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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第7シーズン 天竜国編
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第246話 天竜国編 第2話 竜からの歓待

 ナルとメルを崇める天竜達。

彼らは、何かくれるようです。


 天竜の洞窟にある大広間では、人化した多くの竜がせわしなく働いていた。


「手際が悪く申し訳ありません。

 中には、久々の人化に体がついていかない者もいるのでしょう」


 長の言葉は、あくまで丁寧だ。視線はずっと、ナルとメルに向けられている。

 大きな敷物を持った二人の男がやって来ると、それを地面に広げた。年配の女性が、その上にさらに少し小さな布を敷く。


「どうぞ、お座りください」


 ナルとメルを小さな布の上に座らせると、俺とルルはその横に座った。残りの面々も、俺たちの後ろに座る。


 若い娘たちが、手に小さな壺を持ち入ってくる。壺には、ガラス細工のような透明な花が挿してある。娘たちは、ナルとメルの側にそれを飾りつけていく。


「きれいだね」


 綺麗なものが好きなナルは、興味を持ったようだ。


「おいしそう」


 メルは、エルファリアで食べた飴細工の花を思いだしているのだろう。


「ドラゴンに変身できるなんて、ナルちゃんとメルちゃんはすごいね」


 俺の後ろに座ったイオが、感心したように言う。まあ、本当は逆なんだけど、ここは勘違いさせたたままの方がいいだろう。


「そうだよ。

 すごいだろう」


 適当に返事をしておく。


「シロー、娘子むすめごたちは、そういうことだったのか」


 娘たち二人の変身姿を初めて見たコリーダが、呆れたような顔で言う。


「いつもは秘密にしているからね」


「お主とルルの子供かと思っていた」


「いや、それは間違いないよ。

 二人は、俺とルルの娘だよ」


 俺はきっぱり言い切った。コリーダには、後で二人を娘として育てることになった経緯を話しておこう。


 人化した竜が、ナルとメルの周囲を飾りつけ終わると、二人は雛人形のようになった。

 メルが前に置かれたお菓子のようなものに手をつけようとして、ルルにさとされている。彼女は、お行儀に厳しいからね。

 やがて、ナルとメルの「雛壇ひなだん」を中心に、人化竜たちが、半同心円状に座った。


 円の内側ほど年寄りが座っているから、序列順に並んでいるのだろう。座るなり、全員が額を地面に着けている。

 敬意を表しているのか、ナルとメルの前五メートルくらいは、誰も座っていない。

 二人の正面最前列に座った長が、礼をしたままの姿勢で口を開く。


「この度は、真竜様においでいただき、恐悦至極きょうえつしごくにございます。

 我々からの心ばかりの感謝の気持ちをお受けとりください」


 着飾った娘が両手にお盆のようなものを載せ、次々に入ってくる。ナルとメルの前まで来ると、お盆ごと置き下がっていく。

 お盆の上には、様々なものが乗っていた。


「なんか凄いのがあるね」


 ミミは、宝石が山盛りになったお盆から目が離せないようだ。


「あれは何でしょう」


 ポルは、魔道具のようなものが載ったお盆を見ている。


「ほう、見事なものですな」


 リーヴァスさんが目をつけたのは、一つのお盆に載せられた二振りの短剣だ。鞘に入っているが、柄の部分を見ただけで、それがどれほどの業物か、彼には分かるらしい。

 ナルとメルのすぐ前だけは、お盆が置かれていない。きっと食事を置くスペースだろう。

 そう俺が予想したら、案の定、水晶の板に載った食事が運ばれてくる。


 まずナルとメルの前に、それから俺たちの前、最後に人化竜の前に膳が置かれる。見たところ、ナルとメルの食事は特別製で、俺たちのは人化竜と同じもののようだ。


 点ちゃん、調べてくれる?


 これだけ歓待してくれているのだから、毒の心配はないだろうが、身体に入れて大丈夫なものかどうかは確認しておかないとね。


『……大丈夫だよー。

 でも、味の方は分からないよ』


 それはそうだ。


 長の挨拶が終わり、食事が始まる。長だけは、膝歩きでナルとメルの前に来て、捧げものの説明をしている。


「こちらは、竜人の国で採れる宝石でございます。

 この二振りの剣は、竜の刀匠が作った名刀ございます。

 こちら、天竜国の洞窟で発見された、アーティファクトでございます。

 特別なお湯が生成される逸品です。

 また、こちらは……」


 彼が説明している間、ナルとメルは食事ができない。


 メルは、目の前に食事を置かれたまま、話を聞くというのが堪えられなくなりつつある。堪忍袋というより、胃袋の緒が切れる直前に話が終わった。

 メルは、いそいそという感じで食事に取りかかる。


「おいしいね、少し変な味だけど」


 食事は、確かに、今まで食べたことがない味のものが多かった。ミントのような味がする赤身とか、甘辛い草のようなものとか。今まで行った、どの世界とも違う食事だ。

 俺には、それがとても新鮮だった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

真竜=古代竜エンシェントドラゴンは、竜にとって特別な存在のようです。

 史郎達が何をもらったか、ちょっと気になりますね。

 では、明日へつづく。

ナル、メルがルル、史郎の娘になったエピソードは、

 第1シーズン、「ポータルズ」冒険者世界アリスト編 15~20話

ナルとメルが学校に行くエピソードは、

「少女は初めて学校へ行く --異世界の学校って何 ?-- ファンタジー世界入門 ポータルズ外伝02」

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