第388話 奴隷世界編 第2話 新しい職業
史郎が再覚醒した職業、その正体がやっと判明します。
しかし、彼は、よっぽどそれを隠しておきたかったようですね。
俺は『くつろぎの家』に家族と仲間を連れてくると、二度目の覚醒について説明することにした。
女王陛下に許可をもらい、エミリーと翔太も、この場に来ている。
ルルには、すでにナルとメルが『覚醒真竜』となったことを告げてある。
皆がリビングのテーブルに座ると、城で起こったことを説明する。
「あー、さっきは突然お城に呼んでごめんね。
どうしても、あの場で確かめなければならないことがあったんだ」
並んだ顔をぐるりと見まわす、みな驚いたような顔をしているが、ルルとリーヴァスさんは落ちついていた。城に呼ぶ前、お昼寝中だったナルとメルは、あくびをしている。
「お兄ちゃん、さっき私の体が光ったような気がしたけど」
コルナが指摘する。
「ああ、さっき水盤が光ったのは覚醒だ」
「でも、シロー、私はすでに子供の頃、覚醒が終わっていますよ」
コリーダは、とまどった表情だ。
「俺たちは、再覚醒したんだ」
俺の言葉にポルが首をかしげる。
「再覚醒?」
「ああ、二度目の覚醒にそう名前をつけてみた」
みんなが驚いた顔になる。さっきまでより驚いてるってどういうことよ。
「お兄ちゃんが、まともな名前をつけたことは置いといて、再覚醒って何?」
ぐっ、さりげなくコルナに落とされた。
「……今から各自が何に再覚醒したか伝えるからね」
翔太がキラキラした目でこちらを見ている。
「最初に、二匹の猫、ブランとノワールだけど……」
自分の名前が呼ばれるのが分かったのか、ナルとメルの膝で二匹の子猫が「ミ~」と鳴いた。
「それぞれ、『夢喰い』と『大喰らい』になったよ」
「シロー、それはどんなものでしょう?」
「ルル、まだ全く分からないよ。
これから各自で少しずつ知っていかないとね。
あと、コリンも『変化者』に覚醒しているよ」
「シロー、では、私たちの新しい職業についてもお聞かせ願えるかな」
「はい、リーヴァスさん。
ポルは、『剣士』から『魔剣士』になりました」
リーヴァスさんが驚いた顔をしたのは、ポルの再覚醒した職業が自分の職業と同じだったからだろう。
「ま、『魔剣士』って、あの伝説の!?
痛っ!」
ポルが飛びあがり、テーブルに膝をぶつけた。
「ミミは、『料理人』から『軽業師』になりました」
「……なんか、微妙な感じ」
ミミは喜びきれず、とまどったような顔をしている。
「次は、ルル、コルナ、コリーダ。
君たち三人は、『竜の巫女』になったよ」
「「「『竜の巫女』?」」」
「ああ、きっと真竜から母親として選ばれたことが影響したんだろう」
「お兄ちゃん。
じゃ、もう私は『神樹の巫女』じゃなくなったってわけ?」
「いや、コルナ、『神樹の巫女』としての能力はそのまま残っているはずだよ。
水盤には、二つの文字が浮かんでいたからね」
「そうなんだ」
「次は、翔太だけど、君は『魔術師』から『大魔術師』になったよ」
「わーい!」
翔太は、それが何か分からなくても純粋に喜んでいる。
『(・ω・) ご主人様も、彼を見習ってください!』
へいへい。
『d(・ω・) 返事は「はい」一回』
はい……。
「さて、次は、エミリーだけど、君は『聖樹の巫女』に再覚醒したよ」
「えっ?」
エミリーの可愛い口が「O」の字に開く。
「水盤には、『聖樹の巫女』という文字が二つ並んでいたから、同じ職業でも、おそらく一つ上のクラスになったんだろう」
翔太が、彼女の隣で拍手している。みなもそれに誘われ拍手した。
「それから、今回地球から来たイリーナは、『聖女』になったよ」
「「「おおーっ!」」」
みんなの歓声に、イリーナは恥ずかしそうにうつむいた。となりのターニャさんが、誇らしげに胸を張っている。
「最後に、リーヴァスさんは『魔剣士』から『守護者』となりました」
みんなが拍手する。
自分の新しい職業がリーヴァスさんのものと同じだと分かったからだろう、ポルは感極まり涙ぐんでいる。
「で、リーダーは何になったの?」
「ミミ、それはおいといて。
新しい職業がどんなものなのか、これから各自確認しておいてね。
いつ何が起こってもいいように」
「ねえ、リーダー……」
ミミが再び尋ねようとするが、ルルの言葉がそれを止めた。
「では、みなさん。
今日は再覚醒のお祝いにカラス亭に行きましょうか」
「やった!」
以前、カラス亭で食事したことがあり、その美味しさを知っているポルが満面の笑みを浮かべている。
「わーい、カラスだー!」
食いしん坊のメルが盛りあがる。
それで、ミミが尋ねようとした俺の職業は、うやむやになった。
すでにルルだけには話しているから、近く、他の家族にも話さなくてはならないだろう。
ハートンが目にし、動けなくなるほど驚いた、俺の職業は『英雄』だった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
史郎の職業は、『英雄』でした。
こ、これは恥ずかしい。
可哀そうだから、明日へつづく。
と、みせかけて……。
作者「『英雄』に再覚醒された史郎さん、今のお気持ちは?」
史郎「や、やめろっ(小声)」
女王「ぷっ」
加藤「ぷっ」
舞子「史郎君、凄い!」
史郎「ぐはっ!」(ぽて)
作者「どうやら、舞子ちゃんのセリフが一番ダメージを与えたようです」




