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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第9シーズン 異世界訪問編
374/927

第372話 異世界訪問編 第36話 地球世界の神樹3 -- 北アメリカ --

 今話の舞台は、フランスのパリ、そしてカナダ、合衆国です。

北米にも、神樹様はいらっしゃるでしょうか?


 


 ドイツの『黒い森』を後にした俺たち一行は、フランスのパリに来ていた。


 エミリーがいつになく疲れているから、今夜はパリのホテルに宿泊する。

 目的のホテルのスイートルームを確保するため、俺は遠慮なくフランス大統領に連絡を入れた。

 俺だけのためなら決してしないことだが、エミリーの事となると話は別だ。


 大統領は、有名なホテル王が設立した、高級ホテルの最上階に部屋を取ってくれた。


 俺たちがホテルに着くと、そのエントランスには、迎えが立っていた。


「ようこそ、おいで下さいました。

 当ホテルの支配人をしております、シャルレです。

 皆さんのおいでを心待ちにしておりました」


 彼は耳障りのよい声でそう言うと、自ら部屋まで案内してくれた。

 エミリーの疲れた様子を見て、医者の手配を申しでる。


 さすが一流のホスピタリティを謳うだけはある。


 スイートルームに着くと、共有スペースのテーブルの上に果物がおいてあり、その横には冷えたシャン パーニュが入った銀のバケットがあった。

 四人の内、三人が未成年だからだろう。チョコレートやクッキーが盛りつけたテーブルもあり、ウエルカムドリンクのジュースが置かれていた。

 

 俺はエミリーに入浴させたあと、彼女に治癒魔術を施す。


「体がぽかぽかして気持ちいいわ」


 エミリーがウトウトしだしたので、コケットを出して寝かせる。

 一流ホテルのベッドも悪くないが、コケットの寝心地には負けるからね。

 エミリーはすぐにかわいい寝息を立てた。


 俺と翔太は、ハーディ卿とエミリーを部屋に残し、ホテル内を散策した。

 これは、安全確認も兼ねている。

 点ちゃんに周囲の建物も調べてもらってある。


 部屋に戻ると順番に入浴を済ませ、俺たちもすぐに寝た。

 翌朝、共有スペースに出てきたエミリーは、凄く元気になっていた。


「なんか、今までで一番気持ちよく目が覚めたの」


 そんなことを言っている。


 このホテルではクラブフロアが使えるから、俺たちは、そこで朝食を取った。

 従業員に頼めば料理を持ってきてくれるのだが、エミリーと翔太は連れだってバイキング形式の朝食を楽しんでいた。

 翔太がこまごまとエミリーの世話を焼いているのが、ほほえましい。


 挨拶に来た支配人に、スイートルームを一つ、年間契約するよう頼んだ。

 通常ならあり得ないほどの金額だが、今の俺はお金の使い道が無くて困っている。

 これまでほとんど使っていないから、ここで使っておこう。


 もちろん、俺や家族はやがて異世界に帰るから、ここは『ポンポコ商会』と『異世界通信社』の従業員が、ヨーロッパで滞在する際の福利厚生施設として借りるわけだ。

 実際、それだけのお金があれば、郊外に小さな屋敷の一つも買えるのだが、手続きやメンテナンスのことを考えると、とりあえずはホテルを借りておこうということになる。


 昼前にホテルを出立しようとすると、支配人から呼びとめられる。

 昨日の宿泊費はもちろん、年間契約費も国が支払うということだった。

 さすが文化の国フランス。ここぞという時、太っ腹だ。


 しかし、せっかくお金を遣おうと思ったのに、これではねえ。

 俺は大統領にお礼の電話をすると、ホテルを出た。

 ホテルのリムジンで、郊外の公園まで送ってもらう。


 人気ひとけがないところで、点ちゃん1号を出して乗りこむ。


 ◇


 俺たちは、点ちゃん1号で大西洋を越え、カナダ上空に来ている。


 カナダの針葉樹林帯には、二柱の神樹様がいた。

 どちらも健康状態が良く、エミリーの能力は、神樹様のネットワークを強めるためだけに使った。


 その後、俺たちは南下し合衆国に入った。

 エミリーが示したのは、カリフォルニアの丘陵地帯だった。


 ここの神樹様は、とても大きかった。

 ハーディ卿によると、レッドウッドというそうだ。

 生きた化石で有名なメタセコイヤという木も、レッドウッドの仲間らしい。


『神樹さん、こんにちは』


 エミリーの念話から、会話が始まった。


『そちは、どなたぞ』


『はじめまして、私はエミリーと言います。

『聖樹の巫女』です』


『なんと! 

 我がせいあるうちに、巫女様に会えるとは……』


『ラジさんは、会話に慣れているようですね』


『かつてこの地におった人間が、よく我と話しておりました』


 そうか、『神樹の巫女』が地球にもいたんだね。


『その男が来ぬようになって、少し寂しかった』


 えっ! 男の人だったか。


 エミリーが問いかける。


『聖樹様と、お話ししないのですか?』


『この世界は聖樹様の世界と「距離」があるせいか、うまく会話できなくての。

 若いころ、何度かお話できただけです』


 エミリーが、『光る木』の『枯れクズ』を根元に埋め、聖樹様に手をかざす。

 聖樹ラジは、今までのどの神樹より強い光を放った。


『おお! これは……。

 これなら聖樹様と繋がれそうじゃ』


 しばらく、念話が途絶える。


『巫女様、なんと感謝してよいか! 

 聖樹様と久しぶりにお話しできたぞ!』


『これからは、いつでも話せるはずです』


『さすがは、巫女様じゃ。

 ありがたき事よ』


『神樹様、シローと言います。

 その以前会話されていた相手はどんな方でしたか?』


『いや、素性は良く知らぬぞ。

 人も動物も植物も、あやつには区別が無いようじゃった』


『そうですか。

 すごい人だったのですね』


『普通の人間とは違っておったな。

 この国の者ではあるまい。

 そういえば、お主、なんとなくその男に雰囲気が似ておるの』


 もしかすると、その人もくつろぎを大事にする人だったのかもしれない。


『それより、お前たち、巫女様のお守り、くれぐれも頼んだぞ』


『はい、頑張ります!』

『(^▽^) ういういー!』

『もちろんです』


 神樹様の頼みに翔太、点ちゃん、俺が答える。


『久々に人と話せて楽しかったぞ。

 巫女様のお手伝いが終わったらまた来るとよい』


 神樹ラジ様はそう言うと、穏やかな気のようなものが辺りに満ちた。

 俺には神樹様が四人を祝福してくださっているのが分かった。


 俺たちは、その日ニューヨークのハーディ邸に泊まった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

カリフォルニアにいたのはレッドウッドの神樹さまでした。

次話、舞台はニューヨーク、そして南米へ。

 明日へつづく。

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