表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第8シーズン 地球訪問編
337/927

第335話 地球訪問編 第49話 舞子の提案

 エミリーの目をどう治療するかについて、舞子が大胆なアイデアを思いつきます。

後書きに……後書きの事は話したくありません(崩)


 俺たちは、ルート66を走りおえた地点から、瞬間移動でハーディ邸に来ていた。


「舞子お姉ちゃん!」


 舞子の声を聞いたのだろう。エミリーが、舞子に飛びつく。

 その動作は、とても目が見えない人のものとは思えなかった。


「エミリー、元気にしてた?」


「うん! 

 あのね、ブランちゃんもいたから、すごく楽しかったよ」


 エミリーの足元にまとわりついていたブランは、彼女が急に位置を変えたので、辺りを見まわし、俺を見つけた。

 俺の肩に跳びのると、肉球を額に押しつけてくる。

 旅行中に何があったか、知りたいのだろう。

 点ちゃんも、ブランと何か話している気配がある。


「おお、シローさん、無事たどり着きましたね。

 マザー・ロードの旅はどうでしたか?」


 ハーディ卿が俺に握手を求める。

 マザー・ロードとは、ルート66の別名だ。


「ええ、まさに、アメリカの母なる道っていう感じがしました。

 古き良きアメリカの匂いって言うんですかね」


 俺は、そう言って彼の手を握りかえした。


「ははは、他国の方からそう言われると、面映ゆいですな」


 畑山さんは、舞子とエミリーを連れ、お風呂に向かった。

 前回ここを訪れた時、ハーディ邸の大理石張りの大浴場を痛く気に入った彼女のことだから、滞在中、日に二回は入るだろう。


 ハーディ卿、加藤、俺は、ソファーでくつろぎ、旅の話に花を咲かせた。

 俺たちが警察のバリケードをジャンプで飛びこえた話で、ハーディ卿が歓声を上げる。


「ああ! 

 私もその場に居合わせたかったですなあ」


 どうやら彼は、少年の心を忘れていないらしい。


「そうそう、ボーが、こういうの作ってくれましたよ」


 加藤が、胸のペンダントを自慢げに見せる。


「こ、これは? 

 もしかして『枯れクズ』ですかな?」


 ハーディ卿の視線が俺を向く。


「ええ、そうです」


「綺麗なものですな。

 内側から光っている」


「明りにもなりますから、いくつか置いていきましょう」


「ええっ! 

