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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第13シーズン 招き猫と冒険者
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第6話 夜のアフタヌーンティー 

 フランスの高級ホテルへ、深夜に「ランチ」を食べに来た史郎たち。

 瞬間移動があるからこその体験ですね。

 今回も黒騎士視点です。


 銀髪を綺麗に撫でつけた、上品な支配人が挨拶に来た後、部屋に四台のワゴンが運びこまれた。

 広い部屋の中央にある、大きな丸テーブルの上に三段重ねのプレートが四人分置かれる。

 色とりどりのフルーツがテーブルの中央に置かれ、紅色鮮やかな紅茶から立ちのぼる芳香アロマ漂うテーブルは、まるで芸術作品のようだ。


 ホテルの部屋に連れてこられてから、ほとんど驚きの声しか上げていなかった私たち三人は、またも驚きの声を上げた後、黙ったままだ。

 高級感溢れる、場の雰囲気に呑まれているのだ。


 それなのに、リーダーはいつも通りのくつろいだ様子で、ホテルの従業員に料理について色々尋ねている。


「おいしい!」


 横を見ると、硬直が解けた桃騎士さんの口から、金色の毛のようなものがぶわっと飛びだしていて、なにやら宇宙怪獣っぽくなっている。

 三段プレートの一番上に飾りとして載っていた、砂糖細工を口にしたらしい。


「桃騎士、せめて『いただきます』してから食べましょうよ」


 白騎士が常識的なことを言い、金毛を吐く宇宙怪獣から白い目で見られている。

 ホテルの従業員が部屋から出ていくと、やっと少しくつろげる雰囲気になった。


「むむっ、この生ハム美味しいわね!

 ホテルの人、作り方教えてくれるかしら?」


 白騎士さんは、至福の顔で小さなサンドイッチを味わっている。


「うまうま魔法がかかってるぅ~♪」


 桃騎士さん、オモチャの魔法杖って、この部屋に似合わないと思います。


「おいし!」


 私の発言が短いのは、ほっぺたが落ちるほど焼き菓子が美味しかったからだ。 


「そうだ、このワインあるでしょ」


 リーダーが指さしたデキャンタには、深い赤色のワインが入っている。 


「このワインのシャトーなんですが、ウチのものになりました。

 管理は『白神酒造』に委託しときましたから」


 リーダーが言っていることが、またもや頭に入ってこない。


「シローちゃん、どういうこと?」


 白騎士も私と同じだったらしい。

 

「このワイン作ってる畑が、ウチの傘下に入ったんですよ」


 リーダーが指を鳴らすと、まだ栓を開けていない、ワインのボトルが二本テーブルの上にひょいと現れた。

 ワインのラベルを目にした白騎士が、驚きの声を上げる。


「な、なにこれ!

 どっちも超有名ワインじゃない!

 やけに美味しいと思ったわ!」


「形の上では、こちらのワインが『ポンポコ商会』、こちらのワインが『異世界通信社』のものとなります」


 リーダーは、いつも通りの少し眠そうに聞こえる声で説明する。


「うーん、あんたがやることに一々驚いてたら身が持たないって分かってるんだけど……分かってるんだけど、やっぱり驚いちゃうわねえ!」


 そう言いながら、白騎士は呆れ顔でケーキをつついている。


「そうそう、大事な話を忘れていました」


 リーダーが、また何か言うらしい。

 それはいいけど、これ以上驚きたくないな。


「黒騎士さん、俺は来週から家族と一緒に異世界をあちこち旅するのですが、それに同行してもらえませんか?」


 ……なにそれ?!


「異世界各地の『ポンポコ商会』を見て、それを業務の参考にしてほしいんですよ」


 とうことは、二回目の異世界旅行?!


「行きます!」


 すでに期待と興奮で身体が震えはじめていた。


「黒騎士さん以外、騎士のみなさんはお留守番になりますが、仕事の方よろしくお願いします」


 リーダーの言葉に、白騎士は不満気だ。


「えーっ!

 私も行けると思ってたのにぃ!」


 桃騎士さんは、彼女らしくない小さな声で言った。


「……私、行けない」


「桃騎士さん、どうされました?

 俺が相談に乗れることなら、いつでも力になりますよ」


 リーダーの言葉で、桃騎士さんが黙りこむ。

 彼女は唇を噛み、声を殺して泣いていた。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 深夜にアフタヌーンティーって、太るぞ三人とも!

 そうならないように、紅茶をしっかり飲んでください。


『( ̄▽ ̄) 作者、どうせ三人が羨ましいんでしょ』


 ええ、羨ましいですとも、それがなにか、点ちゃん?


『( ̄▽ ̄) 作者、切れてる?』


 さあ、桃騎士に似合わない涙の訳は?

 次話、桃騎士の秘密が明らかに。

 明日へつづく。

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