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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第10シーズン 奴隷世界スレッジ編
466/927

第464話 奴隷世界編 第78話 英雄と陰謀(3)

 史郎が演説!? なぜ、そんな似合わないことを?


『( ̄ー ̄) どうみても、やりすぎですねえ。まっ黒シロー登場です』

「ミー!」(ホント!)


 翌日、俺は久しぶりにケーナイギルドを訪れた。

 昼前のギルドは、冒険者で溢れていた。

 

 アンデと二人、ギルドの扉を潜った俺は、不思議に思って尋ねてみた。

 

「この時間は、みんな討伐に出てるんじゃないのか?

 やけに人が多いな」


「ワハハ、当たり前だろう。

 お前が来るかもしれないってんで、一週間ほど前からこの騒ぎだぞ」


 アンデが説明してくれるが、よく理解できない。どういうことだ?


「みんな伝説の冒険者を一目見たいのさ。

 大陸中のギルドから人が来てるぜ」


 どうしてそんなことに!?

 そうならないように、作戦を練ってきたのだが……。


 ウオーンン


 アンデの遠吠えで、冒険者たちが静かになる。


「ケーナイの冒険者にはもうお馴染みだろうが、ここにいるのが世界群を崩壊の危機から救った黒鉄くろがねシローだ!」


「「「「おおおー!」」」


 もの凄い歓声が上がる。


「あれがシローか!」

「風格があるぜ!」

「本物か、凄えっ!」

「黒鉄の冒険者、初めて見たぜ!」


 えらいことになってるな、とりあえず、みんなの気を逸らそう。


「みなさん、今回は『神樹戦役』で俺のパーティをサポートしてくれてありがとう!

 直接関わった方には、お礼を渡すのでパレードには必ず参加してください」


 アンデが俺から話を引きつぐ。


「シローから、冒険の話を聞きたい者もいるだろう。

 二階の大会議室に集まってくれ」


「「「おおーっ!」」」


 冒険者たちが声を合わせた。


 ◇


 ギルド二階の大会議室は、立ち見が出るくらい人が集まった。

 

 ウオーンン


 犬人アンデの遠吠えで、ざわついていた会場が落ちつく。


「それでは、ケーナイギルドが誇る、黒鉄の冒険者シローから『神樹戦役』についての説明がある」


 アンデの大げさな紹介に苦笑いしながらも、俺は予定通り話を進めた。


「えー、ギルマスからご紹介がありましたシローです。

 ここにいるみんなには、並々ならぬお世話になりました。

 俺自身が、予期せずドラゴニア世界に飛ばされた時。

 俺の家族が後を追ってドラゴニア世界に向かう時。

 そして、今回も家族がスレッジ世界へ向かう手助けをしてもらいました」


 俺はそこで、『神樹戦役』がどういう意味を持っていたか、人々の前で説明した。


「げっ!

 せ、世界群の崩壊……」

「そんなことになりゃ、俺たちも、巻きこまれてたってことか……」

「まさか、それほどの危機だったとは……」


 冒険者たちは、初めて実状を知り、青くなっている。  


「そして、その危機を救ったのが、アリスト軍、マスケドニア軍、巨人の里、そして我らがギルドなのです」


 俺の言葉に、冒険者たちから歓声が上がる。

 普段、社会的にあまり評価されることがない彼らの活動も、これを機に見直されていくだろう。


「約二百年前、その当時活躍した英雄が神聖神樹様、神樹様を保護する目的でギルドを創ったということは、ご存じの方もいるでしょう。

 今回の『神樹戦役』で、ギルドはその創立の目的を果たしたということになります。

 今こそ、我ら冒険者が所属するギルドを讃えようではありませんか」


「「「おおおー!」」」


 盛りあがってきたな、そろそろ『あれ』をするタイミングだな。


「今回、我ら冒険者を代表し、スレッジ世界で活躍した英雄・・を紹介しましょう」


 突然、みんなの前にあるテーブルの上に、四人の冒険者が姿を現す。

 ルルと一緒にスレッジ世界に渡り、そしてかの地に新しくギルドが設立される手伝いをしたデデノたちだ。


「この度、『神樹戦役』での功績により、金ランクになった四人の英雄・・です。

 拍手で迎えましょう!」


 俺は立ちあがり、大げさな身振りで拍手を始める。

 嵐のような拍手が、四人に向けられる。


「シ、シローさん、こ、これは?」

「な、なんなんだ?!」

「こ、こりゃ、どうなってる?!」

「おいおい、どうすりゃいいんだ、これ……」


 アンデが年季が入った木箱から四つのギルド章を取りだす。

 彼が四人一人一人の胸に金色に輝くギルド章を着ける。


「「「おおー!」」」

「金ランク、スゲー!」

「かっこいー!」

「ギルド万歳!」


「では、みなさん、我らが英雄・・に改めて拍手を!」


 俺の声を合図に再び、盛大な拍手が巻きおこる。 


「おい、こりゃあ、ちょっとやり過ぎじゃないか?」


 アンデが俺に小声で囁く。


「恥ずかしいのは一瞬だけだから、ここは勘弁してもらおう。

 それに、ギルドの社会的地位を高めるなら、『英雄』は多い方がいいだろ?」


「まったく、よく言うぜ。

 デデノたちが、可哀そうだ」


「いや、この四人、全員まだ独身でしょ。

 これで、リア充路線まっしぐらじゃない?」


 アンデが呆れたような顔で絶句している。


『( ̄ー ̄) しかし、いくら自分が「英雄」と呼ばれたくないからって、これはないでしょ』


 いや、点ちゃん、ここはギルドの社会的地位を高めるためにですねえ――


『(・ω・) ブランちゃん、どう思う?』


「ミミミ!」(ギルティ!)


 俺の肩に乗るブランが、前足の肉球で俺の頭をぺしぺしと叩く。


『(・ω・) ルルさんに、この動画見てもらわないと』


「ミーミー!」(そうそう!)


 ちょ、ちょっと点ちゃん、それだけは勘弁して。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

点ちゃんが言うとおり、今回の史郎は黒かった。

これは、ルルに叱られますね。

 次話、史郎はナルとメルのために何かを造るようです。

またまた親バカ炸裂か?

 明日へつづく。

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