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14話 秘密の特訓

秘密の特訓って言うと、なんかアレですよね。言葉の裏に別の意味が隠れてる的な......。


や、何でもないです。ハイ。






ああ、体全体が痛い......まぁ、しかたないか。誤魔化せるだろうか?そこは何とかうまくやるとして、どうしようかな、これから。スタミナが足りないと分かった以上、朝走ってスタミナを強化しなきゃいけない。そこを騎士養成所の訓練に影響が出ないようにしなきゃいけない。


「面倒くさいなぁ......。僕は確かに文武両道だったけど、今まで魔物となんか戦ったことなかったし......運動部には勝てなかった。」


スポーツを専門でやってるやつにかなうハズなんてなかった。文武両道とか言っても、運動が苦手じゃない程度って感じだからな。ともかく、バレないようにしなきゃならない。


「そろそろ......か。」


コンコンコン......


「ナツキ?......入るぞ」

「おお。開いてるぞ。」


軽いノック音の後に部屋に入って来たのはリーナだった。以前リーナが部屋に入って来た時に、俺がろくなご飯を食べていなかったことを知り、監視として毎日一緒にご飯を食べに行くことになっているのだ。......べつに、いいと思うんだけどな、干し肉も。それなりにおいしいし。......お腹壊すこともあるけど。


「......どうした、そんなに疲れた顔をして。」

「あ?ああ。ちょっとな......」

「まさか、体を動かしてたのか?ダメだろ、せっかく休みも取ったんだから。」


げっ。


「いや、そんなまさか。ちょっと腕立てしてただけだよ。」

「......腕立ても控えるんだぞ。」


リーナは筋を少しやったと思っているが、本当のところはただの筋肉痛だ。では、なぜ今日急に魔物との戦闘をしたか。それは、魔物との初戦闘を行うためだ。......そのまんまだけど、戦うことが目的なんだ。実は騎士養成所に入所すれば、対人戦闘と対魔戦闘をやるんだけどね。あと二か月......つまり、入所して四か月後には外に遠征して魔物との実践戦闘がある。


......早めに魔物の実践戦闘を行っていれば、それだけの経験値とスキルポイントが入る。解りやすく言うと、レベルアップをすればステータスが上がるし、ステータスが上がれば早く恩返しも出来るってワケだ。って言うワケで、早めに魔物を狩ってレベルアップしたいって事さ。


「あいあい、解ってるよ。」

「......本当に控えるんだぞ?」

「わーってるって。」

「で、明日は行けそうなのか?」

「う~ん。一応明日は休みを取るよ。」


まだ試したいことがあるしね。っていっても、マジで腕が痛いって言うのもあるけど。なんせ、昨日腕を痛めたばっかりなのに、今日もあんなムチャしたんだからね。特に腰が痛い。


「そうか。本当に休むんだぞ。」

「くどい。......心配し過ぎだよ。」

「ナツキはいつもそうだ。いっつも適当なこと言って、結局ムチャするんだから。」


お、おおぅ。まだ二か月の付き合いだってのに、どんだけ俺の性格把握されてるんだ?もうアレだな、リーナは俺の幼馴染みたいなもんだな。うん。


「だーいじょうぶだって。」

「そうか。......疲れてるみたいだから、ここに夕飯置いておくぞ。」

「ああ、ありがとう。」


バタン。


......なんか、表情暗くさせちゃったな。もしかして、またなんかやらかしちゃった、俺?良く解んないけど、心配させないように頑張らなきゃな。もっと、強くならないと。


「夕方六時くらいか......そろそろだな。」


コンコン、コココン。


「はぁ。来たか。......開いてるぞ。入れ。」

「うぃーっす。おいおい、教官に比べてずいぶんな扱いだなぁ。」


部活慣れした後輩みたいな挨拶の仕方をして部屋に入って来たのは、薄緑色の髪をした青年だった。その肌はウロコのように、目は蛇のようになっていて、その青年が人間ではないと物語っている。


「るせぇよ。さっさと行くぞ。」

「はいはい。お前も好きだねぇ。げへへ。」

「変な笑い声上げんじゃねーよ。変な風に聞こえちまうだろ。」


......もちろん、いまからそういう店に行くわけではない。コイツと今からするのは魔物狩りだ。今日はもうしたじゃないですか。って思うかもしれないけど、戻ってきたのはリーナの目を欺くためだ。って言うワケでうまくリーナをやり過ごしたからもう一度狩場に行くってワケだ。


「変っちゃ変でしょ。お世話になってる教官に内緒で狩場に行くんだからな。」

「う。そりゃ仕方ないだろうが。怒られちゃうし。......心配かけたくないし。」

「......愛しいヒトに心配かけたくないってか?」

「愛しいってなんだよ!」

「おかしくは無いだろ?お前は男で、教官は女だ。それに、教官はかいがいしくお前の世話を焼いてるってワケだ。お互い好きであってもおかしくは無いだろ?」

「......そりゃ、確かにそうだろうけど。」


因みになんだが、色々あってコイツ......ゼルドラドは俺の正体を知っている。理由は......後で話すとして、取り敢えずこいつは俺の本当の性別が男だということを知っている。で、リーナと俺の関係も知っているというわけだ。


「だったら、何も不思議はないだろ?」

「......む~」

「だろ?」

「......うむむ~」

「だろ?」

「うがぁー!!!とにかく、この話はおしまい!」

「......はいはい。」

「早くいくぞ、バカ!」

「......見た目はカワイイ女の子なのになぁ。」

「るせぇって!早くしろ!置いていくぞ!」

「へーへー」


ったく。......こういう面倒くさい言い回しする奴キライ。本当にしつこいんだよ。コイツ、絶対俺以外に友達いないわ。








「弓でのサポート頼む!」

「了解!」


俺に後方支援を呼びかけたゼルドラド___ゼルドは、デカいネズミの魔物に向かって剣で切り込んでいく。


「ふっ!ハァっ!」


背を向けているネズミモンスターをニ、三発斬り付け、後ろに小さく飛びのく。と、ちょうどその次の瞬間今までゼルドが居た場所にネズミの頭突きが空ぶる。


「よっ!ほっ!」

「ナイス!ふっ!」


空ぶったネズミが次の攻撃をしようとした瞬間、ネズミの両足に矢が命中する。矢が当たってよろけてできた僅かな隙に、ゼルドの剣が素早くネズミの脳天をカチ割った。


「よーし。」

「ナイスアシスト!」


勝利を喜んでハイタッチする俺とゼルド。......実は、コイツとはリーナと同じくらい長い付き合いだ。騎士養成所で会ってから、何かと一緒につるんできた。訓練もペアでやることがしょっちゅうだし、休日は飯食いに行ったり自主訓練したりしてる。......早い話、連携プレーは慣れてるってことだ。


「もう少し奥まで行ってみるか。」

「そうだな。今度は両方近接でやるか。」

「了解。カバーは必要に応じてってことで。」


今じゃ難しい連携もお手の物ってね。......コイツも遠距離攻撃の手段は持ってるし。ゼルドはドラゴニュートだから魔法使えるし、うん。べっ、別にうらやましくなんてないんだからねっ!


「......ここらへんか。」

「そうだな。気配を感じる」

「ほー。便利だな、ダークエルフってのは。」

「お前もそれくらいわかるだろ」

「まぁな。......気を抜くなよ。来る。」


最初にふざけたのはそっちじゃねーか。だが、言ってることは間違ってない。気を抜くと、いつやられるかわからない。だから、気を抜くわけには行かない。


ガサガサガサッ......!


「......っ!」

「......っ!?待て!」








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