぞ?」
「っす、すみません......って、アンタたちのせいじゃねーか!?でも、その前にご主人ともなんやかんややってたし......」
「やれやれ、見苦しい言い訳だぜ。ね、教官殿?」
「そうだな。罰として、古き悪しき訓練だ。」
「悪しきって言っちゃってんじゃねーか!!って言うかどっちみちそれは決定なんだね!?そうなんだね!?」
「何を分かり切ったこと言ってんだ、ゼルド?悪しき習慣だから取りやめになったんじゃねーか。ま、取りやめに反対した人とか今も反対している人とかいそうなもんだけどな。」
「ま、どこでもそうだわな。俺の故郷......ドラゴニュートの里でも頭が固い長老が居たわ。何かあると、すぐ外との交流を断絶しようとするんだ。そんなに他の種族が嫌なのかね」
「......ふ。お前らは本当に似ているな。少し聡明なところとかそういう受け答えとか」
「「は?どこが似てるってんだよ」ですか」
ぐぬぬ。コイツ、ふざけてるのか?俺の真似ばかりしやがって。本当に。俺と似てるんじゃなくて、ゼルドが俺に似せてるんだろ?......でも、そうかもしれないなぁ。思い返せば、共通点が無いことも無い。同じ男だし。うん。あと......男だし?それと男だし。あと......なにか周囲に隠してる秘密がある。周りの人には言えない秘密。
「や、待てよ?ドラゴニュートって、二年ぐらい前に郷から一歩も出てはならないみたいな掟ができたんじゃなかったっけ?」
「あ~。俺、あまりにもしつこく共存の意志と元老院の間違いを主張したら、追放されちゃったんだよね。」
「はぁ?なんでただ進言しただけで追放されなきゃならないんだよ。」
「まぁ、元老院ってのはドラゴニュートの中では神に等しい存在だからね。元老たちが話し合って、今後の方針を決めていく。他の種族で言うところの王なんだよ。そもそも、俺がしたのは進言の範疇に収まるものじゃなかったからね。」
ああ......事実でも言い方次第ではクレームに取られることがあるみたいなことか。なるほど、分かりやすい......か?う~む。あ、アレだわ。小学生を注意する先生が嫌われるの法則。アレね、いっつも思うんだけど、もっと注意の仕方があるじゃないと思うの。褒めて伸ばすって感じで。メリハリのある先生が好かれることが多いでしょ?
「進言の範疇に収まらないって、スゲームカつかれるような言い方したとか?」
「うーん......どうなんだろ?しつこく言っちゃったからかな?」
「それだけでかよ!酷いな......」
「しつこくって言っても、マジでしつこくだぞ。毎日言って、それが五十日以上」
「五十日連続!?......お前、根性あるなぁ。」
「まぁ、一族の危機だと思ったからね。今の時代、自給自足じゃ限度がある。だから、交易とかもしなきゃいけないし、社会的地位や資産的な意味でもこっちからどんどん特産品とかを売り出さなきゃならないと思ったんだ。昔は誤解された種族が一度に処刑された話もあると聞く。事実、このような進言をする知恵者が追放されるケースが多くなってきてるんだ。」
「マジか。里を護りたいが為に閉鎖してるのに、それが仇になってるのか。」
「それでだんだん里の人口も減ってきてるし、それに乗っかって若い人も出ていくこともあるわで狩りをする人とか農業する若い手が減ってきてるって。」
たしかに、地球で言うところの先住民?だかも自分の暮らしている集落を観光とかに利用してるとか、暮らしの近代化とか、色々なことに着手しているって聞いたことがあるぞ。たしか、マサイ族?って言うの。スマホ持ってるんだってな。スゴっ。
「大変だなぁ、お前も。」
「そうだな。で、追放されて路頭に迷ってる所を副教官殿に拾われた。お前と一緒だ。」
「なるほどな。だから似た者同士なのかもな。」
「妙に達観してるとことかも?ハハ、まぁ、あんなことがあったら達観したくもなるさ」
「ま、これでも結構嫌なことを体験してきてるからな。トラウマになるようなことも多々な。」
......本当に、嫌だ。勉強勉強また勉強。少しでも、一点でも下がると怒られる。百点なんて当たり前。勉強をして、やっとの思いで五百点満点を取った日。褒められると喜んで結果を見せて言われた一言が......『そ。当然の結果ね。』......満点を取り逃がせば怒られる。冷たく静かに怒られる。呆れたように怒られる。悪夢だ。
「ごめん......ちょっと気持ち悪くなってきた」
「大丈夫か?もしかして、食べ過ぎたのか?」
「ナツキ......お前」
ちょっと......思い出してしまった。あの苦しみにまみれた日々。ゲーム類なんて見つかった日には、静かに怒るんだ。ヒステリックになるワケでもなく、ただ静かに。そして、捨てるように家政婦の人にいう。家政婦の人は、申し訳なさそうにして捨てるんだ。仕事だから、って。で、俺が悲しそうな表情をするもんだから見逃してくれる人もいて、それがバレると解雇される。......何人もの人がクビになった。
「ああ。すこし食べ過ぎちゃったみたいだな。明日は訓練日だし、ゆっくり休むことにするよ。」
「ああ。明日は必ず来いよ?私は......ゼルドも待ってる。コイツはぼっちだからナツキが居ないとペアが組めないからな。その場合は、古き悪しき訓練一人ver.をしてもらうからな。」
「なんで!?なんで俺が自然とその流れになってるの!?おいナツキ!明日来なかったら怒るからな!絶対に許さんから!」
「えぇ。そんな面白いこと言われたら行かない方に傾いちゃうじゃん。」
くっ......やめろ!俺の心を揺さぶるなぁ!ぐぅっ悪魔の誘惑だ。
「な、なぁ。それ、冗談で言ってるんだよな?俺たちって友達だよな?」
「当然だ。冗談に決まってるだろ?......そうだな、隠れて見ている、か。それがベストだ。」
「な、なぁ。友達だろ?俺たちって友達だろ?」
「そうだな。大親友だ!」
「そうだよなぁ。ホッ。」
「なぁ、思わないか?」
「何をだ?」
「大親友の行く末は最後まで見守ってやらないと、ってな。」
「お、おい?それってどういう意味だ?」
「うっ。気分が悪いなぁ。さ、かえって休みましょうかなぁ。」
「おい、ちょ待てって!おーい。お――――――い。ナツキさーん?」
全く、俺に気を使ってあんな流れにしなくても......俺の周りの人たちって、いちいち俺のことを気にしすぎてると思うんだよ。心配をかけてくれてるのは解るんだけど、なんか気を張り過ぎじゃねぇ?って。そんなに俺のことを気にかけてたら、自分のことにまで首が回らなくなるぞ?
俺のせいで死んだりしたら、夢見が悪いどころの話ではない。夢見が悪いというか、最悪だ。この二人は、俺がこの世界に来てから一緒に過ごしている時間が最も長い人だ。もう、親友......家族と言っても過言じゃない。もう、親しい人を亡くすのは嫌だ。それが俺のように誰かへのしわ寄せになるのはもっといやだ。
後書き。編集したらぞろ目じゃなくなった。(´・ω・`)




