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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第11シーズン ポータルズ列伝
479/927

第477話 ポータルズ列伝 銀髪の少女編 第1話 ナルとメル、学校へ行く

 ある日のナルとメルです。

 

 いつものように朝起きると、妹のメルと二人で部屋の隅にある大きな穴の前に行くの。

これは私たちのパーパが作ってくれた滑り台に続く穴で、この三階からマンマがいる一階まで降りられるんだよ。


 この家は、家族のためにパーパが魔法で建ててくれたの。

 すごいでしょ。屋上にはお花畑やお風呂もあるんだよ。


 いつものように、パーパが教えてくれた『じゃんけん』をする。


「「最初はブー、じゃんけんポン!」」


 本当は、「最初はグー」って言うらしいんだけど、メルが一度「ブー」って間違えた時、パーパがすごく笑ったから、いつも「ブー」って言ってるんだよ。


「ああ、負けちゃった」


 私はチョキを出してメルに負けたの。

 メルはいつも最初にグーしか出さないんだけど、私はお姉ちゃんだから、二回に一回は負けてあげるんだよ。


「じゅあ、メルからねー」


 メルがぴょんと滑り台のトンネルに飛びこむ。


「「「わー!」」」


 滑り台の穴からは、メルの声がこだまして聞こえてくるの。


「「「お姉ちゃん、もういいよー」」」


 メルの合図で私も滑り台に入るの。

 パイプの様になった滑り台は、家の外をぐるりと回って一階まで降りるんだよ。

 上手に滑ったら、すごくスピードが出るんだから。


「わー!」 

  

 いつものように気持ちよくシャーって、トンネルの中を進むの。

 突然辺りが明るくなって、ポーンと体が弾むのよ。

 なぜなら、滑り台の出口にパーパがクッションを置いてるの。

 この緑のクッションは、『コケット』っていうベッドにも使ってあるんだけど、ふわふわで、とっても気持ちいいんだよ。

 ウチに来た友達は、いつもこの滑り台をうらやましがるの。


 でも、実は前から友達のことがうらやましいって思ってることがあるの。

 それはね、学校。


 私と背が同じくらいの子供たちは、みんな学校に行ってるのに、私とメルはなぜかまだ行ってないの。

 パーパやマンマにどうしてって聞いたことがあるけど、二人が困った顔をするから、それからは聞いてないんだ。


 あ、この匂い!

