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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第10シーズン 奴隷世界スレッジ編
439/927

第437話 奴隷世界編 第51話 女王と国王

 アリスト軍に心強い味方が参加します。


 アリスト、マスケドニア連合軍は、アリスト東部にある鉱山都市のポータルから、続々と獣人世界グレイルへ渡っていく。

 その数、約一万。兵士が通る道沿いの街や村は、連合軍に物資を支給するため、特需に沸いていた。


 獣人世界における物資の補給は、獣人会議が受け持つことになっている。そのため、連合軍の行動は、その規模にしては迅速だった。


 マスケドニアからアリストまで、湖を船で渡ってきたマスケドニア王と軍師ショーカは、アリスト城で一泊した後、女王畑山と共に鉱山都市へとやって来た。

 すでに連合軍の半数以上は、ポータルを渡った。


 マスケドニア王は、黒く渦巻くポータルから少し離れた場所に置いたテーブルに着き、感慨深げな表情をしていた。


「女王よ、それにしても、この面々は壮観だの」


 彼が指さした所には、急に今回の遠征に参加した一団が座っていた。


「ええ、私も、まさかこんなことになるとは、思っていませんでした」


 女王はちょっと疲れているように見えるが、その目はキラキラ輝いていた。レダーマンは、その理由がこれから行く世界にいる勇者だと分かるだけに、ため息をついた。


「我々の軍勢だけでは、おそらくスレッジのそれに遠く及ばないでしょう。

 勇者殿、シロー、そして聖女様の力が勝敗を決めるでしょう」


 ショーカはスレッジに関するわずかばかりの情報から、そう結論づけていた。このあたり、さすがは天才軍師だ。


 その時、ポータル部屋へ上がってくる階段の方が、騒がしくなる。

 現れたのは、荷を背負った背が低い男たちだった。

 彼らは、女王と国王がいる、こちらのテーブルはそっちのけで、部屋の片隅に座る集団の前で平伏している。


「女王様、あの者たちは?」


 ショーカが尋ねる。


「鎧や武具を用意してくれた者たちです」


「彼らは、ドワーフだと思うが……」


 マスケドニア王は、ドワーフたちが十分信頼が置けるか尋ねようとしたが、途中でそれをやめた。

 彼らの平伏振りが、あまりにも堂に入ったものだったからだ。

 どうやら、出身世界への忠誠がそれほどあるわけではないらしい。

 

「彼らには、今回の遠征がどういう意味を持つか、内々に伝えてあります」


 アリスト女王の言葉で、マスケドニア王は心配を心から追いはらった。


「世界群を救うための遠征ですからね」


 ショーカが言葉を添える。

 平伏していたドワーフの一人が、やっとこちらにやって来て頭を下げる。


「皆様、お初にお目にかかります。

 女王陛下、この度、鎧を作らせていただいたジュガールでございます」


「おお、そなたが」


「はっ、どうかこちらへ」


 彼は、たった今、ポータル部屋の隅に立てた衝立の方を手で示す。

 女王は女騎士二人につき添われ、衝立の後ろで鎧を着けた。

  

 衝立の陰から出てきた、その姿を見たマスケドニア王が声を上げる。


「そっ、その鎧はっ!」


 ドワーフの鍛冶が頭を下げ、それに答える。


「アダマンタイト製の鎧でございます」


 ただでさえ見目麗しい女王が黄金色に輝く鎧を着けた姿は、この世のものとは思えぬほど美しかった。


「美しいのう!」

    

 マスケドニア王は感嘆した後、軍師の方を向いた。


「ワシの鎧も、あれで造れぬか?」


「陛下、残念ながら……年間の国家予算に匹敵するかと。

 材料自体、手に入りませぬ」


「ぬう、女王と並ぶと、ワシが見劣りするではないか、わははは!」


 こうして準備を整えた彼らは、獣人世界へのポータルを渡った。

 彼らとともにポータルを潜ったのは、先ほどドワーフが平伏していた相手、ウサ子たち十柱のマウンテンラビット、つまり神獣だった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

なんと、ウサ子が参加するとは!

 女王様、マスケドニア王、神獣という豪華メンバーが揃いました。

 

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