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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第10シーズン 奴隷世界スレッジ編
392/927

第390話 奴隷世界編 第4話 ドワーフの鍛冶屋

 新種族登場。エルフとならび、ファンタジー世界で定番のあの種族です。


 この日、俺はリーヴァスさんに連れられ、アリスト東方にある鉱山都市に来ていた。


 この都市には獣人国へのポータルがあるため、すでに何度も訪れているのだが、今までは、いつも素通りするだけだった。

 しかし、今回はある目的があって来ている。


 俺たちは、この街の小さなギルドに挨拶した後、都市から山岳地帯へ向かう山道を歩いていた。


「もう少しです」


 リーヴァスさんは、息も切らせていない。

 俺も冒険者として鍛えているつもりだが、正直、少し足にきていた。

 もうすぐ着くと聞き、ほっと一息つく。

 人気ひとけの無い山道を急角度に曲がると、山肌にへばりつくような集落が見えてきた。

 

 リーヴァスさんが一軒の小屋のところへ行き、今にも壊れそうな扉をノックする。


「誰だ?」


 野太い声と共に扉が開く。 

 そこには、頬から顎にかけ褐色の髭を伸ばし放題にした、男性が立っていた。

 年のころ五十くらいだろうが、やけに背が低い。

 俺の胸あたりまでしかない。

 その代わり、身体はがっしりしており、特にその右手は恐ろしいほど筋肉が発達していた。


「おう、リーヴァスの旦那か!」


「ジュガール殿、お久しぶりです」


 二人は、がっしと握手する。  


「そっちの若いのは?」


「ああ、私が所属しているパーティのリーダーで、シローです」


「もしかして、パーティ・ポンポコリンの『黒鉄シロー』かい?」


 彼は、目を丸くしてこちらを見る。

 だけど『黒鉄シロー』って、なんかねえ。


「あー、はい、シローです」


 俺は、苦笑いして答えた。


「『黒鉄シロー』に会ったって言やあ、話の種になるぜ。

 まあ、とにかく中へ入ってくんな」


 建物の中に招きいれられた俺たちは、大きい方の椅子に座った。

 なぜ「大きい方」かというと、部屋には大きな椅子と小さな椅子、二種類の椅子があったからだ。


 一度、奥へ引っこんだジュガールが再び現れ、お茶を俺たちの前に置いた。


「お、旨いですね」


 俺は思わず声を上げた。

 濃い色のお茶は、どことなくウーロン茶を思わせる味がした。


「そうかい?

 嬉しいねえ。

 故郷の茶が恋しくなってな。

 茶の木を種から育てたんだ。

 ドワーフの茶と言えば、この『鉄茶てっちゃ』だな」


 その言葉で、彼が初めて見る種族、ドワーフだと知った。


「ジュガール殿、今回はお願いがあって参ったのです」


「雷神殿の頼みとあらば、喜んで引きうけたいが、生憎、ミスリルを切らしちまってな。

 それが入るまで待ってもらえるなら仕事を受けるが……」


 ジュガールは、本当に残念そうだ。


「金属は、ある程度こちらで用意できます」


 リーヴァスさんが、微笑んで言う。


「おっ、そういうことなら、ぜひ引きうけさせてもらいてえ。

 金属は持ってきてるんで?」


 リーヴァスさんは、彼のマジックバッグに手を入れると、白く輝く金属を取りだした。


「こっ、こいつはっ!」


 ジュガールの顔が驚きに固まる。


「ええ、パールタイトです」


「さ、触ってもいいですかい?」


「ええ、どうぞ」


 リーヴァスさんは、光沢がある白い金属の延べ棒をテーブルの上に置いた。

 ジュガールは、震える指先で延べ棒に触れると、両手で拝むようにそれを顔の前に持っていった。

 彼の目からは涙が流れている。

 なぜ、ここで涙?


「やっと、やっとこの日が来たか……」


 ジュガールは、延べ棒を慈しむように撫でる。


「わしゃ、こいつを使いこなせるような鍛冶屋になるのが夢でな。

 それでこの年まで金槌を振ってきたんだ」


 彼が感極まった様子で黙りこんでしまったので、リーヴァスさんが本題に入る。


「これで十一人分の防具と四人分の武器を作ってもらえるかな」


「じゅ、十一人!

 しかし、旦那、そうなると、これだけじゃ全然足りねえぜ」

 

 リーヴァスさんは、それに答える代わりに、マジックバッグから、さらに四本の白い延べ棒を取りだした」


「げえっ!

 こ、これが、全部パールタイト……」


「ジュガール殿以外に、これを頼める者を知らぬのでな」


「だ、旦那……」


 リーヴァスさんの言葉に、ジュガールは再び涙を流しだした。


「それと、もしできるなら、これを使い、あと三つの防具と二つの武器を作ってもらいたい」  

 

 次にリーヴァスさんが取りだしたのは、黄金色に輝く金属だった。


「ア、アダマンタイト……」


 ドワーフの鍛冶は、驚きを通りこし、呆れた顔になっている。


「で、できるかな?」


「で、できるも何も、この仕事を受けなきゃ、ドワーフの鍛冶じゃねえ!

 ちょいと待っててくだせえよ」


 ジュガールは俺たちが入ってきた扉を開くと、外に飛びだした。


 ◇

 

 やがて部屋は、ジュガールと同じような背丈の男たちで一杯になった。

 ちょっと暑苦しいなこれは。

 ドワーフが二十人近くいるようだ。

 部屋に入るなり、全員がテーブルの上に積みあげられた金属に見入っている。

 

「す、すげえ!」

「おい、夢じゃないだろうな?」

「生きてて良かった!」


 なんか、すごい感想だな。

 ジュガールが、男たちの話し声に負けないよう大声を張りあげる。

 

「雷神リーヴァスと黒鉄シローから、鎧と武器の注文が入った。

 パールタイトで、十一の鎧と四つの武器。

 アダマンタイトで三つの鎧と二つの武器。

 俺一人じゃ、到底作れねえ。

 皆の衆、手伝ってくれるか?」


「「「おおー!!」」」


 こうなると、もうときの声だね。


 こうしてリーヴァスさんと俺は、仲間のために鎧と武器を作ってもらう依頼を済ませた。

 

 いつもお読みいただきありがとうございます。

ドワーフと言えば、やはり鍛冶でしょう。

さて、どんな鎧や武器ができますやら。

次回は、史郎がモテモテに。なぜでしょう。

 明日へつづく。

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