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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第51話 ドラゴニアでの商売(下) 

 新商品登場!



 できたてホヤホヤの、『希望の家』二階にある広い会議室で、俺は睡魔と戦っていた。

 ここへ瞬間移動させた副支店長二人とネアさんから、商売の状況を聞いていたのだが、徹夜明けの俺は、上体がぐらぐらしっぱなしだ。

 

「人間回転木馬」


 黒騎士がぼそりと洩らした言葉で一瞬目が覚める。

 だが、すぐにまた目が閉じてくる。


『( ̄▽ ̄) ダメだね、こりゃ』

「ミーミーミー!」(起ーきーろー!)

 

 ブランの肉球がプニプニ頬に当たるのが、かえって眠気を強める。


「シローさん、新商品のプレゼンお願いします」


 珍しくハーディ卿の声が厳しい。


「ふぁ、ふぁい。

 ええと、なんでしたっけ?」


「リーダー、いい加減にして!

 新商品を紹介する」


 ただでさえ冷たい黒騎士の声が凍えるようだ。

 これはヤバいぞ。


「ええか、ここからがホンマの会議やで!」


 眠いので、大阪弁っぽくなっちゃった。


「誰やねん!」


 そして、黒騎士さん、レアな突っこみありがとう。


 ◇


「新商品だけど、ドラゴニアに不足しているもの三つを考えてる」


 点収納から取りだしたお茶を飲み、なんとか目を覚まして発言を始める。 


「一つは、塩。

 これは、すでにこの世界で非常に希少なことが分かっている。

 もう一つは、ポーション。

 治癒魔術を使える人が少ないドラゴニアだけど、なぜかその割に薬が発達していない。

 これは人々のためにも売るべきだろうね」


 黒騎士が驚いた顔でこっちを見ている。

 俺が真面目だと、そんなに珍しいかね。


「最後に、家。

 この世界の家は、その厳しい気候により半地下型になってるんだけど、そのせいか建物のデザインが画一的なんだよね。

 周囲の家との調和をなるべく乱さないように、新しいタイプの家を提案する予定だよ」


「他のものはともかく、家を建てるとなると、人手のこともありますから『ポンポコ商会』だけでは難しいのでは?」


 ハーディ卿は、さすがにその辺の事を考えてたか。


「論より証拠、実際に見てもらおうかな」


 みんなを連れ、点ベーターで地下へ降りた。


 ◇


 地下一階。

 広い空間に、立方体に成形された白いものがたくさん並んでいる。


「おい、まさか、これ全部が塩って言うんじゃないだろうな?」


 ジェラードが呆れている。


「お前が気づいた通り、これは全部塩だ」


「と、とんでもないな!」


 いや、地球世界では、塩ってそれほど高価なものじゃないから。



 地下二階。

 ここは薬の調合、保管など、目的別にいくつかの部屋に分かれている。

 もっとも大きな部屋はポーションの保管庫だが、今は空っぽだ。

 

「ここは何もないんだな」


 ジェラードがホッとしたような顔をする。

 なんでだよ。


「ポーションは、ボナンザリアという世界から輸入する予定だからね。

 治癒魔術師、薬師たちとの折衝は頼んだぞ」 


 ドラゴニアの治癒魔術師は、そのほとんどが白竜族だ。

 そのため白竜族の族長ジェラードが動いてくれると都合がいい。


「くー、やっかいなこと頼むよなあ、ホント」


 いや、いつも迷惑かけられてるんだから、そのくらいしてもらうよ。


『( ̄▽ ̄) どっちもどっちだと思いますけど?』

 

 えっ!? 

 そうかな?



 地下三階

 ここには、広い部屋が四つある。

 どの部屋も天井が高いのが特徴だ。


「ここにも、何もありませんね」


 ネアさんが、辺りを見まわしてそう言った。

『枯れクズ』の淡い光に照らされた部屋はガランとしている。


「この部屋はショールームだよ」


「ショールーム?

 何を展示するの?」


「黒騎士さん、展示するのはこれだよ」


 俺は点収納から青いアタッシュケースを取りだした。

 点ちゃんにかっこよく作ってもらった、こだわりの一品だ。

 パカッとケースを開ける。


「カプセル?」


 黒騎士が当惑する。

 ケースの中には、テニスボールサイズの青いカプセルが四つ、黒いスポンジに収まっている。


「ネアさん、お客さんに紹介するのはあなたですから、実際にやってみましょう」


 部屋の中央には、床に青いバツ印が描いてある。

 ネアさんをそこに立たせ、カプセルを渡す。


「カプセルには突起があるでしょう。

 それをポチッと押したら、床のバツ印に置いて、こちらに来てください」


 ネアさんは、首を傾げながらも俺が言うとおりにした。


「シロー、何も起こらないぞ」


 ジェラードがそう言った瞬間、「ボンッ」と音がして一軒の『土の家』が現われた。

 それを見たみんなは、ポカンと口を開けている。


「意味不明!?」


 黒騎士がみんなの気持ちを代弁する。


「このカプセルは、使うと『土の家』が建つんだ。

 名前は『ポチボンカプセル』

 面白いだろう?」


『へ(u ω u)へ だから、名前を自分でつけちゃダメってあれほど――』


 点ちゃんが何か言っているが、これは点魔法の『拡大縮小』を利用した、アイデア商品だ。

 土魔術であらかじめ建てておいた『土の家』を縮小し、カプセルの中に入れてある。

 ボタンを押すと、縮小が解除される仕組みだ。  


「これは、紹介するためのものだから地下構造がついていないけど、実際に売るカプセルには、それも付けるつもりだよ」


 あれ? みんな黙ってる。なんで?


 しばらく沈黙が続いた後、ハーディ卿がぼそりと言った。


「さすが《《英雄》》ですな」


 その言葉だけは、聞きたくなかった。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 家が飛びだすカプセル、便利そうです。

 しかも、単価が高そう。

 またぼろもうけする気満々ですね、史郎は。

 明日へつづく。

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