第41話 学園都市世界へ
「獣人世界グレイル編」最終話です。
お楽しみください。
俺、コルナ、ミミ、ポルの四人は、マスケドニアに向け出発した。
事情もあり、舞子も同行する。結局、点ちゃん1号で、アリストから飛ぶことにした。
俺たちが乗った点ちゃん1号は、サザール湖の上を飛んでいく。陽の光にきらめく水面が、まるで鏡のようだ。
すでに気安い友達となっている舞子とコルナは、軽口を叩きあい、じゃれている。
ミミとポルは、パンゲア世界の美しさに見いっていた。彼らは何度か点ちゃん1号で飛んでるから、グレイル世界で空からの景色は見慣れているはずなんだけどね。
一時間もしないうちに、王宮の上に来る。
停戦後、アリスト=マスケドニア間は、魔道具による”ホットライン”で繋がっている。 前もって畑山さんが、マスケドニア王に連絡しておいてくれた。
王宮の中庭に、音もなく降りる。
警備の衛士たちが驚き、腰を抜かしている。空から巨大な鳥みたいなものが降りてくるんだから、驚くのも当然だ。
ちなみに、今日の点ちゃん1号は、白銀モードだ。
「おお!
シロー、久しぶりだな」
マスケドニア王が、歓迎してくれる。
「しかし、これは一体何なのだ」
陛下が点ちゃん1号に興味を持ったので、中を案内する。彼は、外観より内部のくつろぎ空間に驚いていた。
「のう、先の開戦時にこれがあれば、何とかなったのではないか?」
さすがです。その通りです。
まあ、でも、これ作れるようになったの、獣人世界に行ってからだから。
その後、俺たちは国賓として宴に招かれた。舞子は陛下の横に座らされ、獣人世界のことを根ほり葉ほり尋ねられているようだ。
俺は久しぶりに会った青年軍師ショーカから、学園都市世界のことを教えてもらっていた。
後で資料として渡してくれるとのこと。
国の機密だろうに、思いきったことだ。
獣人三人は、王宮の豪華な料理に舌鼓をうっていた。コルナは、この国の郷土料理であるシューマイに似た品が気に入ったらしい。料理長を呼び、調理法を尋ねていた。
食事が終わると、俺、舞子、マスケドニア王、軍師の四人は、王宮地下の一室に集まった。
この部屋の秘密こそ、俺が家族を残してまで獣人世界へ行き、そして今また学園都市世界へと向かう理由だ。
舞子がある作業をしている間、俺はドキドキしながら待っていた。
わずかな望みにかけて。
作業を終えた舞子は、力強く頷くと、俺の方を見て微笑んだ。
俺の祈りは、天に通じたようだ
これで、俺の計画に必要な三枚のカード中、二枚まで揃った。
俺は、残りあと一枚を手に入れるため、部屋を出た。
最後の一枚、それこそが勇者加藤だ。
◇
学園都市世界へのポータルは、マスケドニア王宮からほど近い、湖岸近くにある小さな島にあった。
俺たちパーティ・ポンポコリンの四人は、陛下が用意してくれた馬車、小舟と乗りつぎ、その場所まで一時間ほどで到着した。
湖面に浮かぶ島は本当に小さかった。その面積は、せいぜいアリストにある俺の家くらいだろう。
小舟を着けた砂浜は、そのまま石造りの遺跡へと続いていた。
石を巧みに組んで作られた遺跡には、その中央に屋根つきの小さな祭壇があった。
案内役の軍師ショーカが呪文を唱えると、緑の石でできた祭壇の扉が、キイと開いた。
その奥には、黒く渦巻く空間があった。
まちがいなくポータルだ。
「これは、陛下からです」
ショーカが、革のケースと小袋を渡してくる。ケースは、学園都市世界の資料だろう。
「ケースの中身は、読んだら焼却してください」
俺が頷くと、ショーカは手を差しだしてくる。感謝を込め、力強く握手した。
「では、良い旅を」
俺、コルナ、ミミ、ポルの四人は手をつなぎ、ポータルへと踏みこんだ。
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「獣人世界グレイル編」終了 「学園都市世界アルカデミア編」に続く
獣人世界編終了です。
あっという間に書き終えてた感じです。
ポルやミミ、コルナの存在が大きかったかな。
点ちゃん1号は、書いてて楽しかったです。
次シーズンでも点ちゃんは大活躍しますよ。
ますます楽しくなるポータルズ。
これからもよろしくお願いします。
では、次回「学園都市世界アルカデミア編」でお会いしましょう。
次シーズンにつづく。
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