第247話 天竜国編 第3話 天竜のお宝
竜がくれたお宝の中身は?
食事が済むと、ナルとメルがウトウトしだした。
長がそれに気づき、慌てて寝床に案内してくれた。
洞窟を掘りぬいた部屋は、大小二部屋に分かれており、ナルとメルのために用意された小部屋に俺とルルが一緒に寝ることにした。リーヴァスさん、コルナ、コリーダ、ミミ、ポル、イオがもう一つの大部屋を使う。
部屋は足元に動物の毛皮らしきものが敷かれており、暖かかった。ベッドは無く、敷物の上に置かれた何枚かの布を布団の様に使うらしい。
ナルとメルが寝入ると、彼女たちをルルに任せ、俺は一旦もう一つの寝室に行った。こちらの部屋には寝袋のようなものが放射状に置かれており、足を中央に向けるようにして寝るらしい。
俺が部屋に入るとすぐ、ミミが駆けよる。
「リーダー、例のお宝見せてちょうだい」
目がキラキラ輝いているのを見ると、非常に断りにくい。明日にしてくれと言いたかったが、仕方なく点収納から引っぱりだす。床に直接置くのも何なので、点魔法でテーブルを作り、その上に置いた。
地球で四人掛けとしてよくあるテーブルサイズにしたが、その上が「献上品」で山盛りになった。
コルナとコリーダ、ミミには宝石を診てもらう。
ミミは、「ひやー!」とか「うわー!」とか言っているだけだが、コルナとコリーダは、宝石を一つずつ調べて頷いている。
「さすが、竜のお宝ね。
安物は一つも無いわよ」
コルナが感心したように言う。
リーヴァスさんは、短剣を鞘から引き抜き、白銀の刀身をじっと眺めている。
「リーヴァスさん、どうですか?」
「恐ろしいほどの業物ですな。
金属も、私が知らない種類です」
黒鉄のリーヴァスさんが知らないなら、恐らく天竜国特産の金属なのだろう。
「うわわわっ」
慌てるような声がしたので、そちらを見ると、ポルが持った三十センチほどのアーティファクトから透明な液体が吹きだしている。
点ちゃん、停め方わかる?
『(Pω・) ちょっと待ってください……少しだけふくらんだところを押せばいいみたいですよ』
ポルの手からアーティファクトを奪いとり、点ちゃんのアドバイス通りふくらみを押した。
手触りは、金属と言うより布に近い。柔軟に形が変わる素材で作られているようだ。
「あー、やっと停まった」
ポルがほっとしたように言うが、時すでに遅く部屋を水浸しにした彼は、ミミから叱られていた。
点収納から布を出し渡してやる。ポルは、憧れのアーティファクトが引きおこした結果にがっかりしている。床を濡らした液体を、悲しそうな顔で拭きはじめた。気のいいイオが黙って手伝っている。
点ちゃん、この液体が何か分かる?
『(Pω・) ……水、というよりお湯ですね。ただの水では無く、色々なミネラルが沢山入っています。
ご主人様が、ダートンっていうところで入ってたお風呂のお湯に近いよ』
なにっ! ということは、温泉じゃないか! これは、楽しみだな。
『(u ω u) 宝石や名刀よりお湯が好きなんて、ご主人様は変わってますね』
いや、ここは感動するところでしょ。温泉に入り放題になるかもしれないんだよ?
『(?ω・) 温泉ってなにー?』
そうだね。入ると、とってもくつろげるお湯かな?
『へ(u ω u)へ 宝石より、くつろぎって、このご主人様は……』
点ちゃんが呆れている。だが、ここは呆れてもらって結構。
なぜか俺は胸を張った。
いつもお読みいただきありがとうございます。
温泉アーティファクトは、やばいですね。くつろぎという点で。
そのうち史郎が何かしでかしそうです。
次回は、暴れ竜が登場。でもちょっとかわいいかも。
明日へつづく。




