表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第9シーズン 異世界訪問編
340/927

第338話 異世界訪問編 第2話 お城とギルド

 アリストに帰ってきたシローは、ギルドを訪れるようです。

 

 俺たち一行は、『王の間』ではなく、貴賓室に通された。


 着いてすぐ、こちらに慣れていない人たちが、作法や緊張を押しつけられないようにという、女王畑山の心配りだ。


 貴賓室には、いつもの丸テーブルに加え、もう一脚同じものが出されていた。

 みんなは、とりあえず、席に着いた。


 メイドが出してくれたお茶を飲み、やっと人心地つく。


 加藤の両親、舞子の両親は、周囲の豪華さに目を見張っている。

 翔太なんか、歩きまわって調度品を近くから眺めている。


「麗子君は、本当に女王様なんだねえ」


 渡辺のおじさん(舞子の父)が感心している。


「玉座に着いた彼女の威厳は凄いですよ」


「へえ、史郎君は、それを見たことがあるんだね」


「ええ、何度も」


 主にお小言を頂くときにだけどね。


 俺たちがお茶を飲みおわる頃、部屋に畑山さんが入ってくる。

 服装は、すでに国王の正装で、頭に王冠を載せている。


 おそらく、『王の間』で、貴族たちから帰城の挨拶を受けたのだろう。

 後ろに控えていたレダーマンに王冠を渡すと、彼女も椅子に座った。


「畑山さん、大変な事って何だった?」


 彼女は、立ったまま胸の前に王冠を掲げている、レダーマンの方をチラリと見る。

 レダーマンが頷くと、口を開いた。


「ボー、キンベラって国は、知ってるかな?」


「ああ、知ってるよ。

 サザール湖の北岸にある小国だろう?」


 アリスト王国は、サザール湖東岸にある。

 この大きな湖の北側にキンベラ、東がここアリスト、南がマスケドニアとなる。


「私たちが、ちょうど地球に帰った頃、あそこの王が代替わりしたそうなのよ」


「ああ、キンベラ王は、かなりのご高齢だったから」


「代わりに王位についたのが、その孫でね」


 畑山さんは、首を左右に振っている。


「そいつが、アリストに攻めこもうとしたらしいわ」


「えっ! 

 じゃ、この国、危ないんじゃない?」


「ああ、それは大丈夫。

 もう落ちついてるから」


「麗子さん、どういうこと?」


 加藤が、首を傾げている。


「キンベラが、この国に攻めこもうとした途端、クーデターが起きたそうよ」


「それは、ついてたね」


「ついてたんじゃないの。

 ギルドが、動いたらしいのよ」


「えっ!? 

 ギルドが?」


「ええ、そう。

 ギルドって、一旦そうと決めると一国くらい、すぐに潰せちゃうのね。

 ウチは、ギルドとの関係が良好で、本当に良かったわ」


 おそらく、アリストのギルドマスター、キャロからの連絡で、ギルド長のミランダさんが動いたのだろう。


『(*'▽') ギルド、ぱねー!』


 本当にそうだね、点ちゃん。


「で、キンベラは?」


 俺は、冒険者として尋ねる。こういう情報は何より価値があるからね。


「旧王から冷遇されていた息子が、後を継いだそうよ。

 すでに友好使節がウチに来てるそうなの」


 なら、この国は安心だね。地球の人がいきなり戦乱の地に住むのはきついから。


「舞子、あなたの住んでる所は、大丈夫なの?」


 渡辺のおばさん(舞子の母)は、心配そうだ。


「うん、大丈夫だよ。

 私が行ってすぐはゴタゴタしてたんだけど、史郎君が収めちゃったの」


「史郎君、どうやって?」


 渡辺のおじさんが驚いている。


「ああ、それは、彼女の家に行ったら、ゆっくりお話ししますよ」


「舞子お姉ちゃんは、どこに住んでるの?」


 舞子に甘えて、椅子をぴったり寄せているエミリーが問いかける。


「グレイルっていう世界の、ケーナイっていう町だよ。

 エミリーが行ったら、みんな喜ぶと思うよ」


「うん! 

