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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第27話 聖樹様と水着

 聖樹様との再会。

 その感動も冷めやらぬ間に……。



 エルファリア世界に来て二日目。

 俺たちは聖樹様の所へ向かった。黒騎士さんと軍師ショーカは、宿泊した『木の家』で待機している。

 この旅の最終的な目的は神樹に関係することだから、ここで聖樹様にお目に掛かっておいた方がいいだろう。

 大木が並ぶ森を一時間あまり歩き、聖樹様の前に出た。

 今回はエレノアさんとレガルスさんも同行している。

 

「では、エミリー聖女、ショータ様以外は、みなさんここで膝を着いてください」


 ミミが俺が着ている冒険者服の袖を引っぱる。

 

「ミミ、今はちゃんとしないと」


 さすがに小声で注意する。


「だけど、聖樹様ってどこにいるの?」


「すぐ前にいるでしょ」


「えっ?

 どこ?」


「リーダー、ボクも聖樹様がどこにいるか分かりません」


 ミミの隣にいるポルも首を傾げている。

 しょうがないなあ、これは。

 俺は指を立て、空を指した。


 二人は上を向き、天を覆う枝に驚き、そしてやっと目の前にそびえる聖樹様のお姿に気づいた。

 

「「ええっ!?」」


 そう言ったきり、二人はぽかんと口を開けている。その後ろでハーディ卿が同じ顔をしているのがおかしかった。

 聖樹様の念話が伝わってくる。


『点の子よ、こたびも頼むぞ』


『(^▽^)/ はーい!』  


 点ちゃんがみんなと聖樹様の間に念話のネットワークを構築する。

 エレノアさん、コリーダは、『神樹の巫女』だから、本来その必要はないのだが、今回はエミリー、翔太と一緒に、ネットワークに加わった。


『シローよ、新世界群にいる神樹の事で来てくれたのだな?』 


 聖樹様は再び繋がった世界群の事を『新世界群』と呼んでいるようだ。あの三つの世界は、これからそう呼ばれることになるだろう。

 

『はい、その通りです』

 

『巫女よ、頼めるかな?』 


 この場合、巫女とはエミリーのことだ。


『もちろんです、聖樹様』


『これがあれば少しは役に立つであろう』


 聖樹様がそうおっしゃると、遥か上空にある枝から、ふわふわした白いものがたくさん落ちてくる。

 俺は点魔法でそれを全て受けとめ、点収納に入れた。


『これは特別なものだ。

 シローが持つとよい』


 聖樹様のお声と共に、最後に虹色に輝くものが落ちてくる。

 それを手に取る。


『聖樹様、ありがとうございます』


『うむ。

 では、頼んだぞ、巫女、シロー。

 守り手(翔太)よ、巫女を頼むぞ』


 聖樹様の祝福が俺たちを包む。

 それは手で触れられそうな、濃密なエネルギーだった。


『聖樹様!』


 エレノアさんの念話で、俺たちは偉大な存在に頭を下げた。


 ◇


「では、ミランダさん、ミミとポルをお願いします」


「ははは、分かってるよ。

 いやしくも二人は銀ランクの冒険者だ。

 お前が心配せずともうまくやるさ」


 ギルド長に気に入られているミミとポルは、しばらくこの集落に滞在してギルドの依頼を受ける。

 ここは凄腕の冒険者が集まっているから、彼らには良い刺激になるだろう。


「しかし、セント・ムンデの港まで送らなくて、本当にいいのかい?」


「ミランダ様、シローのことですからな」


 リーヴァスさんが取りなしてくれる。 


「ほほほ、確かにね。

 では、用意した馬車は帰らせるよ。

 カズノには、あんたから話しておくれ」


 カズノは、ギルド本部所属の帆船を任されている船長だ。

 今回、俺が馬車や彼の帆船を使わないのは、点ちゃん2号、3号を使えば、旅程を少なくとも一週間短縮できるからだ。もちろん、1号で飛べばもっと早いが、家族が船旅を希望したのだ。

 

「分かりました。

 では、行きます」


 俺は家族と友人を連れ、ギルド本部の裏から森へ入った。

 ひらけた所を見つけ、みんなで輪になる。

 

「各自、自分の荷物、従魔は大丈夫かな?」


 皆が頷くのを見て、セント・ムンデの港へ瞬間移動する。


 ◇


 桟橋の上に突然現れた俺たちを見て、港で働いている人や、船員が騒ぎだす。

 係留してある、大きな美しい帆船『クイーンエスメラルダ』のタラップから、船員たちがわらわら降りてくる。


「シロー、久しぶりだな!」


 よく陽に焼け、ヒゲを生やした壮年の男性は、帆船の船長カズノだ。


「船長、お久しぶりです。

 ええと、今回、俺たちは時間が無いから、自前の船で渡ります。

 せっかく待機していただいたのに申しわけないです」


「えっ!?

 ミミちゃん、乗らないの?」

「コルナちゃんは?」

「シロー、お前以外は俺たちの船に乗ればいい!」


 日に焼け、引きしまった表情の船員たちが、口々に騒ぎだす。


「あ、コルナちゃんだ!」


 船員の一人がコルナを見つける。


「「「コルナちゃん!」」」


 なぜか、船員たちが一斉にコルナをとり囲む。


「コルナちゃん、握手して!」

「この服にサインして!

 ヒューズさんへって書いてね!」

「俺も俺もー!」


 どうなってるのこれ?

 船員の一人が手にしているものを見て気がついた。

 あー、あれが原因か。


 彼の手には、かつて俺が船員たちに配った点写真があった。それには、ミミとコルナの水着姿が写っている。


「おう!

 みんな!

 あれやるぞ!」


 船長の声で、皆が懐から何か取りだし、頭にそれをかぶる。

 それは三角耳がついた、カチューシャだった。

 全員シャツのボタンを外し、逞しい胸でぱつんぱつんのTシャツを見せる。 

 紺色のTシャツには、まっ白な四角い布が縫いつけられ、そこに平仮名が書かれている。


『こるな ちゃん』 


 船員たちは、異世界の文字を模様か何かかと思ったのだろう。


「きゃーっ!」


 悲鳴を上げたのは、コルナ自身ではなく舞子だった。

 コルナの水着を手掛けたのは、彼女なのだ。


 写真に写っているコルナの姿をマネたのだろう。船員たちは、写真の中でコルナがとっているポーズ、つまり、両手を広げて突きだし最高の笑顔っていうやつを決めている。

 

「ひゃ~っ!」


 赤くなった翔太が、おもわずそんな声を上げる。

 その横で、頬を染めた顔を両手で隠すエミリー。

 ルルとコリーダは、それぞれメルとナルの目を手のひらで塞いでいる。

 これ、子供は見ない方がいいよね。


「ど、どうしたのみんな?」


 そんなみんなを、むしろコルナが心配している。


「だ、誰がこんなことを?」


 黒騎士が怖い顔になっている。

 

「少なくとも、犯人の一人は分かっています」


 軍師ショーカが冷たい声でそう言った。


「誰?」


 黒騎士の問いに答えたショーカが指さしたのは、俺だった。


 えええっ!?

 な、なんで!?


『( ̄▽ ̄) なにとぼけてんの、ご主人様!』


 点ちゃんまで……ど、どうしてそんなことを?

 そりゃあ、写真配ったの、俺だけど。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 これは、えらいことになりました。

 事情が分かったコルナがどうなるか、怖くて見ていられません。


『(*'▽') ガクブル作者ー!』


 いや、ここは冗談じゃなく、ガクブルするところだよ。

 怖いけど、明日へつづく。

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