第47話 海中散歩
『(*'▽') う~っ、マンボウ!』
会議が終わると、参加者全員をビーチに瞬間移動させる。
「まあ!
素晴らしいわ!」
白い砂浜と青い海を目にしたドーラが感動している。
「こりゃいい!
まさにリゾートって感じだな!」
ビーチで遊んでいる俺の家族を見たダンは、早く泳ぎたいのだろう、そわそわしている。
「あっ、ホープちゃん!」
「わあっ!」
エミリーと翔太が、ベビーカーで寝ているホープに夢中になる。
彼らは以前、ホープと会ったことがあるからね。
みんなが集まって来たので、声を掛けておく。
「ええ、これから海中散歩を行います。
希望者は『海の家』の前に集合してください」
「シロー、海中散歩ってなに?」
コリーダが首を傾げている。
「まあ、楽しみにしててよ」
◇
結局、ホープの世話をするドーラとダン、泉に水くみに行くリーヴァスさん、ミミ、ポル以外の全員が『海の家』前に集まった。
点魔法で、二十メートルくらいの桟橋を砂浜から伸ばす。
ダンが連れてきた支店の社員は、この時点で目を丸くしている。
まだ、驚くの早いよ?
みんなが桟橋の先端辺り集合したので、点ちゃん5号(改)を少し沖に出す。
その形にちなんで『マンボウ』と名づけた潜水艇は、全長十五メートルほどの縦に平べったい白銀の機体だ。
前部横に海中を照らすためのライトが装備されているが、これが目玉っぽい。
「うわっ!」
「なっ、なんだっ!?」
「魔獣!?」
大人たちが騒ぐ中、ナルとメルは興奮してぴょんぴょん跳ねている。
「ね、パーパ、これな~に?」
「おっきいね!」
「これはね、『マンボウ』っていう乗り物なんだよ」
海に浮かべた『マンボウ』を、みんなが立つ桟橋に向ける。
「う、うわっ!?」
「こ、こっちに来る!?」
「な、なんだこいつ!?」
おいおい、たった今、「乗り物」って説明したよね。
「ええ、それでは、これに乗ってください」
潜水艇である『マンボウ』の上部ハッチへ登る階段を作る。
ハッチからは梯子で船室まで降りる仕組みだ。
まず俺が乗りこみ、お手本を見せる。
機体前部にある操縦席に座る。俺の左右にはナルとメルが座っている。
他のみんなは、左右二列ずつに分かれた座席に着いた。
「では、出発します!」
「「わーい!」」
船がゆっくり桟橋を離れる。
景色がよく見えるように機体の大部分を透明にする。
「「「おおっ!」」」
それだけで歓声が上がった。
「あっ!
し、沈んでる!?」
「リーダー!
沈んでます!」
「た、助けてーっ!」
「みなさん、ご安心ください。
この『マンボウ』は海中を進むための船です」
「「「ええっ!?」」」
今まで、色んな世界を訪れたけど、潜水艇って見たことないんだよね。
もしかして、みんな初めて見たのかな?
みんなの驚きは、すぐ別の驚きにとってかわった。
海中に極彩色の世界が広がっていたからだ。
色とりどりの魚やサンゴが彩るその世界は、誰でも心奪われずにいられないだろう。
「キレイ!」
「あのお魚、食べられる?」
ナルとメルは、身を乗りだして海中散歩を楽しんでいる。
大型の魚やクラゲ、イカに似た生き物が横切ると、悲鳴や歓声で船室がうるさいほどだ。
振りかえると、すぐ後ろの座席に座るエミリーと翔太が手を繋いで窓から外を見ている。二人とも、目がキラキラしているから、『海中散歩』は成功かな?
「パーパ、あのカニ美味しそうだよ。
獲らないの?」
メルが指さす方を見ると、岩の上に大きなカニがいる。
体調が一メートルくらいあるそのカニは、勇敢にも『マンボウ』を威嚇するように、両方の爪を振りあげた。
よく見ると、その足元に子ガニがたくさん並んでいた。
「メル、見てごらん。
大きなカニはあの子たちのママだね」
「あ、ホントだ!
ママがいなくなると、あの子たちが困るね」
「そうだよ。
だから、そっとしておこうか」
「うん!
カニさん、バイバーイ!」
メルが笑顔で手を振る。
なぜか、カニの親子もみんなが動きを合わせ爪を振っている。
「カニさんには、メルが挨拶してるのが分かったみたいだね」
「えへへへ」
一時間ほどの海中散歩は、無事終わった。
桟橋に降りたみんなが口々にその感想を言う。
「シローさん、海中散歩ですか、ぜひまたお願いします!」
「海の中って、すっごく綺麗なんですね!
次は彼女と一緒に来たいなあ」
「私、まだ夢の中にいるようだわ!」
ポンポコ商会支店の社員も喜んでくれたようだ。
「シロー、次は二人だけで散歩しよう」
「わっ、コリーダずるい!
お兄ちゃん、私とも散歩するでしょ?!」
「海の中、すっごく素敵でした。
またみんなで来ましょうね!」
「夢みたい」
コリーダ、コルナ、ルル、舞子も楽しんだようだ。
「ナル、メル、海の中をお散歩してみてどうだった?」
ナルとメルは、なぜか自分の頬を両手ではさみ、唇を突きだした。
「「う~っ、マンボウ♪」」
えっ!? 『マンボウ』のマネ?
あっ、点ちゃん、二人に変なこと教えたでしょ!
『(*'▽') ご主人様がやってたの見て覚えたー!』
「ミー!」(やってたね!)
えーと、どうやら元々の原因は俺でした。
いつもお読みいただきありがとうございます。
久々の潜水艇マンボウでした。
南の島で楽しむバカンスにはぴったりの乗り物ですね。
次話から、舞台はドラゴニア世界へ。
明日へつづく。




