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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第10シーズン 奴隷世界スレッジ編
395/927

第393話 奴隷世界編 第7話 仲間の行方(上)

 リニアとエンデの身に何か起きたようです。

ほのぼのムードから、一転、緊迫の展開へと移ります。


 投稿が予定の時間より遅れてしまいました。

 申し訳ありません。


 俺を含め『初めの四人』は、竜人国の『ポンポコ商会』に来ていた。


「ああ、そうそう、リニアはどうしてる?」


 俺は、結果的にこの国と俺たちを繋ぐ役割を担った黒竜族の女性を話題に出した。


「リニアさんは、この国に新しくできた『ギルド』ですか、それのマスターになりました」


「ええっ!?」


 これは、俺が驚くのも無理はないだろう。


「リニアさんは、この店を手伝いたかったようですが、白竜の若様が強く望まれ、仕方なくお仕事を引きうけたようです」


「エンデは?」


「彼女は、今、リニアさんのお手伝いで獣人の国へ行っています」


「ええっ!?」


「なんでも、ビギから不当に追放処分を受けた人たちを迎えに行くよう、『四竜社』から依頼を受けたらしいですよ」


 それがリニアの悲願だったから、ちょうどいいな。

 

「で、二人は、いつ帰ってくるの?」


「それが、十日前に獣人世界へ出発したきり、連絡が途絶えているらしいのです。

 昨日、ウチにも、ジェラードさんから問いあわせがありました。


 十日か、どうも嫌な予感がする。


「ギルドの場所はどこだい?」


「まだ正式な場所が決まっていないから、青竜族の役所に一部屋もらっているようです」 

   

「そうか、ありがとう。

 すぐに行ってみるよ」


「お兄ちゃん、もう行っちゃうの?」


「イオ、ごめんね。

 ナルとメルも天竜国に来ているから、近いうちに会わせるよ」


「えっ!

 そうなの?

 うわー、楽しみー!」


「じゃ、みんな、ちょっと別の所に移動するよ」


「そうそう、そういう風にちゃんと言えばいいのよ」 

「いいよ、史郎君」

「どこに行くんだ?」


 俺は、三人を連れ、青竜族の役所に瞬間移動した。


 ◇


「竜王の名において再び命ずる。

 以後、俺の前で平伏、お漏らし、そして逃走を禁ずる」


 俺の姿を見るなり、机から立ちがりかけた青竜族の役人たちに向け、俺は大きな声ではっきり言った。


 逃げだしかけていた竜人たちが、ピタリと足を停める。

 広い役所の空間がシーンとなる。


「みな、これはどうしたことじゃ、なぜ黙って……」


 なぜかいつも俺が訪れるタイミングに合わせて二階から降りてくる、ハゲ頭のおじさんが、ブルブル震えだす。


「逃走を禁ずる」


 二階に戻りかけたおじさんが、ピタリと停まる。

 面倒くさいから、以前のように点で吊りあげ、俺の前に連れてくる。


「確か、シューダだったな。

 ギルドが借りてる部屋はどこだ?」


「こ、こ、こちらでございまするっ!」


 おじさんは、早足で一階の角に近い部屋へ俺たちを案内した。


「こ、ここでございます!」 

 

 俺はお礼のつもりで、彼の肩をポンと叩いたが、それがいけなかったらしく、おじさんは白目をむき、泡を吹いて倒れてしまった。

 舞子がすぐに治癒魔術を掛ける。

 ハゲおじさんは、すぐに目を覚ました。


「あなた、かなり危ない状態だったのよ。

 しばらくは、安静にしておきなさい」


 聖女の威厳に触れたおじさんは、がくがく頷いている。


 俺は、机に着いている竜人の男性二人に声をかけ、おじさんを連れていかせた。

 二人に横抱きにされたおじさんは、安心したのか、がっくり気を失う。

 舞子は、彼に手をかざしたが、気を失っているだけと分かったのだろう、治癒魔術はかけなかった。


 ノックをしてギルド部屋に入る。

 中には、赤竜族の娘と白竜族の族長ジェラードがいた。


「シロー!

 ちょうどいいところに来てくれた。

 リニアさん、エンデさんと連絡がつかなくなってるんだ。

 心当たりはないか?」


 彼は、心労からか、少しやつれているように見えた。


「心あたりはないが、とにかく今から後を追ってみるよ。

 何か手掛かりになるものはないか?」


「ああ、ここにリニアさんが持っていった地図の写しがある」


 見ると、かなりおおざっぱな地図だが、点ちゃんの解析能力があれば問題ないだろう。


「シローさん、お二人をお願いします」


 赤竜族の美しい娘が、俺に話しかける。

 えっ? こんな娘さん、知ってたかな。


「ラズローの娘、リンです」


 えええっ! あのぽっちゃりしてた娘か? 見違えたよ。


「分かってる、俺に任せてくれ」


 俺は、友人たちを連れ、『四竜社』地下のポータルがある部屋に跳んだ。


 ◇


「な、なんなのっ!?」

「きゃっ!」


 畑山さんと、舞子が悲鳴を上げたのは、瞬間移動した先が暗闇だったからだ。

 俺は懐から『枯れクズ』を出した。

 ぼんやりと辺りが照らされる。


「もう!

 だから、瞬間移動するときは、前もって知らせろって言ってるでしょ!」


 畑山さんが怒るのも無理はない。


「ご、ごめん、うっかりしてた」


「相変わらず、ぼーっとしてるな」


 加藤が突っこむ。


 三人を壁にかかった額縁のところまで連れていく。


「『グレイル』って書いてあるでしょ。

 ここが、竜人国と獣人国間のポータル。

 何かあったときのために覚えておいてね。

 ここは、『四竜社』っていう竜人国の行政機関が入っている建物の地下になるから」


 俺がいなくても転移することがあるかもしれないからね。


「そっちにも額縁があるわね」


「ああ、畑山さん、そちらは『スレッジ』っていう世界とのポータル。

 いろいろ問題があってね、今は閉鎖してあるんだ」

 

「じゃ、行こうか」


 舞子は、ポータルの向こうに自分が故郷とも思う獣人世界があると知り、嬉しそうだ。


 俺たち四人は手を繋ぎ、獣人世界へのポータルに踏みこんだ。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

獣人世界に向かった、竜人リニア、エンデに何か起きたようです。

史郎は、どう対処するのでしょうか。

 明日へつづく。

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