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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第11シーズン ポータルズ列伝
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第474話 ポータルズ列伝 キャロ編 第5話 ギルドの夕方~夜

 アリストギルド、夕方以降の風景です。



 昨日は夕方にごたごたがあって、あまりギルドの様子を話せなくてごめんなさい。

今日は、がんばってウチを紹介するわ。


 夕方になると、討伐、採集に行っていたほとんどの冒険者が帰って来て、ギルドがにぎわうという話はしたわね。

 その後は、食事をしたり、お酒を飲んだりすることが多いの。


 ギルドの受付がある部屋があるでしょ。

 そうそう、壁に依頼の紙が貼ってある部屋よ。


 あの部屋にいくつか置いてある丸テーブルで、皆が食事やお酒を飲むの。

 ちょっと冒険者たちの話を聞いてみましょうか。


「しかし、昨日のハゲは許せんかったよな」


「「「キャロちゃん、イジメた!」」」


「二度とあんなことがねえように、気をつけようぜ、みんな!」


「「「おー!」」」


「ところで、お隣さん。

 今日の討伐はどうだった?」


「ああ、『ブレイブズ』の皆さんか。

 森の中で、ゴブリンの群れと遭遇しちまってよ。

 死ぬかと思ったぜ。

 あんたらの方は、どうだった?」


「もうからっきしさ。

 俺たちゃ、ワイバーンを探しに行ったんだが、一匹も見えねえから帰ってきたぜ。

 これじゃ、大赤字だ」


 食べたり、飲んだりだけではなく、パーティ同士で、その日の討伐を自慢し合ったり、情報を交換したりするのよ。

 これも、冒険者の大事な仕事なの。


「ワイバーンって、本当にいるのかね」


「昨日、『ハピィフェロー』がダートンまでの街道沿いで一度に三匹も見たらしいぜ」


「かーっ!

 また、あいつらに先越されたか。

 例のゴブリンキング討伐から、あいつら調子づいてるな」


「まったくだ、俺たち『やさしい悪魔』もあやかりたいぜ」


「そういや、例のルーキー、最近姿を見ねえけどどうしたんだ?」


「ああ、シローのことだろ?

 お前らがちょうどダンジョンに遠征してた時、獣人国へ行ったぜ」


「へー、ってことは、ポータル潜ったんだな」


 この世界は、他の世界と『ポータル』っていう門のようなモノで繋がってるの。

 だから、それを使えば、他の世界へ移動することもできるのよ。


「ああ。

 冒険者になってそうたってねえのに、すげえヤツだよな」


「確かにな。

 それにヤツは、ランクが上がっても偉ぶらねえからな」


「シローのヤツ、女王陛下やリーヴァスさんとも知りあいだっていうぜ」


「雷神リーヴァスか! 

 凄えな。

 お前ら、あの人が戦うところ見たことあるか?」


「いや。

 でも、お城勤めを辞めて、ギルドで指導役をするって聞いてるぜ」


「なにっ! 

 俺、絶対あの人と討伐行きたいよ」


「あんたなんかじゃ、まだまだ無理よ」


「リリー、そりゃねえだろ。

 こう見えて、俺、銀ランク長えんだぜ」


「私、一度リーヴァスさんが戦うところを見たことあるのよ」


「おいっ、本当か!?」


「そりゃ、凄え!

