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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第14シーズン 異世界科クラスの修学旅行編
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第37話 異世界体験報告会(下)

 異世界科生徒の報告会後半です。


『(*'▽') みんなすごーい!』


「では、『剣士』に覚醒した皆さん、お願いします」


 白神の声を合図に、舞台奥から三人の女子を含む十五人の生徒が前へ出てきた。

 それぞれが、剣道部から借りた竹刀を手にしている。  


「構え!」


 原田が、ぽっちゃりした体から声を出すと、会場から幾つか笑いが起こったが、それはすぐに止んだ。

 十五人が一糸乱れず演じた剣技のかた、その迫力に息をのんだのだ。

 最後、原田一人が鋭い『突き』をもう一度見せると、体育館が拍手に沸いた。


「すげー!」

「原田君、カッコイイね!」

「俺も『剣士』になりてー!」


 十五人の『剣士』が舞台奥に下がると、替わって前に出てきたのは、委員長の宇部を含む十二人の『魔術師』だ。


「では、次は『魔術師』のみなさんです」


 白神の言葉を聞いて、普通科の生徒からヤジが飛んだ。


「おいおい、魔術師だってよ!

 魔法でも見せてくれるのか?」

「口から火を噴くんじゃねえか?」

「鳩かウサギを出すんじゃねえか?」


 どうやら、マジシャンと『魔術師』の区別がつかない者がいるらしい。

 そんな彼らも、舞台上の生徒たちが、一斉に水玉を宙に浮かべてみせると。

 急に黙りこんでしまった。


 幾つかの水玉が舞台上にピシャリと落ちてしまったが、かえってそのことで魔術の信ぴょう性が高まったようだ。

 数人の生徒が、用意していた雑巾で濡れた舞台を拭きおえると、彼らに代わって二人の男子生徒が前へ出てきた。

 

「大和君と小西君は、『拳闘士』となりました」


 白神からの紹介で、上下白い道着に黒帯を締めた大和と、白い道着と紺袴を着こなした小西が、舞台上から舞台下の教師と生徒へ礼をする。

 次いで、お互いに礼を交わした二人は、息が合った演武を始めた。

 それはあらかじめ決められた動きだったが、二人が繰りだす手と足は速すぎて何本にも見えるほどだった。

 最後に一瞬で二人が左右それぞれの立ち位置を代えると、会場から割れんばかりの拍手が起こった。

 彼らのパフォーマンスは、魔術や剣技に比べ、その凄さが分かりやすかったらしい。

  

 湧いていた「客席」が静かになるのを待ち、三宅が前へ出てきた。

 控えていた二人の生徒が、舞台袖から大きなキャンバスを持って現れる。

 

「三宅さんは、『写生師』という職業クラスに覚醒しました」


 白神が紹介すると、小柄な三宅がぴょこんとお辞儀した。

 彼女は、手にした小型魔術杖ワンドを、立てかけられた白いキャンバスの上でスラスラ滑らせた。

 ワンドの先が銀色の線を描く。やがて、その線は六匹の生きものを形づくった。

 舞台下から見ている生徒たちは、何のことか分からず、ぽかんとした顔で見ている。


 描きおえた三宅が、ワンドの先でキャンバスに触れた。

 六匹の生きものの絵にさっと色が着く。白、黒、茶色の縞模様、白、ピンクに塗られたそれは、それぞれ白猫、黒猫、ウリ坊、白い毛玉、ピンクのカバ二匹だった。

 この時点で、教師と生徒から驚きの声が上がったが、その六匹がキャンバス上をちょこちょこ動きだすと、黄色い歓声が上がった。


「きゃーっ!

 なに、アレ!

 カワイイ!」

「あれ、動画なの?」

「丸くて白いふわふわって、なに?

 カワイー!」

「ピンクのカバ、スゲーな!」

「まるで生きてるみたい」


 キャンバス上を歩きまわっていた六匹は、やがて元の位置に戻ると、ピタリと静止した。


「アリストで我々が出会った、シローさんの家族である、ブランちゃん、ノワール君、コリン君、キューちゃん、ポポラちゃん、ポポロ君でした」


 そう言って、ぴょこんと礼をする三宅に、生徒だけでなく教師までも、みんな立ちあがり拍手した。

 そのざわめきが鎮まらないうちに、マイクを持った白神が話しはじめた。


「修学旅行前の説明会で私たちが襲撃を受けたことは、みなさん記憶に新しいと思います。

 私たちは、覚醒で手に入れたこの力を、自分たちの身を守るため、そして、なによりも社会全体のために使っていくつもりです。

 今日は、長いこと私たちの話を聞いていただき、どうもありがとうございました。

 職業の紹介をしたのは、『賢者の卵』こと白神でした」

 

 彼女は、スカートの後ろに差していたワンドを抜くと、呪文を唱えながら、その先を上へ向け大きく振った。

 体育館の天井辺りに光の輪ができると、そこから様々な色の光がクルクル回りながら落ちてくる。

 それはきらきら輝くパステルカラーの花だった。

 

「「「うわー!」」」


 リン

 リン

 リン

 

 落ちてきた光の花は、生徒たちが伸ばした手や床に触れると、鈴の音に似た涼やかな音を立てて散り、跡形も残らなかった。 

 舞台上では異世界科の二年生が並び、礼をする。

 体育館は、コンサート会場のような盛りあがりをみせた。


 読んでくださってありがとう。

 異世界科の生徒たちは、覚醒した職業ごとにカッコイイ披露ができました。

 白神さん、いつのまにそんな技を?!

 その辺の秘密は、また後ほど。

 明日へつづく。

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