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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第6シーズン 竜人世界ドラゴニア編
245/927

第243話 竜人世界編 第47話 天竜

 天竜登場。

感想を頂いたので追加投稿です。


 人質だと思っていた女が、一番憎いかたきだと分かり、ビガは戸惑った。しかし、すぐに怒りと憎しみが戸惑いを打ちけした。


「貴様! 

 父の敵!」


 ビガが振ったカギ爪は、なぜか軌道を曲げ、少年では無く自分の左太ももを引きさいた。


「ぐあっ!」


 竜舞台に仰向けになって、足を抱える。

 そして、あることに気づいた。


「毒、毒が! 

 誰か、助けてくれ!」


 しかし、彼の叫びなど、誰も聞いていなかった。


 ◇


 竜舞台の上に立っているのは、史郎とジェラードの二人だけとなった。


「へーっ。

 上手く化けたものだな」


 ジェラードが俺に話しかける。


「興味があるのは、そこかね?」


 まあ、いいけどね。

 ネアさんにつけた点の情報から、彼女が箱に入れられたのを知り、俺は彼女とお互いの位置を入れかえたのだ。

 変装は、あらかじめしてあった。化粧とかつらは、ルルとコルナが笑いながら整えてくれた。

 俺は胸を圧迫する二つの詰め物を服の中から取りだし、転げまわっているビガの上に投げすてた。


「ち、畜生! 

 見ていろ! 

 残り一人になっても、必ず黒竜族がお前を、そして、お前の家族を倒すぞ!」


 ふーん、そういう考え方もあるな。じゃ、ここにいる黒竜族は、全員消しておくかな。


 俺が点魔法を発動しようとしたとき、頭の中に声が聞こえた。


『おい、少年。

 それだけは、勘弁してやってくれ』


『あんた、誰だ?』


『私は、天竜モースと言う。

 ただでさえ、数が少ない竜人じゃ。

 これだけの男性を失えば、黒竜族は滅びるやも知れぬ』


 なるほど、天竜か。

 横を見ると、ジェラードが土下座スタイルで頭を地に着けている。

 彼にも今のが聞こえたんだな。

 そういえば、ナルとメルのお母さん竜が、竜族にはときどきテレパシーを持った者が生まれる、と話していたな。


『こいつは、黒竜族が最後の一人になっても俺の家族に手を出すと言っていた。

 だから、こいつらを生かしておく理由はない』


『そこを何とか頼む。

 お主からしたら、虫けらの様な存在かもしれぬが、我らは竜人をずっと見守ってきたのだ』


『あんた、俺の事を知っているのか?』


『ああ、神樹様から聞いておる』


 なるほど、そういうことか。


『では、どうやってこいつらを見張る?』


『竜の加護を持つ者を攻撃したら、命を失う呪いを掛けておこう』


『ここにいない黒竜族が、俺の家族を襲うかもしれないぞ』


『黒竜族全員に掛けておこう』


『俺の家族には、竜の加護をくれるのか?』


『そうだ。

 それで、なんとか許してくれ』


『俺の方でも安全策を講じるが、構わないか?』


『個別に掛けるものなら構わない』


 俺は少し考えてから答えた。


『いいだろう』


 少しの後、黒竜族の男たちがぼんやりと紅く光った。

 光はすぐに消えたが、あれがきっと呪いだろう。


 俺は黒竜族の男全員に点をつけておいた。設定は、家族から三十メートルに近づくと、電撃で気絶するというものだ。


『白竜族のジェラードよ。

 この度の功績により、正式に白竜族の族長を名乗るがよい』


「有難き幸せ」


 ジェラードは、すでに最敬礼しているので、それ以上動かない。


『黒竜族の跡継ぎは、牢に捕らえられているバロワという男にせよ』


「ははっ」


 ジェラードが答えた。


『では、シローよ。

 近く迎えを寄こすから、待っていてくれ』


『分かった。

 家族があまり離れないようにしておく』


『すまぬな。

 では、またその時に』


 それきり、テレパシーは途絶えた。

 しばらくお祈りの様なものをブツブツ唱えていたジェラードが、やっと立ちあがる。


「ジェラード、天竜と話したのは、初めてだったのか?」


「ああ。

 天竜祭に出られるのは、二十歳からなんだ」


 天竜との会話が、よほど感慨深かったのだろう。

 ジェラードは、少しぼーっとした顔をしていた。


 ◇


「おーい、ボー」


 加藤の声がしたから、そちらを見ると、右肩に三人、左肩に三人の気を失った黒竜族を担いだ彼の姿があった。


「施設の中に、これだけ隠れてたぜ」


「ご苦労さん」


「お前、スカート姿、似合ってるな」


 加藤の声で、俺は慌ててズボンをはき、スカートを脱いで点収納に突っこんだ。


 気づくと顔を腫らした黒竜族の女が、加藤の後ろに立っている。

 すかさず、治癒魔術を付与した点を全身につけてやった。光に包まれ、女の顔が元に戻る。それは、竜闘で加藤が戦った美しい娘だった。名前は、確かエンデと言ったはずだ。


「痛みが消えていく……」


 彼女は驚いた声でそう言った。


「おい、シロー。

 それ、お前がやったのか?」


 ジェラードの言葉が、ざっくばらんになっている。


「ああ、そうだが」


「信じられん。

 治癒魔術は、竜人では白竜族が一番なんだが、それほど強力な治癒効果は、誰にもマネできないぞ」


「それぞれの竜人族で、得意なことがあるのか?」


「そうだ。

 黒竜族は、戦闘、特に近接戦が得意だ。

 赤竜族は、遠距離近距離両方それなりに得意だな」


 なるほど。竜闘自体が黒竜族に有利になっていたわけだ。これからは、それも変わるだろう。


「そうか。

 ジェラード、ところで青竜族は何が得意なんだ?」


「青竜族か。

 彼らは、感覚、つまり、聴覚や視覚が優れている。

 特に嗅覚は並外れているぞ」


 ええっ! 青竜族の役所で、悪臭による攻撃がやけに効いたのはそういう理由だったのか。

 俺は青竜族のハゲたおじさんのことを思いだし、心の中で詫びておいた。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

天竜、いましたね。

しかし、史郎はときどき怖いですね~。

もう少しで竜舞台の黒竜族を皆殺しにするところでした。

 次回、「竜人世界編」最終回。

 明日へつづく。

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