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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第31話 恥ずかしい歓迎(下)

 コルナが舞子と史郎に例の罰を与えた理由とは?

 


 街で出会った兵士に先導され、点ちゃん2号は無事エルフ王城に着いた。

 ポーラ港の役人から通信の魔道具を通し、俺たちについての連絡が来ていたそうだ。


 ツタのような植物に覆われたエルフ王城、その巨大な門前にはきらびやかに着飾った貴族たちはもちろん、エルフ王とそのお后、そして四人の王女が並んでいた。

 俺の家族や仲間がバス型の2号から降りるたび、貴族や騎士たちから大きな拍手と歓声があがった。

 コルナ、ナル、メルが出ていくと、歓声はさらに高まった。娘たちは、魔獣の大群からこの城を守ったことがあるからね。


 コリーダが降りると、王女たちが駆けよる。


「「コリーダ!」」

「「お姉ちゃん!」」


 お后がコリーダを抱きしめる。


「お帰りなさい」


「ただいま、みんな、母様」


「リーヴァス、よう来た!

 コリーダ、よくぞ帰ったなっ!?」


 リーヴァスと握手した、エルフ王の言葉が途切れる。  

 そう、彼は最後に現れた、俺と舞子の姿を見てしまったのだ。

 ピチピチ競泳水着と紺色のスクール水着を。


「「「きゃっ!」」」


 王女たちは悲鳴を上げ、顔を手で覆う。

 いや、もう遅いでしょ。

 ばっちり見られちゃってるし。

 モリーネ姫なんか、指の間からこっち見てるし……。


「シ、シローよ、その姿はどうしたのだ?」


 お后とコリーダは、早々に王女たちや俺の家族を連れ、城に入っていった。

 俺と舞子、エルフ王が騎士たちに囲まれる。

 きっと、俺と舞子の姿が他から見られないようしたのだろう。


「ちょっと事情がありまして」


 とりあえず、そう言っておく。


「しかし、その姿では……」 


「陛下、とにかく謁見が終わるまでは、この姿でいさせてもらえませんか?」


 コルナには、謁見が終わるまでこの姿でいろと言われている。


「それは英雄殿がそれでいいなら、ワシは構わぬが……。

 ところで、そのご婦人はどなたかな?」


「こちら、大聖女様です」


「おおっ!?

 もしや、獣人世界におられるという、あの大聖女様か?」


 大聖女の名は、エルファリア世界にも知られているらしい。


「ええ、その大聖女様です。

 舞子?」


 さすがに、見知らぬ人、しかも王様に水着姿で挨拶するのは無理があるようだ。舞子は耳まで赤くなり黙ったままだ。 

 

「そんな姿では風邪を引く。

 英雄殿と大聖女様を中へお連れせよ!」


「「「はっ!」」」


 陛下の言葉で、数人の騎士が俺たちの方へ駆けよる。


「ひいっ!」


 それを見た舞子が、俺の腕に顔を押しつけた。

 やれやれ、とにかくお城へ入ろうか。


 ◇


 なぜか家族とは別の部屋に案内された俺と舞子は、やっと人心地ついた。

 

「舞子、大丈夫か?」


「……う、うん」


 いくらなんでも、この罰、舞子にはきついだろう。

 

「もう服を着てもいいんだよ。

 俺さえ、この格好をしていれば、コルナも許してくれるだろう」


 舞子は、意外な反応を見せた。


「そんなのダメ!

 私も悪いんだから、史郎君だけにそんな格好させられない!」


「寒くないか?」


「うん。

 点ちゃんが温めてくれてるから大丈夫」 

 

 俺と舞子は、火魔術を付与した『・』で、点ちゃんに体表面の温度を調節してもらっている。


『(・ω・)ノ 任せて、舞子ちゃん』


 おお、点ちゃんがいつになく頼もしい。


『(・ω・)ノ ご主人様をあっためてるの、舞子ちゃんのついでだから』


 ひ、酷い!


『く(u ω u) ……ご主人様だけ、あっためるの止めようかなあ』


 ごめんなさい! 私が悪うございました!


 ◇


 家族に割りあてられた続き部屋スイートの一室では、コルナ、ルル、コリーダの三人が並んでベッドに腰掛けている。


「ちょっとやり過ぎたかしら?」


 コルナは、苦笑いを浮かべている。


「いいえ、あなたがされた事を思えば、あのくらいどうってことないわ!」


 コリーダは、史郎がやったことに腹を立てているようだ。 


「でも、あっちの方は上手くいったみたい」


 ルルも苦笑しながら、そう言った。

 

「そうね。

 私たちの前では、あの子、気兼ねしていたから」


 コルナの言葉には、親友舞子に対する気遣いが感じられた。


「あれだけベタベタしたら、きっともう大丈夫よ」


 コリーダが何か思いだすように、形がいい顎に指先を当てた。


「だけど、二人ともさっきの見た?」


 コルナの問いかけに、ルルとコリーダが大きく頷く。


「マイコったら、シローの膝に頭を載っけてたよね」


「コルナの言う通りよ!

 あれは、ちょっとどうかと思う!」


 コリーダが憤慨の表情を見せる。


「私、まだあんなことしたことない……」


 ルルが遠くを見る目になっている。


「謁見が終わったら、三人であれしよう!」


 コルナの誘いに、すかさず二人が乗る。


「いいわね!」

「そうしましょう!」


 三人は、顔を見合わせ朗らかに笑った。


 読んでくださってありがとう。

 コルナ、ルル、コリーダは、彼女たちに気兼ねする舞子にそれを捨てさせようとしたようです。

 なんであんな恥ずかしい罰を与えたか、その謎が解けましたね。

 明日へつづく。

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