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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第83話 オコ騎士の帰還(中)

 グルメ回です。

 王族、貴族にお好み焼きをふるまいます。


 見覚えのある侍従長に案内され、俺たち一行は、夕日で彩られた花壇の間をお城の本棟へ向かっている。

 迎賓館から三分ほどの距離だが、色とりどりの花で飾られた庭は、ルルの心を捉えたようだ。

 彼女は植えこみごとに、立ちどまって花を眺めている。

 そのためか、俺たちがお城にある玉座の間に入った時には、すでに貴族たちがピシリと立ちならんでいた。


 玉座の前でひざまずこうとした俺たちは、侍従にそれを止められた。

 

「シロー殿、よう戻られた!

 オコ騎士の帰還、ティーヤム国を挙げて歓迎する!」


 ええっ?

 気楽に立ちよったつもりなのに、どうしてそんなことに?

 それに、オコ騎士ってどうよ?

 まあ、例の言葉で呼ばれるよりマシだけど。-----


「お久しぶりです陛下。

 今回は、『ポンポコ商会』という会社の仕事でここを訪れました。

 どうか、大げさな事はご無用に願います」


「そうか……宰相に言うて祭りの準備をしようと考えておったのだがな。

 仕方ない。

 だが、一週間は滞在してもらえるのだろう?」


 この国の一週間は、六日だったな。

 

「はい、少なくともそのくらいは滞在する予定です」


「頼むぞ。

 それから約束していた件は、商業ギルドと話がついておる。

 明日にでも場所を案内するから、不満があれば、気兼ねなく息子に言ってくれ。

 では、堅苦しいことは抜きにして、食事にしたいのだが、あー、もしできるなら――」


「陛下、分かっております。

 今日の夕食は俺が用意しますよ」


「「「おおお!」」」


 なぜか、陛下だけでなく、貴族の何人かも歓声を上げる。

 

「では、宰相、人数のことなどシロー殿と打ちあわせよ。

 会見はこれまでじゃ」


 陛下はさっと玉座から立ちあがり、そそくさと奥の扉へ消えた。

 何を急いでいるのかな?


『d(u ω u) お好み焼きを早く食べたいだけじゃないですか?』


 いや、点ちゃん、いくら何でも、それって……あり得るな!

 あの王様なら、それもあり得る。

 なにせ、熱々のお好み焼きを食べるために、わざわざ法律まで作らせたほどだからね。


 ◇


 食事には、俺が初めて見る大広間が使われることになった。

 これは、俺たちの人数が多いだけでなく、貴族が食事を共にすることになったからだ。

 宰相によると公爵家、侯爵家以上の十人程が参加するらしい。

 

 居並ぶ貴族たちが、子供のように目を輝かせてこちらを見ている。

 なんか期待されてる?

 あれ? 陛下の後ろに立っているお毒見役、以前は視線だけで殺せるような目つきで俺を見ていたのに、あの人までキラキラおメメになってるよ。

 しょうがないなあ、とりあえず、お好み焼きを出しておくか。


「わあ、オコ焼きだあ!」


 陛下の隣に座る少女、ルナーリア王女が嬉しさを隠しきれない。

 少女の反対側には王妃が座っているが、彼女、じっとお好み焼きに見入っている。

 王妃様がよだれを垂らしてはいけません。

 

 慌てて「号令」をかける。  

 

「いただきます」

「「「いただきまーす!」」」


「「「熱っ、旨っ!」」」


 王妃様、ルナーリア、シュテインが同時に声を上げる。

 シュテイン、君はなんで陛下の横ではなく、俺の横に座ってるのかな?

 お替りのため?

 まあいいや。


「ふぅおー!

 陛下からうかがった通りじゃ!

 なんじゃ、この旨さはっ!」

「あり得ん!

 これはあり得ん!」

「旨すぎる!」


 お好み焼き、貴族のおじさんたちにも、受けてるみたいだね。

 

「おい!

 早う渡さぬか!」


「味見、いえ、毒見せぬものなど、陛下に召しあがっていただけませぬ!」


 陛下と毒見役が、お好み焼きが載った皿を取りあっている。

 もう、あの二人は放っておこう。


「「美味しいね」」

「「うん!」」


 翔太とエミリーの笑顔に、ナルとメルも笑顔で答えている。

 こっちはほのぼのしてるな~。


「あっ、ミミ、自分の食べたでしょ!

 ボクの取らないでよ!」

「ポン太のものは私のもの!」


 あれ? ほのぼのじゃない人もいたか。


「これ、初めてだけど、最高ね!」

「でしょ、コルナ!

 これ、私の好物なの!」


 そう言う舞子の前には、これも地球から持ってきたピザが……。

 ちなみに、これ、イタリアで焼きたてを買ってきた。

 お好み焼きの在庫が少ないから、仕方ないんだよね。


「これ、ニューヨークでも食べましたが、こっちの方が美味しいです」

「私も、東京で食べたけど、断然こっちの方が美味しいわ」


 ルルとコリーダが、そんな話をしている。

 まあ、このピザ、イタリアの地方都市にある評判の店で買ってきたから。


 いち早くお好み焼きを食べおえた王妃様、ルナーリア姫、シュテインが指をくわえてこちらを見ている。視線が俺とルルたちを往復しているのは、お替りにピザをご所望なのだろう。


 しょうがないから、王族と貴族には、お替りとして、焼きたてピザを一枚ずつ配った。


「「「「「熱つトロうま~!」」」」」


 いや、全員で声を合わさなくていいから。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 異世界でもピザが通用したようです。

 次回、ルナーリア姫によるモフモフタイムです。

 明日へつづく。

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