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12話 あ~んって言わば男子の夢でもあると思うんだよ。






古来より人は『あ~ん』と言われ、口に食べ物を近づけられたら『あ~ん』と言いながら食べ物を食わなくてはならない。へ~え。この世界にも、こういう文化あったんだ。しかし、解らん。いや、この文化は解る。理解した。だが、解らない。なぜ、俺の眼前に食べ物が近づけられてる?なぜ、俺は『あ~ん』って言われてんだ?


「あ、あの......リーナさん?これは何をしているのですか?」

「お前は、腕を使い過ぎて疲れてるだろ?だからだ。」


う~ふ~ん......。理由になって無い気がするぞ。気のせいだろうか?まぁいい。確かに、俺は五月雨撃ちを一発で習得するために少しムチャをした。その結果、腕の筋肉を傷めたらしく、動かすと激痛が......。恐らく筋をひねったか筋肉痛なんだろうけど、少し動かせない。


「すこし頑張っただけでこれだよ。参ったなぁ」

「ふ。武器を使うものは大抵が最初にケガをするものだ。」

「って言っても、俺は二か月も武器をふるってるんだぜ?」

「武器はいくら鍛錬しても極めることができないと言われるほど奥深いのだ。そう考えると、たった二か月武器をふるっていただけなんだ。ケガをするのは必然だと思わないか?」


......たしかに。では、甘んじてこの状況を受け入れるとしよう。あ~んを受けてやろうじゃないか。仕方ない。......嬉しくなんかないんだからねっ!


「ほら、遠慮しないで今はゆっくり休め。」

「......さんきゅー。助かるよ。」

「いいから、早く食べろ。じゃないと、私の腕が疲れてしまう。」

「......解ったよ!喰えばいいんだろ!......あ~ん」


......うむ。美味い。しかし、これはリーナが作ったんだろうか?だとしたら、かなり女子力あるんじゃないか?......この世界では普通なのか。


「うん、美味い!これ、おま......リーナが作ったのか?」

「あ、ああ。私が作ったが?」

「お前、料理上手いんだな!俺、料理はからっきしだから、すげえよ!」

「そ、そうか?これくらい普通だと思うんだが?良かったらこれからも作るが?」

「マジで!?ご飯代が無駄にかかってたから本当に助かる!」

「ははは、私でよければ、飯なんていつでも作ってやるぞ」


ほう......マジでか。これ、夢じゃねーよな?なにこのラノベ展開。もしかして、夢じゃねーよな?今起こしたら神様でもぶん殴る。めりょめりょにしてやる。......本当に、夢じゃないよな?望めばご飯を作ってくれる美少女が本当に居たなんて。


「......正直ここまでされると惚れそうになるな。」

「惚っ、ほっ!?」

「まァ、あ~んなんかされたら普通は惚れるわな。それに、俺の世界じゃ引っ張りだこになるくらい魅力的な要素兼ね備えてるぞ、お前。」

「......お前の世界では、か。」

「そうだ。強くて、料理が出来て、気配りができて、それでいて行動の端に可愛さが垣間見える。世の男子たちは床を転げて喜ぶだろう。」

「ハハッ.....!何を言っているんだか。」

「どうせ、この世界でもお前はモテるんだろ?」

「いや、この世界ではあまりな。お淑やかな女が人気なのだ。」

「俺は、苦難を共に乗り越えられるような強い女性ヒトが良いと思うんだがな......」


だって、この世界は危険なわけだし、魔物もいる。だったら、一緒に戦って、助けて助けられる方が良いと思わないか?愛する者が魔物に殺されるより、愛する者が魔物をぶっ飛ばした方がいいだろ?おまけに、料理もうまい方が良い。


「お前には世話になってるからな。それと、今日も。......朝早くからありがとうな。」

「気にするな。お前には一刻も早く良くなってもらって、恩を返してもらわなきゃいけないからな!じゃ、私は行くよ。今日も訓練兵指導があるからね。」

「うん。いってらっしゃい。」


......行ったか。やっぱり、こんなに世話してもらってるんだ。一刻も早く恩を返さなきゃならない。......この世界にはスキルポイント以外にレベルという概念が存在する。そして、レベルの上昇は身体能力の上昇を意味する。強くなるには、レベルが必要不可欠なんだ。そして、恩を返すには強さが必要なんだ。......することは、決まっている。







「......っらぁ!」


ガウ!グルァゥ......


フフフ......フハハハハハ!やれる......やれるぞ、俺一人でも!リーナの補助がなくたって、俺一人でも魔物を討伐できた!


「次ィ!」


明らかに自分の中で力が上がった感覚。間違いない。『レベル』が上がったんだろう。筋力、俊敏が自覚できるほどにアップしているのがわかる。他にもステがあるんだけど、それは自覚できないな。魔力も良く解らないし、防御力なんて自覚できない。......それにしてもRPGっぽいな。


「フハハハハハ!!まるで魔物がゴミのようだ!」


一回は言ってみたいよね、このセリフ。日常では言う機会なんてあるわけないから、結構うれしいかもしれない。


「......うっ!ぐぎぎぎ......!」


オオカミの噛みつき攻撃を剣でなんとか受け止める。......キツイな、これ。当たり前か。ダークエルフとはいえ、今は限りなくレベルが低い。


「よいしょぉっ!」


さっき手に入れた剣スキルの初期スキル【スラッシュ】を放つ。ただ斬るだけだ。そう、ただ斬るだけ。なぜ、それの為にスキルを放つのか。それは......スキルの方が威力が高いからだ。


キャン!......クルルルルゥ


おお、俺案外強くね!?この調子で引き続き狩ったるで!


「【スラッシュ】【スラッシュ】【スラッシュ】!!!」


連続スラッシュだ!!!くらえこのオオカミどもめ!お前か!お前が俺を怖がらせたオオカミか!このやろう!今でも時々夢に出てくるんだぞ!......実際昨日も夢見たし。それが理由で今日来たって言うのもあるし。


「これで......どうだっ!」


少し上がった筋力に任せ、素早く剣を振りまくる。......ゲームではつきものだろ?五月雨撃ちがあるなら、五月雨切りもあんじゃね!?っつーことだ。


「五月雨切り......もどき!」


まだ習得していないからね!もどきだもどき!......そして、感じる手応え!五月雨撃ち習得時、そして、レベルアップ時にも感じたこの感覚。間違いない


「そして入手した本物......【五月雨斬り(スラッシュラッシュ)】!!!!」


......うん。五月雨斬りじゃなかったね。スラッシュラッシュだったね。でも、俺は五月雨斬りと呼ぶ!!だって、五月雨斬りの方がカッコいいじゃん。スラッシュラッシュってダジャレっぽいし。


「おおおお!つ、()ぇええええええ!!!!」


そ、想像以上に強かった!これがスキルの恩恵か!スキルの方が威力が高いってさっきも言ったけど、早さも段違いだ。五月雨撃ちも矢筒から取り出して撃つまでの動作がブーストされてたけど、これも単純に剣速がアップしてる。スキル、これはとんでもないな。これがあると無いとでは全く違うな。......リーナが最初に弓スキルの習得を勧めるワケだ。


「【スラッシュ】!【スラッシュ】!」


キャウン......


「【スラッシュ】!【スラッシュ】!【五月雨撃ち(スラッシュラッシュ)】!」


というかここすごいな!オオカミめちゃくちゃいるやんけ!ガンガンスキルポイント溜まってく!ここは狩場指定されてるから間違いなく大丈夫な場所だし......遠慮はいらない!


「うおっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」











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