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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第8シーズン 地球訪問編
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第313話 地球訪問編 第27話 政府からの干渉

 これだけ騒ぎになると、さすがに国が動きだしますね。


 海外特派員協会でのインタビューの翌日、黒騎士から俺にパレットメールが届いた。


 予想していたことだが、公的な機関が動きだしたようだ。

 警察、公安、政府、それぞれが動きを見せているということだ。

 いや、『騎士』に現役警察官がいて本当に良かった。

 心の準備ができているだけでも違う。


 畑山さん、舞子、加藤の家でも、警察から問いあわせの電話があったそうだ。

 内容は、「娘さんは、今、ご在宅ですか?」というものだ。

 とりあえず、所在を確認しておこうというのだろう。


 そのうち、政府筋にくぎを刺すべき時が来るかもしれない。

 黒騎士には、今後も情報を伝えてくれるよう頼んでおく。


 次に、翔太君から念話が入る。


『ボーさん、今、いいですか?』


 彼らしくない弱々しい声だ。


『翔太君、どうしたの?』


『ええと、実は黒服さんが一人、警察に連れていかれちゃったの』


『そうか。

 どこの警察?』


『〇〇警察。 

 お父さんが、ボーさんには知らせるなって。

 でも、ボクは知らせておいた方がいいと思ったんだ』


『翔太君、ありがとう。

 これからも何かあったら連絡してね』


『うん、分かった!』


 最初は元気が無かった翔太君だが、念話の最後にはいつもの調子に戻ったようだ。

 どうするかな。なるべく穏便に済ませたいんだけど。

 国への対処については、くれぐれも慎重を期そう。


 ◇


 最寄りの警察署に連れていかれた黒服こと遠藤は、いつもと違う様子に戸惑っていた。


 仕事柄、警察と関わることが多い遠藤は、この警察署にも知りあいが多い。

 いつもなら顔を出す彼らが、この日に限ってなぜか現れなかった。


 端末を預け、入れられた部屋は、今まで訪れたことがないものだ。

 窓が無く照明も暗いため、時間の感覚がおかしくなりそうだ。


 どれほど待たされたかも分からなくなった頃、灰色のスーツを着た一人の男が入ってきた。

 その男は、どこといって特徴が無かった。いや、なさ過ぎた。

 身長も体格も、顔つきまで印象に残らない。

 こうなると、特徴が無いことが特徴とさえいえた。


 男は髪型もごく一般的で、生真面目過ぎずカジュアルでもない微妙な一線を守っていた。

 彼は、スチール机をはさみ、遠藤の反対側に座った。


「遠藤康太、三十一歳。

 〇〇組の構成員」


 男は、声にすら特徴がなかった。

 そこに遠藤などいないように言葉を続ける。


「妹は、田中康子二十七歳。

 もうすぐ結婚の予定」


 遠藤が高校生の時、彼の両親は離婚した。

 彼を父が、妹の康子を母が引きとった。

 康子は、一度母の旧姓に戻った後、母の再婚相手の名字となった。


「田中康子の結婚相手、山下正治は銀行員」


 男の声は淡々と続く。


「山の手〇〇に住む。

 元華族の末裔で、親戚には銀行員が多い」


 遠藤は、握りしめた手が、脂汗でぬめつくのを感じた。

 感情がこもらない男の声が、遠藤の弱点をさらけ出していく。


「畑山麗子、翔太、加藤雄一、渡辺舞子、坊野史郎についての情報」


 男は、情報を送れとも言わなかった。

 ここには、脅迫など無いのだ。


 遠藤の前に電話番号が書いてある細長い紙を置くと、彼は部屋から出ていった。

 紙を裏返してみると、それが割りばしを入れる紙袋だと分かった。


 遠藤は、大恩ある畑山組長を裏切る覚悟を決めた。


 ◇


 警察署で遠藤と面会した男は、新幹線を使い東京に戻ってきた。


 彼の勤務先は、丸の内にある商業ビルの五階にある。

 エレベーターを降り、『財田コーポレーション』と書かれたドアから中に入る。

 ドアから入ってすぐは廊下になっており、いくつかのドアノブが見える。

 廊下には複数の監視カメラが設置してあった。


 彼はその一番奥にあるドアノブに手を掛けた。

 部屋に入ると、正面窓際にディスプレイを扇形に三台並べた大きなデスクがあり、そこを中心に、半円形に六つのデスクが置いてあった。

 人が座っているのは、中央のデスクだけだ。


 デスク間にはパーティションが無く、常に中央に座る者から見られる形となる。

 中央のデスクに座る色白の小男が、入ってきた特徴の無い男をチラリと見た。


 男は軽く会釈をすると、右から二番目のデスクに着いた。

 中央のデスクと有線で繋げたPCに、今日の報告を打ちこむ。

 この部屋のPCは、外部と接続していない。


 情報のやり取りは、各デスクと中央のデスクとの間でのみ行われる。

 そこには、情報漏洩を防ぐギミックが山ほど仕掛けられている。

 男のデスクと中央デスクの間でさえ、高度な暗号を用いたデータ通信が行われる。

 そして、各デスクの暗号は、中央デスクとの間だけで有効だ。


 このシステムを導入してから、まだ一件の情報漏洩もないが、この部屋のセキュリティは、今現在も進化を続けている。


 彼の報告を読んだ中央デスクから、返信があった。

 そこには各対象の情報についてランク付けがされていた。


 最優先が「加藤」で、「坊野」、「畑山」、「渡辺」、「畑山弟」と続く。


 各事項についてもランク付けがなされており、「能力」、「ポータル」、「体力測定映像」、「ジャンプ映像」と続き、こちらは、多数の項目がその下に並んでいた。

 最後に、トップシークレットであるという記号があり、彼がそれをクリックすると、指紋照合を求められる。

 装置に指を付け、少し待つと、短い一文が画面に現れた。


>場合により対象の消去命令が出る可能性があるため準備せよ。


 この場合、対象の消去というのは、データ事項だけではない。

 男は、今まで何度も目にしてきた付随情報に、何の興味も湧かなかった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

これは、……かなり、まずいのでは?

史郎たち『初めの四人』は、次にどうするのか?

 明日へつづく。

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