 行ってみたい」


 エミリーは、目が見えるようになったことで、内気だった性格まで変わりはじめたように見える。


「そういや、母ちゃんたちは、あれしないのか?」


「加藤、あれって何だよ」


「ほら、なんか水が入った、タライみたいなものの上に手をかざすヤツ」


 水盤の儀ね。水盤も、タライと言われたら立つ瀬がないよね。

 これには、畑山さんが答えた。


「ああ、ハートンに尋ねたら、あれは準備が必要だってことだわ。

 だから、明日、執りおこなうことになったの」


 その後、地球からの初転移組は、畑山さんの案内で、城内を見てまわることになった。

 その後は、この城の迎賓館に宿泊する。


 俺だけは、ギルドを訪れてから、自宅に戻ることにした。


 ◇


 俺は、アリスト城から、城下にあるギルドの建物前に瞬間移動した。


 目の前に突然現れた俺を見て、通行人が驚いたが、そのままギルドの中に入った。

 アリストのギルドは、いつもドアが開けてあるからね。


 ギルドの中は、丸テーブルが四つ置かれた食堂のようなスペースと、長いカウンターの前で冒険者が並んでいる受付スペースに分かれている。

 列に並んでいる、顔なじみの冒険者が、俺に気づいた。


「おっ! 

 ルーキー、しばらく見なかったな」

「あっ、黒鉄くろがねシローじゃねえか!

 お帰りー」


 ギルド内は、すごい騒ぎになった。

 俺はみんなに押したてられ、中央の丸テーブルに座らされる。


「おい、どんな冒険してきたか、教えてくれよ」

「ああ、俺っちも聞きたいね」

「そうよ、教えてよ」


「それより、皆にお土産があるよ」


 俺は、点収納からお土産を出し、それを丸テーブルの上に置いた。

 テーブルに山盛りになるほど量がある。


 「「「おおー!!」」」


 俺は、甘いものが好きな者にはお菓子類、酒が好きな者にはウイスキーを配った。


「これは、俺の世界からのお土産だから、二度と手に入らないよ」


 俺がそう言うと、歓声が上がる。


「やった!

 これ売ったら、儲かるな」

「馬鹿っ、二度と飲めねえ酒だぜ。

 自分で飲めよ」

「きゃー! 

 何、これ! 

 超甘ちょうあまウマ~」


 もう、大騒ぎだ。


「シロー、お帰り」


 人垣の間から、ギルドマスターのキャロが顔を出す。

 彼女は、フェアリスという種族で、身長が一メートルくらいしかない。


「キャロ、久しぶりだね」


「ここでは、なんだから、奥に来てね」


「ああ」


 俺を奥の部屋に連れていく前に、キャロが念話を送ってくる。


『依頼書のコーナーで、こっちを見てる三人がいるでしょ』


『ああ、男の子が二人と女の子が一人だな』


『あの子たち、最近『星の卵』って言うパーティを作ったの。

 気にかけてやって』


『ああ、分かった』


『ベテランに遠慮して、お土産も、もらえないようだから、後で渡してやってね』


『分かってる』


 俺が個室でキャロと話をしていると、フィロさんがお茶を持ってきた。

 彼はキャロの父親で、やはり一メートルほどしか身長がない。

 二人とも、緑の帽子、緑の服を着て、まるでおとぎ話で出てくる妖精のようだ。


「シローさん、お帰り」


「フィロさん、アリストの住み心地はどうです」


「ああ、みんなよくしてくれるね。

 君が、『キャロはみんなから大事にされてる』って言ってたけど、毎日それを実感してるよ」


 彼は、半年ほど前にここに来たからね。

 キャロとフィロ親子は、顔を見合わせ、ニコニコしている。


「そうだ。

 俺、もうすぐしたら、エルファリアに行くけど、二人はどうする?」


「そうねえ。

 帰りたいけど、ギルドの仕事があるから……」


 キャロは、残念そうだ。

 その時、ドアがバーンと開き、でっかい男が入ってきた。

 筋肉の鎧を着ているような男で、頭はつるつるに剃っている。


「キャロ、遠慮いらねえから行ってきな。

 その間、ギルドは、俺が面倒見ておくぜ、ガハハハ」


 この大男は、前ギルドマスターであり、俺とも縁が深いマックさんだ。

 しかし、こいつ、盗み聞きしてたな。


「マックさん、お久しぶり」


「おっ!? 

 シロー、おめえもいたのか」


 盗み聞きしておいて、「おめえもいたのか」は無いよね。


「はい、これお土産」


 彼には、極上のブランデーを渡す。


「俺の世界の酒だよ。

 二度と手に入らないと思うから、大事に飲んでね」


「ガハハハ、有難くいただくぜ。

 ところで、兄貴はどうしてる?」


「あー、それは、後で話すよ。

 ウチに来てくれる?」


「おう、日が暮れる頃、行くぜ」


 俺は、そこから瞬間移動で自分の家に帰った。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

アリストのギルドはあい変わらずですね。

 さて、次話は史郎が彼らしくない行動をするようです。

 明日へつづく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