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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第10シーズン 奴隷世界スレッジ編
396/927

第394話 奴隷世界編 第8話 仲間の行方(中)

 やはり、 エンデとリニアは大変な事になっているようです。

史郎は、二人への手がかりを手に入れられるのか?

 今回は、猫バージョンの点ちゃんが登場します。


 竜人世界から獣人世界へのポータルの出口は、崖の中腹にある小部屋にある。


 俺たち四人は、それぞれが一人だけでここに来た時のため、竜人が利用しているロープの使い方を確認した後、一旦、解散することにした。


 ただ、加藤は、行方不明者リストにエンデの名前があると知り、一緒に探すと言って譲らなかった。


「エンデって誰?」


「ああ、竜人国でできた俺と加藤の友人だよ」


 畑山さんの質問に、軽い感じで答えておいた。

 エンデが女性であるなどと知れたら、修羅場は間違いないからね。


 俺は三人をボードに乗せ、一旦、崖の上に出る。


 まず、舞子をこの世界にある彼女の屋敷に瞬間移動で送る。

 次に、セルフポータルを開き、パンゲア世界のアリスト城に畑山さんを送った。

 ついでに、マスケドニアにいるミツさんへ、加藤が遅くなる事を念話で伝え、さらに「くつろぎの家」に滞在中のイリーナとターニャを城まで瞬間移動させる。

 俺は、二人の女性を連れ、再びセルフポータルを開いた。


 俺がイリーナとターニャを連れているから、加藤は驚いた。


「畑山さんは無事アリスト城に着いたよ。

 あと、マスケドニアにいるミツさんに、お前の帰りが遅くなるからって伝えておいたぞ」


「全く、ボーは、ぼーっとしているようでいて、やるときはやるんだよな」


 加藤のそんな言葉を聞きながら、イリーナとターニャさんを、舞子の屋敷に瞬間移動させた。

 舞子には、二人の面倒をみるよう、念話で頼んでおく。

 本来なら、俺たち家族がアリストに帰った後で、そうすると打ちあわせておいた事だから、舞子はすぐに理解してくれた。


「さてと、加藤、二人きりになったな」


「ああ、早速、地図を参考に目的地に行ってみよう」


 ◇


 加藤と俺は、点ちゃん1号に乗り、上空から地図と地形が合致する地点を探していた。


 地図中に、ひどく湾曲した特徴ある形の川が含まれていたので、すぐに見つかるかと思ったが、意外に時間が掛かった。

 もちろん、見つけてくれたのは、点ちゃんだ。


 場所は見つかったが、リニアが地図につけた略号が何を意味するか分からないので、記号がある場所をしらみつぶしに調べていく。


『(Pω・) ご主人さまーっ、きっとここだと思うよ』

  

 点ちゃんが、声を掛けてきたのは、もう少しで日が完全に暮れる頃だった。

 暗いと加藤が探すこともできないので、点ちゃん1号の中で泊まることにする。

 俺はいつの間にか夜目が利くようになってるんだけどね。

 能力を手にしたのは、恐らく、竜王様が友人としての加護をくれた時だろう。

 パレットで見ると『竜王の加護 竜眼』とあったそのスキルは、時間がたつにつれ能力を増しているようだ。

 

「よし、朝になったら、下を調べよう」


 恐らく明日は忙しい日になりそうだ。備えつけてあるコケットに横になった加藤は、すぐに眠りに落ちた。

 俺は、多めに点をばら撒いてから、眠りに就いた。


 ◇


 翌日、夜が明けるとすぐ、二人用ボードを出し、加藤と一緒に地上に降りた。


 地上に着くとすぐ、俺の肩から飛びおりた白猫ブランが、その辺りをクンクン嗅ぎまわっている。

 そこには、かつて訪れた犬人の隠れ里を彷彿とさせる、質素な家々が立ちならんでいた。

 家屋の数は、十四、五だから、最低それだけの竜人がいたのだろう。

 人がいないことは、すでに昨夜のうちに、点魔法で確かめてあった。   

 

「誰かいませんかー?」


 加藤が、大声で呼びかけるが、当然、返事はない。


「誰もいないみたいだな」


 不思議なのは、村には争ったような跡もなく、日々の営みがそのまま中断されたよう感じられた。

 冷えた食べかけの食事が残っている家や、竹のようなものを編みかけて放置している家があった。

 

「まるで、お前が点魔法で住民を消したみたいだな」


 そんなことを言いながらも、エンデの事が心配なのか、加藤はいつになく真剣な顔をしている。


「うーん、ここからどうするかな」


 俺が次の手に悩んでいると、点ちゃんから念話があった。


『(・ω・) ご主人様ー』  

 

 お、点ちゃん、なんだい? 