 今日はパーパの朝ご飯ね。

 パーパとマンマは得意料理が違うから、匂いでどちらの料理か分かるんだよ。


 ◇


「お早う、ナル、メル」


 パーパが穏やかなお顔で挨拶してくれるの。

 友達は、あまりかっこよくないねって言うけど、私はパーパのこのお顔が大好きなんだよ。

 だって、見てるだけで、心がホカホカするんだもん。


「お早う。

 二人とも、お顔を洗ってきなさい」


 マンマは、凄く綺麗なの。

 でもお行儀には、とてもうるさいんだよ。

 メルなんか、しょっちゅう叱られてるんだから。


 そうそう、マンマにぴったりくっついていると、なんかフワ~っていい気持になるんだよー。

 ほら、さっそくメルがくっついてる。

 わたしもくっついちゃおう。

 しばらくマンマにくっつくと、すごく元気が出るから不思議なんだ。


「さあ、お顔を洗ってきてね」


 私とメルは、水の『まどーぐ』が置いてあるお部屋に行って、それで顔を洗うの。

 最初は上手く洗えなかったけれど、マンマが教えてくれたから、今は一人でも洗えるよ。


 メルはときどき、てきとーに洗ってるけど、なぜだかマンマにばれちゃうんだよね。

 だから、最近は、きちんと洗ってるみたい。


「おや、二人とも、きちんとお顔が洗えたみたいだね」


 私たちの頭を撫でてくれているのは、じーじなの。

 私もメルもじーじが大好き。だっていろんな楽しい遊びを教えてくれるもの。

 じーじは凄く有名な『ぼーけんしゃ』だって、キツネのおじちゃんが言ってた。

 ウチはパーパもマンマも『ぼーけんしゃ』なんだよ。すごいでしょ。


 ああ、そうそう。

 私とメルもパーパやマンマと一緒に『ぼーけん』したことがあるんだよ。

 エルフの国に行ったんだけど、すごく楽しかったなー。

 また、行きたいなー。

 ポータルっていう黒い穴に入る時が、ちょっとだけ怖いんだけどね。


 ◇


 あっ、今日は『まくじー』が来てる。


 まくじーは、本当は「マック」という名前だけど、じーじやパーパの友達みたい。

 だからよくウチに来て、一緒にご飯を食べるんだよ。

 すっごく大きいんだから。

 前に『ぼーけん』の途中で会った、熊のおじちゃんくらい大きいんだよ。


 ウチは、いつも家族全員で食事するの。

 コルナお姉ちゃん、コリーダお姉ちゃんも一緒だよ。 

 だから、いつだったか、パーパだけが長いこと『ぼーけん』でいなかったときは、さみしかったなあ。


「「いただきまーす」」


 ウチはいつもこの合図で食事が始まるの。パーパの世界で使ってる言葉なんだって。

 あっ、今日もミルクがある。私もメルもミルクが大好きだから、ミルクが無いと、とっても残念なんだよ。

 嵐の時なんかは、ミルクが買えないからすごく悲しかったの。

 でも、今は、パーパが魔法の箱からいつでもミルクを出してくれるから大丈夫。


「ナル、メル、食べ終わったかな?」


「うん」


「今日は、パーパから大事な話があるよ」


 なんだろう。前にパーパがそう言ったときは、『ぼーけん』に行っちゃったんだよね。

 メルが悲しそうな顔をしているから、きっと私も同じ顔だと思う。

 私は何か怖くて、目をぎゅっとつぶったの。


「ナル、メル、学校に行ってみない?」


 えっ!?


「二人が嫌なら行かなくてもいいんだからね」


 驚いて、すぐに声が出なかったの。

 でも、メルは違ったみたい。


「学校いくー!」


 すぐにそう答えたの。それで、私もやっと声が出せたわ。


「学校に行きたい!」


 パーパがニコニコしているから、私たちの答えで良かったみたいね。

 でも、学校っていったいどんなところかしら?


 ◇


 朝ご飯のあと、マンマがお皿を洗うのを、私とメルで手伝ったの。

 これはいつものことだから、もうお皿を割らなくなったよ。


 そのあと、初めて見る服をマンマが着せてくれて、お出かけすることになったの。

 私は緑のワンピース、メルはピンクのワンピースね。

 胸の所についてる飾りは『ボーケン』の時にキツネびとが住んでる町で、自分で選んで買ったんだよ。

 あの時は、たしか、じーじがお金を払ってくれたっけ。


 ときどきメルの服がいいなって思うこともあるけど、私は目の色が緑だから、緑の服が似あうってパーパが言ってた。


 私がパーパ、メルがマンマと手をつないで町を歩いたの。

 私たちは、ウチからあまり出ないから、こうやって町を歩くととっても楽しい。


 みんながこっちを見てるわ。なぜだろう。

 みんなの髪が茶色いのに私とメルの髪が白いからかな。

 パーパの髪なんか黒いんだよ。いつも茶色い布で隠してるけど。


 ◇


 うわー、大っきな建物だなー。

 前にお城に行ったときはもっと大きかったけど。


「ナル、メル、これが学校だよ」


 えっ!? 学校って、こんなに大きいの?


 学校の門が開いて、優しそうな女の人が出てきたの。

 ウチで働いているニーナさんと同じくらいかな。

 ニーナさんが五十才だから、そのくらいかも。


「シロー様ですね。

 女王陛下からうかがっております。

 どうぞこちらへ」


 シローっていうのはパーパの名前だよ。

 女王って、パーパのお友達っていうお姉ちゃんの事だね。

 二人は『ちきゅー』っていう世界から、この世界にやってきたんだって。


 私たちは、女の人と一緒に、大きな建物に入っていったの。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

さて、学校では何が起こるのでしょうか。

 明日へつづく。

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