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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第30話 恥ずかしい歓迎(上)

点ちゃんが覚えた新しい言葉とは?

今回も、史郎と舞子は水着モードです。


 襲撃者のリーダーらしいエルフが、ナイフで自身の腕を刺した。


 おい!

 そんなことをしたら痛いだろう!

 点ちゃん、このエルフ、どうしちゃったの?


『(・ω・)ノ 恐らく、たった今、起きたことが幻術の結果だと思ってるんじゃありませんか?』


 ああ、なるほどね。

 それで術を解こうとして、あんなことしたのか。


 ナイフを腕に突きたてたまま、呆然と座りこむエルフからそのナイフを取りあげ、治癒魔術を付与した点を傷口につけてやる。

 傷は見ているうちに、ゆっくり治っていった。

 舞子なら、もっと上手くできるんだけどね。


 遠巻きに隠れていた者も合わせると、百人近いエルフが襲撃に参加していた。

 点魔法で作った箱に十人ずつ入れ、2号の後方上空に位置を固定する。

 こうしておけば、2号が走れば、それに着いてくるからね。


 ◇


 軍師ショーカは、今まで蓄積てきた情報から、シローの能力をいくつか予想していた。

 しかし、目の前で起きたその戦いは、その予想の遥か上をいくものだった。

 そして、『神樹戦役』の時、シローがその能力を使わなかったことにも気づいた。

 もしかすると、さっき見た能力は、『神樹戦役』が終わってから手に入れたものかもしれない。

 

 ただ、シローの活躍を思いかえすと、彼がパンゲア世界に渡ってきて間もない頃から、いくつかの能力が開花していたのではないか、そう思えてならなかった。

 

「英雄殿についての考えを、改めなければならないかもしれませんね」


 そうつぶやきながら苦笑した彼の顔は、すぐに氷りついた。

 もし、シローがその力を悪い方向に使えば、彼はまさに『魔王』にでもなれるのではないか。

 そう気づいたからだ。


 やがて、シローが車内に戻ってきて、再び点ちゃん2号が動きだしても、ショーカの憂い顔は消えなかった。


 ◇


 さすがに戦闘中は、冒険者用の服を着ることを許してくれたが、2号に乗ってすぐ、また「パンツ一丁」の姿に着替えさせられた。


「コ、コルナ、まだ怒ってるの?」


「……」


 コルナは俺と目も合わさず、なぜかルルとコリーダと頷きあっている。

 しばらくは、この格好のままいなくてはいけないようだ。

 ああ、また誰か襲ってきてくれないかなあ。そうしたら服が着られるのに。


 そんなことを考えるうちに、2号はスピードを落とした。

 街中に入り、道ゆく人が増えたからだ。

 エルフ国では、馬車はあっても、自動車の類は無い。だから、前を馬車が走っていると、それよりスピードを出すことができない。

 エルフの老人が御者台に座る馬車が、やけにゆっくり前を走っているから、こちらもノロノロ運転にならざるを得ない。


 今はバス型2号の全部と上部を透明にしてあるので、道や木々の上を歩くエルフたちがこちらに注目する。

 

「ねえ、あの乗り物って?」

「ほら、あの『英雄』ってのが乗ってるんじゃないの?」

「あの人、なんで裸なの?」


 そんな声が聞こえてくる。

 本来2号は外の声が聞こえないようしてあるのだが、コルナからの「指令」で音をオープンにしてある。


 恥ずかしがる舞子は、ほとんど俺の膝に顔を埋めんばかりだ。

 外からみると舞子が俺の腰に頭を載せているように見えるだろう。

 これ、やばくない?


 血相を変えた兵士が数人、向こうから走ってくる。

 厄介事の予感しかしなかった。 


 ◇


「停まれ!

 そこの馬車? 

 停まれ!」


 こっちは急いでるの!

 早くお城まで行きたいんだよ!


「シロー殿、どうやら停まらなければならないようですよ」


 通路を隔てた席に座る軍師ショーカの声が少し緊張している。

 それはそうだろう。

 呼びかけても停まらない点ちゃん2号に、エルフの兵士たちが弓を構えたからだ。


 しょうがないから2号を道の脇へ寄せて停車し、俺が外へ出る。  


「お、おいっ!

 その恰好は何だ!?」


 エルフ兵は現れた俺の姿に驚きの声を上げた。

 まあ、当然だよね。

 これを見て驚かない方がおかしいよ。


「ええ、これには色々事情がありまして……」


「天下の公道で、あんなことをしてもらっては困る! 

 一緒に来てもらおう」


 あんなことって、きっと舞子の頭を膝に載せてたことだろうね。

 海パン一丁の俺は、瞬く間に弓を構えたエルフ兵にとり囲まれる。


「ははは、まあ、お待ちなされ」


 天の助け!

 リーヴァスさんが2号から降りてきた。


「あっ、あなたは!

 もしや、リーヴァス殿では?」


 他の兵士より後ろに立っていた、一際立派な革鎧を着た壮年のエルフが前に出てきた。

   

「いかにも、私はリーヴァスだが」


 エルフ兵が一斉に膝を着く。

 おかげで、人々の目が俺に集まってしまう。


「ママー、あの人――」

「こら!

 あんなもの見てはいけません!」


 子供連れは、そんな反応だよね。

 だけど、「あんなもの」って何よ?


「彼は、『ポンポコリン』のリーダー、シローだよ」


 リーヴァスさん、この状態での紹介、痛みいります。


「えっ!?

 この変た……いえ、この方が、英雄シロー殿で!?」


 今、「変態」って言おうとしたよね、このおじさんエルフ!

 

『(*'▽') へんたいー?』


 あーっ、よりによって、点ちゃんがまた嫌な言葉を覚えちゃったよ、これは!


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 ますます恥ずかしいことになる史郎と舞子。

 二人とも、羞恥心メーターは、すでに振りきれてるでしょうねえ。

 明日へつづく。

 

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