第57話 ドラゴニア世界から田園都市世界へ
『ドラゴニア世界』での旅と商売も今話まで。
舞台は『田園都市世界』へと移ります。
イオと竜人の国に戻り、ネアさんや支店の従業員に挨拶した後、真竜廟で子竜の世話をしていたルルたちと合流する。
ナルとメルは、さっそくルルに甘えている。
そして、その横には同じように彼女に甘えている三人の幼児がいた。
「この子たちも、人化を覚えたんです」
ルルが嬉しそうに小さな二人の幼な子を指さす。
少し前までは、ぬいぐるみにしか化けられなかったのだから、凄い進歩だ。
『こやつら、我の予想を超えて成長しておる』
竜王様の念話もどこか誇らしげだ。
コリーダ、コルナも、三人ずつ幼い子供をあやしている。
「竜王様、また近いうちに来ますね」
『おお、この子らのためにもそうしてやってくれ』
「マンマー、バイバイ!」
「マンマ!」
「マーマ!」
人化した子竜たちの見送りを受け、俺たちは次の世界へ転移した。
◇
「まっ、また森の中!?」
「ここどこ?」
「何が出る?」
俺たちが現われたのは、森の中だった。
天竜国で竜王様に驚いた、ショーカ、黒騎士、ハーディ卿は、びくびく周囲を見回している。
早朝の森は、鳥の鳴き声と木々の匂いが気持ちよかった。
「ええ、最初に言っておくけど、この森は危険な魔獣は今のところ、確認されていないよ。
ここは、俺が『田園都市世界』って呼んでる世界なんだ。
かなり風変わりな社会だから、街に出る前に、ここで準備しておこう」
飛行機型の点ちゃん1号を出し、みんなには、その中に用意したくつろぎ空間に入ってもらう。
「この世界は、ポータルズ世界群からしばらく離れていたんだよ。
そのため、特殊な社会が形づくられたようなんだ」
それぞれが、思い思いの格好でくつろいだところで、『田園都市世界』の説明に入る。
ナルとメルもいるから、説明は『学園都市世界』の研究者が実験的な社会を作ったという程度にとどめておく。
「実は知りあいが二人だけいるんだけど、今は留守みたいだね」
銀さんとタム少年、二人が住んでいた小屋に点を飛ばし調べてみたが、そこには誰もいなかった。
調査範囲を拡大すると、二人を示す光点が街にある。
「では、昼食、ああ、この世界では朝食か、それは街で食べようか。
じゃ、みんな出かける用意してね」
◇
森から草原まで歩き、そこからは、点ちゃん4号(改)を出し、それに乗る。
白銀色の機体は、バイクを模している。
前輪、後輪があるべきところに、それぞれボードが着けてある。
地面から二十センチほど上を滑るように進む。
左右の方向転換は体重移動とハンドル操作でおこない、ブレーキは手元にあるレバーを引けば、点魔法の『付与 重力』が進行方向の逆にかかるようになっている。
ルル、コルナ、コリーダはそれぞれやや小型の4号(改)に乗る。
それぞれの魔獣は、バイクならスピードメーターがある部分に座席が用意してある。
バイクの免許も持っている黒騎士は、すぐに運転の要領を理解した。彼女が運転する4号(改)の後部座席には、ショーカが乗ることとなった。仲が悪い二人は、さっそく口喧嘩してるけどね。
エミリーと翔太は、通常サイズの4号(改)に着けた二人用のサイドカーに乗りこむ。運転するのはハーディ卿だ。
「エミリー、パパがぶっ飛ばすのを見ておくれ!」
以前からこのバイクに乗りたがっていたハーディ卿は、やけに張りきっている。
まあ、ぶっ飛ばそうにも、スピードはこちらでもコントロールできるから無理なんだけどね。
「ほう!
話にはきいていましたが、これはイイですな!」
リーヴァスさんのバイクは、大型でスピードと操作性を向上させた最新型だ。
これは真紅の機体となっている。
「パーパ、これだけまっ黒ー!」
「カッコイイ!」
ナルとメルは、オリジナルの点ちゃん4号(改)に備えつけたサイドカーの中だ。
ナルが前、メルが後ろに座り、メルの膝にブランが乗った。
この機体だけは、俺と点ちゃん二人で操作する。
『p(≧▽≦)q じゃー、みんな街へゴー!』
「「「おー!」」」
俺の家族とハーディ卿が突然歓声を上げたので、点ちゃんの念話が聞こえないショーカがキョロキョロしているのが面白かった。
のどかな田園風景の中、俺たちの「バイク」は一団となり、舗装されていない長い直線道路を走る。
「ひゃーっ、ほうっ!」
そんな声を上げるハーディ卿を、サイドカーに乗るエミリーが微笑んで見上げている。
みんなの笑顔が気持ちいいね。
『(^▽^)/ 4号サイコー!』
いつもお読みいただきありがとうございます。
子竜たち、人化できるようになってよかたね。
いっぱい、マンマに甘えてね。
『(≧▽≦) うひゃーっ!』
点ちゃんは、史郎と一緒にバイク型4号を運転できたのが楽しかったみたいだね。
明日へつづく。




