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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第79話 薬師の街(下)

 ルエラン君は、凄く稼いでるみたいです。

 点ちゃん、史郎にもイベントが。


『(*'▽') やっちゃうよー』


 はっと気づくと、ふかふかの毛布を掛けられ、ベッドに寝ていた。

 部屋は八畳ほどの個室で、壁には趣味のいいタペストリーが掛けてある。

 木造の建築物だが、見覚えがない部屋だった。

 ここどこ?


「シローさん、気がつましたか!」


 部屋に入ってきたのは、かつてこの世界で知りあった小柄な薬師の少年、ルエランだった。

 手に木桶を持っている。 


「おっ、ルエラン、久しぶりだね!

 ところで、俺、なんでこんなところで寝てるの?」


 どうも、街に入った辺りから記憶がはっきりしない。


「それは、シローさんがギルドで、えい……まあ、それはいいでしょう。

 それより、みなさんがご心配されていますよ」


 彼は木桶から濡れた布を出すと、それを固く絞り手渡してくれた。

 冷たい布で顔を拭くと、すごくさっぱりした。

 ミントに似た爽やかな香りがするのは、布を漬けていた水に薬草が入っていたからだろう。

 さすが腕利きの薬師だね。


 ルエランが手を貸そうとしたが、なんとか自分で立ちあがる。


「ところで、ここはどこ?」


「ウチの別館です」


 えっ、どういうこと?


「以前、シローさんに手伝ってもらってから、店がかなり繁盛しまして、二号店と別館を建てたんです」


「も、儲けてるんだね?」


 うーん、ルエランを商売に誘うつもりだったんだけど、賛成してもらえるだろうか?


「今回、この街に来たのは、商売のことで相談があってね?」


「商売?

 シローさんって、冒険者ですよね?」

 

「ああ、そうなんだが、実は以前から商売の方にも手を出していてね」


「そうだったんですか。

 なるほど、それでこの店を手伝ってくれた時、貴重な助言をしてくれたわけですね」


「まあ、そんなところ。

 とにかく、一度、俺の仲間と話をしてもらえないか?」


「じゃ、みなさんの所へご案内しますね」


「ありがとう」


 ルエランに案内され、木の香りが漂う廊下を歩く。

 造りや内装にお金が掛かっており、ずい分大きい。

 目的の部屋は、階段を降りた突きあたりにあった。


 広い部屋は、会議室にしては豪華すぎる。

 ルエラン、どんだけ稼いだんだよ! 

 

 部屋には家族と仲間が全員いた。

 お茶とお菓子を前に、みんなくつろいでるね。


「「パーパ!」」


 ナルとメルが跳びついてくる。

 二人とも、俺が初めて見る黄色いワンピースを来ていた。

 

「シロー、フィナさんが、二人に買ってくれたんですよ」


 ルルが説明してくるけど、ええと、「フィナ」って誰だっけ?


 小柄な初老の女性が、ナルとメルの頭を撫でている。

 

「ルルさん、シローさんには息子が大変お世話になったんですよ。

 気にしないでくださいな」

 

 彼女は、ルエランのお母さんだ。

 あれ、もしかして、「フィナ」って彼女の名前かな?

 以前ここにいた時、彼女のこと「お母さん」って呼んでたから、名前を知らなかったよ。


「ルル、大事な仕事の話があるから、子供と街で遊んできてくれる?」


 この国のお金が入った革袋を点収納から出し、それをルルに渡す。


「はい、分かりました。

 でも、明日は遊んでやってくださいね」


「もちろんだよ。

 さあ、ナル、メル、マンマと遊んでおいで!」


「「わーい!」」


「お兄ちゃん、私たちも遊びに行くね」


 コリーダと舞子と手を繋いだコルナが笑顔で言った。

 みんな、異世界の街に興味あるんだね。

 俺も一緒に遊びたいのに!


「お金はルルに渡してるから、みんなで楽しんでくるといいよ」 


 結局、会議室には、『ポンポコ商会』の業務に直接かかわる、ミミ、ポル、黒騎士の三人と、今回だけのサポート役であるハーディ卿と軍師ショーカが残った。

 ルエランの店で働いている使用人が、みんなの前にお茶を用意して部屋から出ていく。


 今回の会議は、外に情報が洩れるとまずいこともあるから、念のため点ちゃんにこの部屋に防音をかけるよう頼んでおく。


「ルエラン、フィナさん、今回ここにうかがったのは、俺が経営している『ポンポコ商会』と業務提携してもらおうと思ったからです」


「まあ!」


 フィナさんは、驚いたようだ。

 彼女は俺がただの冒険者だと思ってるからね。


「ええと、説明が長くなりますが、最初から話しますね」


 ルエランとフィナさんには、世界群の説明からしなければならないからね。

 長い話の間、二人はずっと驚きっぱなしだった。

 その辺の詳しい話を知らなかったハーディ卿とショーカ、黒騎士まで驚いている。

   

「なるほど、ティーヤム王家がシローさんをえ……恩人・・として扱うのも当然ですね」

「凄わね、シローさん!

 息子がそんな方と友達なんて、まだ信じられないわ」


 気持ちを落ちつけるためか、水を飲んだ後、ルエランとフィナさんは、そう言った。


「いえ、ルエランの方が凄いですから」


 だって、俺がいろいろしたのって、ほぼ点ちゃんの力だからね。


『(≧▽≦) てへっ、えへへへへ』


 点ちゃんがデレている!

 うわっ!

 突然、なんだこりゃ!


「うわっ!」

「ま、まぶしいっ!」

「目がっ、目がっ……」


 俺の身体から放たれる光に、みんなが悲鳴を上げる。

 おいおい、こんなタイミングでレベルアップですか!


『(*'▽') 私のレベルアップですね! 次のスキルは――』 


 いや、点ちゃん、悪いけど今は仕事中だから、後でいいから。 


『(;ω;) せっかくレベルが上がったのに……』


 ごめんなさい、ホントごめんなさい、点ちゃん。

 凄く大事なことだから、仕事が終わってから、じっくり聞きたいじゃない?


『(=ω=) ほんとですか~?』


 疑ってる、疑ってるね!


『(・ω・) まあいいですけどね、あとでブランちゃんに調べてもらうから』


 ひいっ! もう堪忍してください!


 いつもお読みいただきありがとうございます。

『ポンポコ商会』と『ルエラン薬草店』の提携は上手くいきそうですね。

 明日へつづく。


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