『(・ω・) ブランちゃんがお話があるんだって』

 

 なんだろう。

 じゃ、点ちゃん、通訳してくれる?


『(^▽^)/ はーい、分かったー』


 白猫は、俺の足元にやってくると、向こうずねに身体をすりつけながら、ゴロゴロ喉をならしている。


『(=^・ω・^=) ……住んでいた生き物の匂いをたどることができるよ』


 えっ! ブランって、そんなこともできるの?


『(=^・ω・^=) ……この前、お城で水に手をかざしてから、できるようになったよ』 


 水に手をかざす? ああ、「水盤の儀」のことか。


『(=^・ω・^=) ……残っている何かを見ることもできるんだって』


 うーん、なんだろう?

 じゃ、点ちゃん、ブランにその何かを見てもらって。


『(=^・ω・^=)/ はーい!』


 あれ、猫のままになってる。それが気に入ったんだね。


 ブランは、恐らく点ちゃんから俺の頼みを聞いたのだろう。

「ミー」と一声高く鳴くと、俺の肩に飛びのった。

 例のごとく片方の肉球を、俺の額に当てる。


 俺の思考に、もやがかかると、それがぼんやりした映像となった。


 映像の中には、小さな竜人の子供が映っており、その子がこちらに笑いかけている。

 突然、扉が開くと、背が低く、兜をかぶった三人の男が入ってきた。

 アリストの鉱山都市で同じ種族と出会ったことがあるから分かるが、それはドワーフだった。

 画像が急に鮮明になる。


 男たちは、子供を肩に担ぐと、おそらく視点となった人物と争ったのだろう。

 子供に伸ばした、おそらく女性であるだろう人物の両手が見えた後、目の前に大きくなるこぶしが見えた。

 突然映像が途絶えたのは、そこでこの視点を持つ人物が気を失ったからだろう。


 はっと我にかえると、加藤が心配そうに俺の顔を覗きこんでいた。

 

「おい、大丈夫か?

 何か、苦しそうだったぞ?」


 視点の人物の心情が俺の顔に出ていたらしい。

 ブランは、おそらく、この村にいた一人の女性が残した残留思念をたどったのだろう。

 凄まじい異能だ。  

 ブランが『夢喰い』に覚醒して手に入れた能力だろう。

 

 点ちゃん、ブランに住んでた人たちの匂いをたどるよう言ってくれる? 


『(=^・ω・^=)/ 分かったー』


 すでに地面に降りていた白猫ブランは、すぐに村の中にある道を歩きだした。


「おい、どうしたんだ?」


「ああ、ブランが俺たちを案内してくれる」


「えっ?

 ブランちゃんが?」


「まあ、見ていてくれ」


 ブランは、身軽に歩きながら、時々地面を嗅いだり、空中を匂ったりしている。

 俺たちはブランの後を歩き、木々の中に分けいった。

 細い山道は、ところどころ草の茂みに消え、そしてまた現れる。

 ブランの案内が無ければ、道なりに歩くことなど到底できなかったろう。


 俺たちは、五時間ほど歩き、焚火の痕が残る場所に出た。

 焚火の様子からすると、竜人をさらったヤツらがここを通ってから、すくなくとも二、三日は経っているようだ。


 しかし、これだけ手間をかけ、竜人をさらう目的はなんだろうか。スレッジと言う世界は、奴隷制があるらしいが、竜人を奴隷にすることだけが目的ではないような気がする。

  

 その場所で、一休みした俺たちは、夕暮れまで歩き、おそらくヤツらがキャンプしたであろう場所を見つけた。

 勇者である加藤は、全く疲れた様子を見せなかったが、俺は疲労が足腰に来ていた。冒険者として日頃から鍛えていなければ、疲れて動けなくなっていただろう。


 功労者であるブランに、彼女が好きな、地球の牛乳を出してやる。

 俺は焚火をおこし、ジジ肉のベーコンを炙ると、それを入れたラーメンを作った。

「付与 時間」は、こういう時、本当にありがたい。


「まさか異世界で、地球のラーメンが食べられるとはな!」


 旨そうに麺をすすりながら、加藤がそう言った。

 疲れを取るため、点ちゃん1号を出し、入浴後コケットで寝た。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

点ちゃんは、猫モードが気にいったようですね。

『(=^・ω・^=) ミー』

 おや、その鳴き声は、ブランのまねですか。

 ブランをモフりながら、明日へつづく。

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