第41話 大きなプレゼント(下)
史郎が『南の島』に渡した大きなプレゼントとは?
一夜明け、迎賓館で爽やかに目覚めた。
コケットに利用している『緑苔』をたっぷり使ったベッドは、最高の寝心地だった。
俺たちのために用意された朝食のテーブルで、黒騎士がさっそくそのことに触れた。
「リーダー、あのベッド購入できますか?
地球に持ってかえりたいんです」
黒騎士さんが、いっぱいしゃべった!
きっと、凄くあれが欲しかったんだね。
「黒騎士さん、今回、あれの材料が大量に手に入りそうだから、騎士の五人には、コケットをお土産にしよう」
「やった!
ありがとう、リーダー!」
「史郎君、今日は何をするの?」
舞子は、このメンバーに慣れてきたのか、気兼ねなく話ができるようになったね。
「港に行ったあと、本店でお別れの挨拶して、フェアリスの村に寄ってから学園都市に向かうよ」
「そう……もっとこの国を見てみたかったなあ」
たぶん、舞子は、『南の島』の落ちついた雰囲気が気にいったのだろう。
「また、いつかゆっくり来ればいいさ」
「う、うん」
なぜか、舞子は頬を染めている。
「お兄ちゃんは、相変わらずねえ」
コルナが言うと、みんなが首を縦に振っている。
翔太とエミリーまで頷いているのが、よく分からない。
◇
評議会の議員と俺たちは、中央都市から一番近く、しかも『南の島』大陸で最も大きな港街ゼーレに来ている。
比較的近かったし、ナルとメルが望んだので、俺たちはドラクーンに乗ってきた。
ブランとノワール、コリン、キューの魔獣組も、それぞれトカゲの頭に座った。
大トカゲは、かなりのスピードで一時間ほど走ったが、まだまだ余力がありそうだった。
この買い物は、正解だね。
「シローさん、ここで何があるのかね?」
ナーデ議長は、やっと昔の口調に戻してくれた。
「ええと、進水式ですね」
「ほう、船ですね?」
「ええ、物資を運ぶために必要だと思いまして」
「なるほど、今日プーダ将軍を呼ばなかったのは、軍事利用を避けるためですね」
さすが切れ者議長、分かってらっしゃる。
「そのとおりです。
まあ、そんなことになれば、一瞬で船が消えるようにしてありますけどね」
「リーダー、いいですか?」
進水式を始めてもいいか、メリンダが確認する。
「いいよ」
「それでは、お集りのみな様、これから、我が『ポンポコ商会』そして『南の島』にとって歴史的な行事を始めます」
拡声の魔道具を手にしたメリンダの声は、港の隅々まで響いた。
埠頭で働いていた、労働者や船員が集まってくる。
「では、この大陸の希望であり未来である、新造船『サザンスター』です」
メリンダが埠頭に向かい手を広げたが、当然、そこには何もないから、みんなの顔に「?」が現われた。
次の瞬間、巨大な船が埠頭前に現れる。
漆黒の船体は、大型タンカーほどの大きさがあった。
ちなみに、この舟を浮かべる水深を確保するため、俺と点ちゃんは、夜中に港の海底を掘削した。
あまりに船がでかいので、参列者は拍手するのも忘れ、呆然としている。
「この舟は、風力ともう一つのエネルギーで動きます。
詳しくは話せませんが、新たな形のエネルギーです。
シローさんから、『ポンポコ商会』へ無償で提供していただきました」
さすがに、ここで歓声が上がった。
「豊かな『東の島』に負けないように、そして、フェアリスの方々への十分な助力ができるように、一丸となって前へ進みましょう!」
評議会の面々はもちろん、港の労働者、船員たちが涙を流して喜んでいる。
がんばってよかったね、点ちゃん!
『(^▽^)/ ほんとー!』
だけど、『枯れクズ』の実用化、この船が最初になったね。
『(・ω・)ノ さすがに、あれは大変でした』
エネルギー関係は、ブラックボックス化してるから、ダークエルフの研究者には未公開なんだけどね。
もう少し実用試験が進んだら、公開する予定なんだ。
ちなみに、この船、風力の利用も工夫がしてあって、巨大な二本のマストそれぞれを軸として四角錐の骨組みがあり、その各側面に帆を張るようになっている。
骨組みと帆に点魔法を使ったからこそできる大技だ。
これまで点魔法で作った、最大の建造物だね。
いつもお読みいただきありがとうございます。
史郎のプレゼントは巨大な帆船でした。
彼には、新商品のアイデアがまだあるようです。
次話で『南の島』でのエピソードは終わりです。
明日へつづく。




