表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第7シーズン 天竜国編
252/927

第250話 天竜国編 第6話 森の困りもの

 天竜国は存亡の危機にさらされていました。

その問題とは?



 加護をもらった日の夕方、俺たちは、天竜たちに歓待を受けた事へのお返しをした。


 広場での食事の後、俺たちみんなでクッキーを焼いたのだ。

 本当は食事でお返ししたかったのだが、大量に作っても一体でぺろりと食べちゃいそうだからね。

 人化できる天竜に、これが大うけだった。蜂蜜は彼らにとってもの凄い美味のようで、初めて食べたその味に天竜たちが感動の涙を流していた。


 人化できない天竜の為に、大量の蜂蜜水を作った。水は洞窟内に湧いている泉から汲んできた。土魔術で大きめの桶を作り、そこに水と蜂蜜を入れ、よくかき混ぜる。アクセントに、ドラゴニアで手に入れた、ミカンに似た果実の汁を垂らして完成だ。


 これも凄い人気で、あっという間に百個も用意した桶が全て空になる。水の運搬に点魔法を使うので、俺はこちらに掛かりきりとなった。

 結局、商売用に用意した、全ての蜂蜜を使いきってしまった。


 後でフラフラしている竜がいたから、もしかすると蜂蜜は竜にとってアルコールのようなものなのかもしれない。

 とにかく、皆が喜んでくれて良かったよ。


 寝るために部屋を立ちさろうとすると、おさに呼びとめられた。俺に相談したいことがあるそうだ。


 俺は長と二人、洞窟の奥へと向かった。


 ◇


 長の部屋は、思ったほど大きくなかった。


 竜が寝起きする場所だから、それなりのサイズだが、俺たちが借りている大部屋より小さいくらいだ。天井はかなり高いが、広さは十畳程度だろう。


 長は巨大な敷物を出すと俺に勧めてきた。これって明らかに竜が使うサイズだよね。

 俺がその上に座ると、彼はまず俺に頭を下げる。


「真竜様の加護を受けられたお方とこうしてお話ができて光栄です」


 堅苦しいのが苦手な俺は、手を左右に振る。


「長、せっかく二人だけですから、ざっくばらんに話しませんか」


「そ、そうか。

 ワシもそのほうが楽なんじゃ」


 俺と気が合いそうなおじいちゃんだ。


「お願いが二つあっての」


「何です?」


「一つは、今日振舞ってもらった『蜂蜜』というものを分けてもらいたいのじゃ」


「あれって、そんなに美味しかったですか」


「長いこと生きとるが、あんな美味は初めてじゃ」


「いいですよ。

 持っている分は、さっき全部出しましたから、ドラゴニアに帰って採ってこないといけませんけど」


「では、ぜひ天竜祭で渡してくれ。

 報酬は、こちらで考えておくでな」


「ありがとうございます。

 ところで、もう一つの方は何ですか?」


「ああ、先ほどシロー殿が、泉の水を一度に運んでいるのを見てな。

 それで思いついたのじゃ」


 泉の水は、小さなボードを百枚作り、その上に土魔術で作った桶を置いた。これが地面の少し上を自動で泉まで動き、壁から湧いている水の下を通り、部屋に帰ってくるようにした。一応、泉の側でリーヴァスさんにチェックしてもらっていたけれど、特に問題も起きなかった。


「実は、いまこの国で一番困っているのが、『光の森』に関する問題でな。

 ああ、『光の森』と言うのは、あなた方がここに来る途中で通ってきた、あの森じゃ」


 あの森、『光の森』って言うのか。ぴったりの名前だな。


「あの森は、この世界の生き物にとってかけがえのない存在なのじゃが、その森自体が問題なのじゃ」


 森自体?


「かつて森には『毬虫まりむし』という生き物がおってな。

 これは、『虫』とついとるが、毛が生えた丸っこい魔獣での。

 そいつが『光る森』の倒木を好んで食べておったのじゃ」


 倒木を食べてくれるなら、何の問題も無いと思うが……。


「何年か前に、その『毬虫』が急に姿を消してしまっての。

 調べた者によると、恐らく彼らにとっての疫病が蔓延まんえんしたのじゃろうと言っておった」


「それが何か問題になるのですか?」


「大問題じゃ。

 あのな、『光の森』の木々は、五年から十年で成長し、そして枯れるのじゃが、枯れるとそのようなモノになるのじゃ」


 長が指さしたのは、壁で光る水晶灯だった。


「灯りが増えると困るのですか?」


「すでに洞窟内が明るくなり過ぎて、寝不足になる者が出てきておる」


「枯れたところに放置してはいけないのでしょうか?」


 俺は、当然と思われる質問をしてみた。


「ワシらは、それのことを『枯れクズ』と呼んでおるが、この『枯れクズ』があると、新しい木が育たぬのじゃ」


 なるほど、やっと話が見えて来たぞ。


「すでに、かなり広い範囲で森の消失が始まっておる。

 このままでは、この世界の生き物が全て死に絶えてしまうかもしれん」


 確かに、ここの生態系にとって重要な役割を果たす森が無くなれば、そうなるだろう。


「この世界の全ての生き物の為にお願いしたい。

 なんとか、『枯れクズ』を取り除いてはもらえないだろうか」


 なんか話が大きくなってきたぞ。いや、大き過ぎる話になってきたって方が当たってるか。


「うーん、恐らく、一時的にはできるでしょうが……。

 とにかく、現場を見せてもらえますか?」


「よかろう。

 さっそく明日の朝、案内しよう」


 こうして俺は、『光の森』の問題に関わることになった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

これからの「ポータルズ」を左右する、天竜国の重要な問題が明らかになりました。

 では、明日へつづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