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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第41話 大きなプレゼント(下)

 史郎が『南の島』に渡した大きなプレゼントとは?


 一夜明け、迎賓館で爽やかに目覚めた。

 コケットに利用している『緑苔』をたっぷり使ったベッドは、最高の寝心地だった。

 俺たちのために用意された朝食のテーブルで、黒騎士がさっそくそのことに触れた。


「リーダー、あのベッド購入できますか?

 地球に持ってかえりたいんです」


 黒騎士さんが、いっぱいしゃべった!

 きっと、凄くあれが欲しかったんだね。


「黒騎士さん、今回、あれの材料が大量に手に入りそうだから、騎士の五人には、コケットをお土産にしよう」

  

「やった!

 ありがとう、リーダー!」


「史郎君、今日は何をするの?」


 舞子は、このメンバーに慣れてきたのか、気兼ねなく話ができるようになったね。


「港に行ったあと、本店でお別れの挨拶して、フェアリスの村に寄ってから学園都市に向かうよ」


「そう……もっとこの国を見てみたかったなあ」


 たぶん、舞子は、『南の島』の落ちついた雰囲気が気にいったのだろう。 


「また、いつかゆっくり来ればいいさ」


「う、うん」


 なぜか、舞子は頬を染めている。


「お兄ちゃんは、相変わらずねえ」


 コルナが言うと、みんなが首を縦に振っている。

 翔太とエミリーまで頷いているのが、よく分からない。


 ◇


 評議会の議員と俺たちは、中央都市から一番近く、しかも『南の島』大陸で最も大きな港街ゼーレに来ている。

 比較的近かったし、ナルとメルが望んだので、俺たちはドラクーンに乗ってきた。

 ブランとノワール、コリン、キューの魔獣組も、それぞれトカゲの頭に座った。

 大トカゲは、かなりのスピードで一時間ほど走ったが、まだまだ余力がありそうだった。

 この買い物は、正解だね。

 

「シローさん、ここで何があるのかね?」


 ナーデ議長は、やっと昔の口調に戻してくれた。


「ええと、進水式ですね」


「ほう、船ですね?」


「ええ、物資を運ぶために必要だと思いまして」


「なるほど、今日プーダ将軍を呼ばなかったのは、軍事利用を避けるためですね」


 さすが切れ者議長、分かってらっしゃる。


「そのとおりです。

 まあ、そんなことになれば、一瞬で船が消えるようにしてありますけどね」


「リーダー、いいですか?」


 進水式を始めてもいいか、メリンダが確認する。


「いいよ」


「それでは、お集りのみな様、これから、我が『ポンポコ商会』そして『南の島』にとって歴史的な行事を始めます」


 拡声の魔道具を手にしたメリンダの声は、港の隅々まで響いた。

 埠頭で働いていた、労働者や船員が集まってくる。


「では、この大陸の希望であり未来である、新造船『サザンスター』です」


 メリンダが埠頭に向かい手を広げたが、当然、そこには何もないから、みんなの顔に「?」が現われた。

 次の瞬間、巨大な船が埠頭前に現れる。

 漆黒の船体は、大型タンカーほどの大きさがあった。

 ちなみに、この舟を浮かべる水深を確保するため、俺と点ちゃんは、夜中に港の海底を掘削した。

 あまりに船がでかいので、参列者は拍手するのも忘れ、呆然としている。


「この舟は、風力ともう一つのエネルギーで動きます。

 詳しくは話せませんが、新たな形のエネルギーです。

 シローさんから、『ポンポコ商会』へ無償で提供していただきました」


 さすがに、ここで歓声が上がった。


「豊かな『東の島』に負けないように、そして、フェアリスの方々への十分な助力ができるように、一丸となって前へ進みましょう!」


 評議会の面々はもちろん、港の労働者、船員たちが涙を流して喜んでいる。


 がんばってよかったね、点ちゃん!


『(^▽^)/ ほんとー!』 


 だけど、『枯れクズ』の実用化、この船が最初になったね。


『(・ω・)ノ さすがに、あれは大変でした』 


 エネルギー関係は、ブラックボックス化してるから、ダークエルフの研究者には未公開なんだけどね。

 もう少し実用試験が進んだら、公開する予定なんだ。


 ちなみに、この船、風力の利用も工夫がしてあって、巨大な二本のマストそれぞれを軸として四角錐の骨組みがあり、その各側面に帆を張るようになっている。

 骨組みと帆に点魔法を使ったからこそできる大技だ。

 これまで点魔法で作った、最大の建造物だね。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 史郎のプレゼントは巨大な帆船でした。

 彼には、新商品のアイデアがまだあるようです。

 次話で『南の島』でのエピソードは終わりです。

 明日へつづく。

 

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