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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第11シーズン ポータルズ列伝
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第471話 ポータルズ列伝 キャロ編 第2話 ギルドの朝

 ギルドの朝はどんな風景なのでしょうか。


 アリストのギルドは、基本的に二十四時間営業なの。

 ここがこの国で一番大きなギルドということもあるけれど、周辺にある森には魔獣が沢山棲んでいて、獲物を持ちかえる冒険者のために、いつも戸口は開けてあるわ。


 ギルドの活動が始まるのは、夜明け少し前から。早朝は、比較的遠くの森へ魔獣討伐に出かける冒険者が集まって来るの。


 ああ、冒険者についても説明した方がいいかな。

 ポータルズ世界群で『冒険者』と言えば、魔獣討伐や採集をする人なの。


 魔獣はマナが凝縮して生まれるモンスターよ。

 魔獣そのものからも生まれるけどね。

 増えすぎると森から出て村や町を襲うから、絶えず討伐する必要があるの。

 だから、冒険者はとても大切な仕事ね。


 採集の方は、草や木の実、キノコなどを採って来るのだけど、それは薬師さんや錬金術師さんが作る薬やポーションの素材となるわ。

 だから、間接的に病気の人やけがをした人の役に立っているってこと。

 冒険者は、やっぱり大事な仕事だね。


 ギルド一階にある待合室の壁には、討伐依頼のコーナーと採集依頼のコーナーがあって、冒険者はその中から自分に合った依頼を受けるの。


 冒険者のランクは、鉄から始まり、銅、銀、金と上がっていく。

 比較的大きなこのギルドでも、金ランクは二名しかいないのよ。

 だから、ほとんどの冒険者は、銅ランクか銀ランクね。


 ちなみに、私をここのギルドに住めるようにしてくれた方のランクは、なんと黒鉄くろがね

 このランクは、一つの世界で一人いるかどうか。凄いでしょ。


 ああ、最近売りだし中のパーティがやって来たわね。

 このパーティは、若くして全員が銀ランクなの。ウチの稼ぎ頭ね。


「キャロ、お早う!」


「お早う、ブレット。

 今日も早いのね」


 ブレット君は、二十過ぎで細身だけれど鍛えられた長身なの。

 革鎧を着て長剣を腰に差していて、カッコいいんだよ。

 この『ハピィフェロー(愉快な仲間)』って言うパーティのリーダーも彼ね。


「お早う、キャロ。

 ギルマスの仕事には慣れたかい?」


 優しく話しかけてくるのは、白い杖を持った魔術師のナルニス君。

 小柄な彼は、噂によると様々な魔術が使えるらしいわ。

 下級とはいえ貴族の出身で、宮廷魔術師の試験に通っていたのに、わざわざ冒険者を選んだっていう変わりダネなの。

 色白で女性って言われても信じちゃうくらい可愛いいの。


「キャロちゃん、おはよ」


 次に声を掛けてきたのは、燃えるような赤髪をしたビーチさん。

 がっちりした体格で、ブレット君と同じくらい背丈ね。

 この間、彼女が男の冒険者を腕相撲で負かすところを見たわ。

 背中に大きな剣を背負っているけど、あんなのが振りまわせるのかしら。


「ギルマス、今日もよろしくね」


 生真面目な感じの小柄な女性は、弓師のミースさん。

 城下で毎年開かれる弓の大会で、出れば優勝という成績を残してるの。

 彼女が参加する年は、お城の騎士が弓部門の出場を取りやめるそうよ。


「キャロ、こんにちは」


 最後に声を掛けてきたのは、タンク役のダン君。

 タンク役と言うのは敵の攻撃を防ぐ、「とりで」の役割だそうよ。


 前ギルマスのマックさんに迫る程の巨体で、大きな盾を背中に背負ってるの。

 私なんか、あの盾だけで押しつぶされちゃうわ、きっと。

 彼は田舎の出身で、朴訥ぼくとつな気のいい青年なの。


「キャロ、ワイバーンの目撃情報が入ったって本当かい?」


 ブレットが尋ねてきたわ。


「ええ、『霧の森』を通過中のキャラバンからの報告が一件。

 ダートンから、アリストへの街道沿いでの目撃が四件あるわ」


「北東と南西か。 

 広い範囲に散らばってるってことか……あまり、いい傾向じゃないな」


「私もそう思うわ。

 今のところ、人を襲ったっていう報告は受けてないけど、用心するに越したことないわね」


「討伐依頼は、どうなってるの?」


 これはナルニス君からの質問ね。


「さすがに、このことは国も警戒していて、銀ランク以上の依頼が出ているわ」


 私の言葉を受けて、ミースさんが依頼書の貼ってある壁に行く。

 一番上の依頼を繰りかえし読んでいる。

 帰ってくると皆に説明する。


「パーティからの有益な報告一件につき、銀貨三枚。

 討伐は、一匹につき金貨三枚よ」


※地球の価値に換算すると、銀貨一枚一万円、金貨一枚百万円


「一匹で金貨三枚ぽっちか。

 国は危機感が足りないな」


 ブレット君がしかめ面でつぶやいてる。

 でも、これには私も賛成。

 ワイバーンは竜の亜種と言われるぐらいで、もの凄く強いの。


 当然、Aランクの魔物よ。

 Aランクと言えば、金ランクの冒険者でも五人で掛かる必要があるくらい。

 いずれにしても、命がけの討伐になるから金貨三枚では少なすぎるの。


 結局、パーティ・ハピィフェローは、この町から南西方向にあるダートンの町へ向かうことになったみたい。

 四件の目撃情報があった所ね。


 彼らが出ていくのと入れちがいに、他の冒険者たちが続々とギルドに入ってくる。


「キャロちゃ~ん、お早うー」

「お早う」


「お早う、天使ちゃん」

「お、お早う」


「あー、朝からキャロちゃん見ると、心が洗われるわ~」

「……」


 ま、まあ、いろんな挨拶をする冒険者がいるわね。良くも悪くも変わり者が多いのが冒険者なの。

 でも、気のいい人がほとんどなのよ。

 命懸けの仕事だからかしら。

 少なくとも、ここのギルドには、イジメをするような陰湿なタイプの人はいないわね。


 ああ、あのテーブルの人たち? 

 あれは、ギルドで朝食をとっているの。

 街で食べるより少し高いけど、この時間に開いてる食事処は他には無いからね。


 ギルドには、調理専門のスタッフもいて、夜明けから深夜まで二人ずつ三交代で食事を出しているの。


「おっ! 

 こりゃ、ハーフラビットじゃねえか。

 久々に食ったぜ。

 なかなかいいもんだな」


 冒険者が料理を褒めると、キッチンのカウンターからシェフが顔を覗かせる。


「嬉しいこと言ってくれるねぇ。

 活きのいいのが何匹か入ったんでね。

 ハーフラビットは、活きが良くねえと旨くねえからな」


 シェフは元冒険者で、討伐中に足を怪我して転職した人よ。

 ハーフラビットは、森の中で獲れる魔獣で、討伐依頼だと一番簡単な部類に入るわ。

 昨日、鉄ランクと銅ランクの初心者パーティが獲ってきたの。


 討伐依頼は討伐しただけでも報酬が出るけど、素材を売ればさらにお金になる。

 冒険者の大切な収入源ね。





 いつもお読みいただきありがとうございます。

ギルドで見られる朝の風景、いかがでしたか?

次話は昼頃のギルドです。

 明日へつづく。

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