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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第11シーズン ポータルズ列伝
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第483話 ポータルズ列伝 銀髪の少女編 第8話 ナルとメル、嬉しくなる

 いじめっ子の上級生貴族から決闘を申しこまれたナルとメル。

 決闘がどういうものか、よく分からないまま、二人はそれに臨みます。


『たちあいにん』になった女の人が、後ろに下がると、ブロワがこう言ったの。


「サプライズ子爵家当主が一子いっしブロワ、参る」


 けっとーって、むずかしい言葉を使うのね。なに言ってるのか分からないわ。


 おヒゲはジュモンを唱えてるわね。あれは、火のジュモンね。 

 ウチのコルナお姉ちゃんが得意だから知ってるの。

 でも、呪文を唱えるなんてダメね。

 パーパなんて呪文を唱えなくてもすごい魔法が使えるんだから。


 ああ、おヒゲのおじさんは、火の玉を飛ばして、メルを狙うみたいね。

 まあ、やってみればいいわ。

 ブロワは、剣で私にかかってくるみたい、


 最初におヒゲの火の玉が、メルに向かって飛んだわ。

 メルは、ひょいってよけてる。

 当り前よね。あんな遅い魔術なんて、当たるはずないわ。


 よそ見してたから、ブロワがすぐ近くに来てたの。

 剣で私に切りかかってきたけど、それは遅すぎて、あくびが出るくらいだったわ。

 剣をかわした私が、ブロワの胸をちょっと押すと、彼はころころ転がって、輪になって見ている人たちの外まで出ちゃったみたい。

 ブロワは倒れたままだから、あとはおヒゲのおじさんね。


 あれ? 

 メルしかいない。

 あー、あんな遠くの木から足が生えてる。


 私とメルは、本当はエインシェント・ドラゴンだから、人族より少し力が強いの。

 (作者注:エインシェント・ドラゴン=古代竜、竜の上位種、人化能力を持つ)


 周りを取りかこんでいた生徒たちから、すごいハクシュ。

 お姉ちゃんたちが、メルにお菓子を渡してる。

 あんなに食べると、ママにしかられちゃうから、半分もらってあげるわ。


 ◇


 私たち二人が、みんなにとり囲まれていると、まっ赤な顔をした、太ったおじさんがドスドス走ってきたの。

 誰だろう?


「決闘は中止じゃ!

 いや、やり直しじゃ!」


『たちあいにん』をした女の人が、前へ出てくる。


「私は決闘の立会人ですが、あなたは?」


「ワシは、サプライズ子爵じゃ!

 お前は誰じゃ!」


「分からないの?」


 あれ? よく聞くと、この声、どこかで聞いたことある。


「どこの馬の骨とも知れぬ者を、知っとるはずなかろうが!」


 女の人は、少し笑ったように見えたわ。

 それから、ゆっくり帽子を取ったの。

 きれいな長い黒髪がふわりと広がった。

 やっぱり。

 あの声、どこかで聞いたことがあると思ったんだよね。


「サプライズ、あるじの顔を忘れたか?」


「ゲッ! 

 じょ、女王陛下……」


 私、「ゲッ」って言った人、初めて見た。


「あっ、じょおーさまー」


 メルが女王様にくっついてる。

 私も、女王様にくっついちゃお。


「二人とも大変だったね」


 女王様が、私たちの頭をいい子いい子してくれたの。


「あ、パーパ!」


 急にすぐそばにパーパが現れてびっくりしたの。

 これもパーパの魔法なの。


「ボー、あんたこの子たちに何かあったらどうするの!」


 なんかパーパがしかられてる。


「い、いや、だからそうならないように――」


「万一があるでしょうが、万一が!」


「そ、それはそうだけど……」


「まあ、いいわ。

 久しぶりに、いい気分転換になったから」


 そこで女王様はくるりと振りかえると、膝をついているおじさんの方を見た。


「サプライズ、お前と息子の行状は、本来なら爵位抹消と領地取りあげじゃ」


「そ、それだけは、どうか、どうかご勘弁を」


 サプライズは、女王様の前でガマルみたいになってるの。

 青くなってるからよけいにガマル。

(作者注:ガマル=地球のカエルに似た魔獣)


「だが、この男がそういう処分は望まぬからの」


 女王様がパーパの方を指さした。


「お主の処分は、保留といたそう」


 サプライズが、ホッとした顔をしたわ。

 こいつ、甘いわね。


「ただし……」


 女王様が、少し笑いながら次の言葉を言ったの。

 すごくきれいな女王様がそうすると、とっても怖い。


「これから、ナル、メルに誰かから決闘の申しこみや襲撃があれば、それが誰であれ、保留はとり消しじゃ」


「ひいいっ!」


「よくよくこの二人の周囲に気をつけることじゃな」


 さすが女王様ね。

 さっきまで敵だったサプライズ家が、いつのまにか、たのもしい味方になってる。


「ああ、ボー、この後、あんたんのアレに入りに行ってもいいわよね?」


 パーパの名前はシローなんだけど、女王様と勇者だけは、ボーって呼ぶの。

 女王様がパーパに言ってるのは、うちの屋上にある『おんせんじゃぐじー』のことね。

 時々おしのびで入りにきてるもん。


 パーパは大げさなおじぎをして、こう言ったの。


「かしこまりました、女王様」


「馬鹿っ!」


 パーパと女王様は『しんゆー』だから、いつもこんな感じなの。


 ◇


 次の日から、学校では、イジメがなくなったみたい。

 キャシーの笑顔がすごく増えたの。

 だから、私もメルもとってもうれしいの。















 いつもお読みいただきありがとうございます。

出ましたね、女王陛下。

 しかし、サプライズ子爵、可哀そうでした。まあ、息子の教育がきちんとできていない上に、あの態度ですからね。

 パーパ(史郎)、じーじ(リーヴァス)、マンマ(ルル)がナルとメルを見守っていたのは、彼女たちのことはもちろんですが、周囲の人を心配したからだったんですね。

 ポータルズらしい、ハッピーエンドでした。

 次回からは、翔太君が異世界の魔術学校に留学するお話です。

 明日へつづく。

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