 国相手にしか売らないものを、頂いていいのですか?」


「ははは、あなただけに話しますが、俺、膨大な量の『枯れクズ』を持ってるんですよ」


 俺がそう言うと、絨毯の上に「枯れクズ」の山が現れた。


「!」


 ハーディ卿は、凍りついたようになった。


「と、とてつもない量ですな」


 やっと、言葉に出す。


「まあ、在庫だけで、これの何万倍っていう量があります」


 さすがのハーディ卿も、目を白黒させている。


「ハーディさん、ボーがやることにいちいち驚いてたら、切りがありませんよ」


 お前も十分、人を驚かせてるだろう、加藤。


 畑山さんたちが風呂から上がると、俺と加藤もさっと入浴を済ませる。


 ハーディ卿が、夕食の用意をしておいてくれた。

 旅行が終わった後の俺たちを気遣ったのだろう。量は少ないが、それでも抜群に美味しい料理だった。

 特にステーキが旨かった。

 彼に尋ねると、肉だけは日本からの輸入品だそうだ。


 食事が終ると、お茶を出したメイドたちが部屋から出ていく。

 ハーディ卿から、内々の話があるそうだ。


「もうすぐ皆さんは、異世界に帰られるのですね?」


 分かっていることだが、確認のつもりなのだろう。


「はい、間もなく帰る予定です」


「その旅に私も同行させてもらえませんか?」


「なぜそんなことを?」


「この子の目を治す可能性があるなら、私は何でもします。

 そういう薬があれば、それを持ちかえりたいのです」


 冗談を言っている顔ではない。


「こちらに二度と帰れなくなるとしてもですか?」


 畑山さんが、普段と変わらぬ口調で尋ねる。


「ほんのわずかでも可能性があるなら、私の命など惜しくはありません」


 親の愛情を知らない俺でも、これにはグッときた。


『みんな、聞いてくれる?』


 それは、珍しく舞子から話しかける念話だった。


『舞子、何か考えがあるのね。

 言ってごらん』


 舞子は、畑山さんに目でお礼を言うと、念話を続けた。


『私がエミリーを治せない理由は、私の能力がこちらの世界に漏れないためだよね』


『そうね』


『それじゃあ、エミリーを異世界に連れていって、向こうで治療したらどうかしら?』


『そんなことできるわけが……』


 加藤が言いかけたが、それに俺がかぶせる。


『舞子、よく考えたね。

 確かに、それならうまくいくかもしれない』


『ただ、やはり異世界に行く前に目が見えなかった人が、急に見えるようになったなら、疑われるのは私たちじゃない?』


 畑山さんは、慎重だ。まあ、舞子の人生が掛かってるからね。


『そうだな。

 こうしては、どうだろう。

 エミリーには、地球に帰ってしばらくは、日本の渡辺家で暮らしてもらうってのは』


 畑山さんと加藤から反応が無いのは、そうした場合のシュミレーションを頭の中でおこなっているからだろう。


『でも、エミリーは有名な富豪の娘だから、誰かが気づくかもしれないわよ』


『髪の色と長さが変わってたらどうかな。

 かなりイメージ変わるとおもうけど』


『ボー! 

 ナイスアイデアね。

 それなら、なんとかなるかもね』


『最悪、異世界の不思議で治してきましたって言い訳もきくしな』


『いや、加藤、異世界の不思議で治すんだろう』


『あっ、そうだったか』


『とにかく、これを実行するためには、ハーディ卿、舞子のご両親だけでなくエミリー自身の決断が必要ね』


 畑山さんが、条件をまとめる。


『じゃ、これで提案していいかな?』


『異議なし』


『いいよ』


『舞子もいいわね。 

 条件が満たされない時は、きっぱり諦めるのよ』


『分かったわ』


 俺は、舞子と彼女の両親との間に念話のチャンネルを開いた。

 これは、俺たちにも聞こえないようにしてある。

 念話は、五分もしないうちに終わった。

 舞子が、OKのサインを出す。


 畑山さんが、先ほどの条件をハーディ卿に提示する。

 俺たちが急に黙りこんだので、不安そうな表情だった彼は、その条件にすぐ飛びついた。


「エミリーの目が治るなら、そんなことはたやすいことです」


 さすがハーディ卿、一代で莫大な富を築いただけはあるな。

 ここぞというときの決断力がある。


「エミリー、私と一緒に異世界に来てほしいの。

 向こうなら、あなたの目が治る可能性があるわ」


 舞子が落ちついた声で提案する。エミリーは、それを聞くとすぐに答えた。


「私、舞子お姉ちゃんと異世界に行く。

 自分の目で、みんなが見たいの。

 それに、自分の力で、お買い物やお食事をみんなと一緒にしてみたい」


「分かったわ。

 よく決めたわね、エミリー」


 舞子は立ちあがると、椅子の後ろからエミリーを抱きしめた。

 ハーディ卿は、いろんな思いがこみ上げ、滝のように涙を流している。

 なぜか、加藤も泣いている。


 畑山さんと俺は立ちあがり、拳を合わせた。

 彼女って、ほんと漢だよな。


『(*´з`) 失礼なご主人様だねー、ブラン』


 そ、そうですか、点ちゃん。男じゃなく、「漢」って言ったのが悪かったのかな。


『(*ω*) ……』


 おーい、点ちゃん、聞こえてますかー。


 点ちゃんにとことん呆れられ、俺は悲しみにくれるのだった。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

今回のお話は、以降のポータルズにとり、本当に大事な伏線となります。

本当は、この地球訪問編自体が伏線になるんですけどね。

 どうか次のシーズンも、お楽しみに。

 あ、最終話が残っていましたね。

 四人が日程を合わせてまで待っていた行事が、アメリカで開かれます。

 では、明日へつづく。


「ちょーっと待ったーっ!」


 ぎくっ、その声は女王様。


「作者、あんた、この話でやらかしたわね?」


 な、何をでしょう?


「あんた、よりにもよって、この美少女の私に対して『漢』ってなによ、『漢』って!」


 な、なんのことでしょう!


「ふんっ!

 しらばっくれても、なろう読者様とお天道様は、ごまかせないわよっ!」


ぐ(*´з`)~♪


「あんたっ!

 点ちゃんのマネしてごまかせると思ってるの!」


 ひいぃぃぃ、ご勘弁を!


「ちょっと、こっちに来なさい」


 あああぁぁぁ……







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