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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第36話 ポンポコカフェ 

 エルフ国に、ポンポコ商会経営のカフェができるようです。


 銀貨一枚(日本円で一万円程度)で売りだしたボードは、飛ぶような勢いで売れた。

 毎日百台単位で売れていく。

 色違いや限定モデルも売りだしたので、複数購入する場合も多いそうだ。

 子供向けのオモチャとして売ったのだが、大人たちまで買っている。

 原価はタダだから、ぼろ儲けだね。

 ミミがいたら、ぼろ儲けを見て悪い顔で笑うところだった。あの顔は子供たちの教育に悪いから、彼女をギルド本部に送っておいて正解だったな。


 エルフ国の交通は馬車と徒歩が主だから、低速とはいえボードで滑る人が増え、陛下が新しく法を整備したらしい。

 売上の一部は、道路整備などの名目で国庫に入るようにしておいた。

 なんせ、ボードって元手はタダなんだから。


 ◇


 今日は、家族と一緒に、郊外に新しく開店したポンポコ商会のカフェに向かっている。

 陛下から貸出された紋章入りの馬車は、嫌でも人目を引いた。

 まだ看板も出していない店の前に馬車が停まると、人が集まってきた。 

 王家の紋章を目にしたからだろう、人々は遠巻きにこちらの様子をうかがっている。

 客車から降りた俺たちの中にコリーダを見つけ、何人かが膝を着き頭を下げた。

 彼女は、かつてこの国の王女だったからね。


 俺たち家族は、慌ててカフェの中へ入った。

 この店は、火事で街路の森が焼けおちた区画を買いとり、俺がそこへ土魔術で建てたものだ。

 本来木の家しか建てられないところ、国王陛下に無理を言って許可をもらった。

 パリスさんが名づけた店の名は、『ポンポコカフェ』

 エルフの球状住宅に似せた造りにしてある。

 いかに周囲の街並と違和感なく収めるかに苦心した力作だ。

 店の中はかなり広く、ケーキを販売するコーナーと、カフェコーナーが併設されている。


「まあっ!

 なんですか、これっ!?」

「柔らかいですわ!」

「お花で飾ってるのね!

 えっ、この花……食べられるわっ!」


 色とりどりの華やかな服でオシャレした、エルフのご婦人方がおしゃべりしながら、地球製のケーキを食べている。

 商品の値段から考えて、貴族のご婦人方だろう。


 このカフェの店長は……。


「シ、シロー様、あわわわわ!」


 有能なのに、俺を見るとなぜか慌ててしまう女性メサリアさんだ。

 たった今も、お客さんに出すためのケーキをトングで強くはさみ、潰してしまった。

 大丈夫かなあ、この人……。


「ああっ! 

 どうしましょ! 

 銀貨一枚もするのに!」


 そう、地球からもってきたケーキは、ここでは一個銀貨一枚、つまり約一万円で売っている。

 それでも店は満員だ。

 実はこの店、こういう時のためにとっておきの場所がある。


 俺が指を立てると、こちらの意図を察っしたメサリアさんが、カウンターを他の売り子に任せ店の奥に俺たちを招きいれた。

 階段を使い屋上まで上がる。三階建ての建物は、高さが森の木々と同じくらいに設計してある。

 

「「わあっ!」」


 ナルとメルがベランダに走る。そこから見える景色は、木々のてっぺんがもこもこと繋がり、まるで緑の海に船が浮かんでいるようだった。


「ここ、素敵だわ!」


 花や木が好きなルルは、手を広げてこの景色を満喫している。


「お兄ちゃん、ここのケーキって高いんでしょ。

 お店の人に悪くないかしら?」


 木を組んで作ったテーブルに着いたコルナは、早くも気兼ねしている。


「ははは、コルナ、そんなこと気にしてたのかい?

 今日は俺がきちんと支払うから、大丈夫だよ」


「えっ、そうなの!? 

 じゃあ、私、思いっきり食べちゃお!」


 いや、俺が払うからといって、そこで張りきらなくてもいいと思う。


「そう言えば、『アイスクリーム』っていう、冷やしたお菓子も扱うそうね?」


「うん、地球から持ってきたケーキは高価だから、普通の人たちはなかなか手が出ないでしょ。

 だから、持ってきた分の在庫がなくなるまでに、この国の素材で作れるケーキやアイスのレシピを研究しているんだよ」


 ちなみに、黒騎士、ハーディ卿、ショーカは、この建物の地下にある研究用の厨房で、店のスタッフと共に、今この時もレシピ作りに励んでいる。


「エミリーと翔太も来られたら良かったのに」


 舞子は城に留まった二人が気になるようだ。


「舞子、エミリーと翔太には、お土産で、ケーキとアイス買っておくから」


「そう?

 史郎君、お願いね」


 だいたい、俺たちがここに来ると知った四人の王女様、そして王妃様まで、ちゃっかりお土産を頼んできたからね。

 二人分なんて大したことない。


 帰る時見ると、テーブルに着いたお客さんの多くが頭を抱えている。

 どうしたんだろう?

 

「メサリアさん、彼女たちは?」


「ア、アイスクリームを召し上がられたのですが、なぜかあんなことになってしまって……」


 あー、みなさん、アイスを急いで食べちゃったんだね。

 ゆっくり食べるように、お店からアドバイスしてもらわないとね。 


「じゃ、メサリアさん、後はよろしく」


「あわわわわわー」


 大丈夫かね、カフェの店長さん。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 またまた儲けようとする史郎。

 彼はどこまで稼ぐのか?


『(・ω・)ノ ご主人様はとっても腹黒いんだよ』


 おー、また点ちゃんが、「腹黒い」などと言う言葉を。

 あんたが教えたんだろうって?

 えーと、明日へつづく。

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