 で、どうだったい、あの人の戦いは?」


「どうだったもなにも……センライ地域知ってるでしょ」


「おサルさんが、いるところだろ?」


「ホワイトエイプね。

 あそこに盗賊団が現れたでしょ」


「そういや、三年程前に、そういうことがあったな」


「盗賊団のボスが騎士崩れでね。

 騎士団が何度か討伐に向かったんだけど、ボスが騎士の手口をよく知ってるから、なかなか討伐できなかったのよ」


「ああ、それは俺も聞いたことあるな」


「センライの隣にタリー高原あるでしょ。

 その日、私たちは、そこでコボルト討伐をして、帰る途中だったの」


 部屋の皆が、リリーさんの周りに集まってきたわ。冒険者は、話し上手が多いのよ。


「森から出てホッとしたから、油断しちゃったのね。

 木立に隠れてた盗賊団に囲まれちゃったのよ。

 敵は二十人以上、私たちは六人でしょ。

 もう絶対絶命。

 死を覚悟したわ」


 パーティは最低二人から組めるけど、役割分担があるから五人以上のものが多いわね。


「せめて何人か道づれにしてやろうと、私が剣を抜いた途端、盗賊が全員地面に転がってたのよ」


「魔術かい?」


「いえ、多分近接戦闘だと思う。

 リーヴァスさんが、二十人を一瞬で無力化したのよ」


「ほ、ホントかよ。

 こうしてじかに聞いても信じられねえぜ」


「リーヴァスさんが、剣を抜くところは見なかったの?」


「それが、私が見た時には、穏やかに微笑む彼が立ってるだけだったのよ」


「ひゃー、カッコイイ!」

「あこがれちゃうな~」

「さすが『雷神リーヴァス』だな!」


 そのかたが、十年前に迷子の私をこのギルドに紹介したの。

 私がここで大事にしてもらえてるのは、そういう理由もあるかもしれないわ。

 ああ、リリーさんのお話はまだ続いているわね。


「結局、私たちがしたのは、ロープで盗賊を縛るだけ。

 それなのに、私たちも一緒に盗賊を討伐したってことにしてくれたのよ」


「いいなー、私もそんな目に遭ってみたい」


「馬鹿ね!

 死にかけて、本当に怖かったんだから」


「じゃ、パーティ『バラのとげ』は、大儲けだったな」


「ああ、その頃は、『白いウサギ』に入ってたから。

 皆、盗賊の懸賞金までもらってホクホクだったわ」


 冒険者は、様々な理由で所属パーティを変えることも多いの。

 ずっと一つのパーティにいる方が珍しいのよ。


「いくらくらいもらったんだ?」


「確か、一人銀貨五十枚くらいだっけ」

(作者注:銀貨五十枚=約五十万円)


「はーっ! 

 なんだそりゃ。

 うらやましすぎるぜ!」


「ああ、そん時知りあってたら、おごってもらえたのにな」


「馬鹿ね。

 銀貨五十枚なんか、装備一式交換してお終いよ」


 冒険者は、儲けも多いけれど、出費も多いの。

 装備の費用はもちろん、そのメンテナンス、怪我をした時のポーション、宿泊代や食事代。

 きちんと考えてお金を使わない人は、続けられない仕事なの。

 だから、冒険者になる人は多いけれど、冒険者を続けられるのは、ほんの一握りね。


 今ここで、食べたり飲んだりしているのは、その一握りの人たちってわけ。

 あ、キッチンのカウンターからシェフが顔をのぞかせたわ。


「おーい、ラストオーダーだぜ」


「じゃ、おれ、この酒もう一杯」

「私も、もう一杯もらおうかな」

「俺もー」


 故郷でフェアリスが造るお酒に比べると、人族のお酒は今ひとつだけど、それなりには飲めるわね。

 私も時々飲むのよ? 

 え? 

 私の年? 

 お酒が飲める年だってことだけ教えとくわ。


「みなさん、聞いてね」


「お、キャロちゃん!」

「ギルマス!」


「昨日は、助けてくれてありがとう。

 最後の一杯は、私のおごりよ」


「やったー!」

「わーい!」

「だから、キャロちゃん好きー!」

「さすが、俺の天使、キャロちゃんだぜ」


 変な発言も混じってるけど、みんなが喜ぶなら安いものね。


「ギルマス、そいつら甘やかさないほうがいいですぜ」


 シェフが呆れ顔で忠告してくれるの。


「シェフはひっこんでろー」

「そうだそうだー」


「へいへい、どうせもう店じまいだよ」


 まあ、こういう感じでギルドの夜は更けていくの。

 どうだったかしら。

 ギルドの事が少しは分かってもらえたかな。


 実は、ポータルズ世界のギルドにはまだまだ秘密があるのよ。

 でも、それは、また別の機会に。


 長いこと話を聞いてくれてありがとう。

 アリストに来ることがあったら、気軽にうちのギルドに立ちよってね。


















 いつもお読みいただきありがとうございます。

登場人物が語る、リーヴァスさんの活躍でした。さすが『雷神』の二つ名を持つだけはありますね。

 明日へつづく。

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