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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第6シーズン 竜人世界ドラゴニア編
227/927

第225話 竜人世界編 第29話 竜闘に向けて

竜闘への準備が始まります。


 俺たちが四竜社よんりゅうしゃから戻ると、ミーティングが開かれた。


 場所は、ラズロー邸だ。

 加藤は、イオとネアさんを護衛するため来ていない。


「問題は、どんな五人をビギが選んでくるかです」


 ラズローが、真剣な表情で話しはじめる。

 俺たちは、五角形のテーブルを囲んでいた。ナルとメルは、別室でラズローの娘が相手をしてくれている。


「私の方からも、人を出せますが」


 ラズローの申し出は嬉しいが、竜闘には、ポンポコリンのメンバーと加藤だけで臨むつもりだ。


「そうですな。

 こちらが本当に困ったときは、お願いいたします」


 リーヴァスさんは、当たり障りのない返答をした。


「ラズローさんから見て、竜人ではない者が竜闘に出る時のアドバイスはありませんか?」


「私も、竜人以外が出場する竜闘は、初めてですから……。

 しかし、会場は、多くの観客が押しよせますから、きっと応援は竜人側にかたよるでしょうな」


「観客として参加するのに、何か資格はありますか?」


 俺は、知りたかったことを尋ねた。


「四竜社が、入場料を徴収します。

 かなりの高額で、それを支払える者だけが参加できます」


「女性も、観戦できますか?」


「高額の入場料を賄えるのは、男性だけなので、女性はほとんど観戦しませんね」


「なるほど。

 資格が無いというわけではないのですね?」


「ええ。

 ただ、女性によほどの勇気がないと、無理でしょう」


「入場料は、現地で払うのですか?」


「いえ、前もって売りだされる形です。

 取りあつかいは、四つある都それぞれの役所です」


「一人が買う枚数に、制限はありますか?」


「ありませんが、高価なものなので、複数買う人は、ほとんどいません」


「一人、いくらですか?」


「竜金貨一枚ですね」


 これまで調べたところでは、この国の竜金貨一枚は、パンゲアやエルファリアで使われている硬貨の大体半分の値打ちだと分かっている。

 パンゲアの金貨一枚が、地球の百万円程度だから、竜金貨一枚は約五十万円となる。

 確かに、かなりの高額だ。


「家族は、競技場に入れますか?」


 ルルが、尋ねる。


「ええ、入れることになっています。

 ただ、ほとんどの家族は、それを選びません」


「どうしてですか?」


「家族が殺されるところを見たくないという人もいますし、家族から応援を受けるのを嫌がる出場者もいます」


「なぜ、家族の応援を嫌がるのですか?」


めめ々しいと思われるのが、嫌なのでしょう」


 いやー、この世界のマッチョ精神には恐れいる。


『(?ω・)ノ ご主人様ー、マッチョって何?』


 ああ、筋肉ムキムキって感じかな?


『(?ω・)ノ ムキムキって?』


 俺が点ちゃんと馬鹿話をしている間に、コルナやコリーダも自分がきたいことを尋ねおえたようだ。


「武器は、どのような物を使いますか?」


 これは、ポルからの質問だ。


「竜人は、成人したとき、自分に合った竜刀をこしらえます。

 それを使うことが多いですね」


「竜刀というのは?」


「実物をお見せしましょう」


 ラズローは、部屋を出ていくと、さや入りの剣を手に帰ってきた。

 赤鞘に入ったそれは、かなり幅広で少し反りがある。

 俺は、映画で見た中国の青龍刀を思いだした。


 彼が剣を抜くと、鈍く光る、黒っぽい金属の刀身が現れた。刀身部分だけで一メートル近い。日本刀ほどではないが、造形美が感じられる。

 地球の剣に比べ、肉厚に作ってある。


 ラズローは、竜刀を逆手に持ちかえると、柄をポルに差しだした。

 ポルが、剣を手にする。


「うわー、すごく重いですね」


「ええ、おそらく、その剣では、受けとめきれないでしょう」


 ラズローは、ポルが腰に差している短剣を指さした。


「それは、両手剣ですな」


 リーヴァスが指摘する。


「はい。

 昔は、片手剣が流行ったこともあったようですが、今はほとんどの者が両手剣を使います」


 いずれにしても、この剣で切られたら、五体満足ではいられまい。


 俺たちは、竜闘について各自が知りたいことを聞きおえたので、一息つくことにした。


 ◇


 みんなが、くつろいでいると、赤髪の娘と、ナル、メルが部屋に入ってきた。


「パーパ、これもらったよ」


「メルもー」


 二人が、手に抱えた玩具を見せてくれる。

 俺とルルは、赤髪の娘にお礼を言った。


「ありがとう」

「ありがとうございます」


 赤髪の娘が、ラズローと何か話している。

 突然、ラズローが、ガタっと立ちあがった。

 テーブルを回って娘たちの所へ行く。


「あ、あなた方は!」


 彼が、一歩後ろへ下がる。


「お父様、どうなさったの?」


 赤髪の娘が、小首をかしげている。

 ラズローは、ブルブル震えて、言葉が出せないようだ。

 彼らしくない振舞いに、俺も声を掛けた。


「ラズローさん、どうしました?」


 ラズローは、幽霊でも見たかのような顔で、俺の方を向くが、言葉が出ないようだ。


「シローさん、ラズローさんは、お二人が何かに気づいたのだと思います」


 発言したのは、黒竜族のリニアだ。

 そういえば、彼女が最初にアリストの家に現れた時、ナルとメルを見て、ラズローと同じような反応をしていたっけ。


「何かに気づいたとは?」


 俺は、とぼけておいた。

 娘たちが古代竜であることは、なるべく隠しておきたいからね。


 リニアが答える。


「我々竜人は、人族に無い感覚を持っています。

 それにより、生物が体を覆う、膜のようなものが見えるのです。

 我々は、これを、『竜気りゅうき』と呼んでいます。

 この感覚は、戦闘でも使われます。

 竜気が膨れあがったら、相手が攻撃してくると分かります」


 なるほど、オーラのようなものが見えるんだな。生体エネルギーを、竜人特有の感覚で把握しているのだろう。


「ナルさんとメルさんの竜気は、人族にしては、あまりにも大きいのです」


 しかし、それだけで、ラズローがあのようになるだろうか。


「大きいと、何か違うのかい?」


「大きいだけではありません。

 その形が……」


 彼女はそう言うと、テーブルの一辺に鎮座する、赤いドラゴンの置物を指さした。

 あちゃー、竜気の形まで見えるのか。それが、ドラゴンの形をしているんだな。

 俺は、気にかかっていたことを尋ねる。


「リニアは、本物のドラゴンを見たことがあるの?」


「いえ、父から話で聞いただけです」


「ということは、お父さんは実際に見ているんだね?」


「ええ、天竜様に関する儀式の折に見たそうです」


 なるほど、やはり見たことがある人がいるから、ここに置いてあるドラゴン像は、その特徴をよくとらえているのか。


「それは、どんな儀式なの?」


「詳しいことは、教えてもらえませんでした。

 女人禁制とかで、男性だけが参加できる儀式だそうです」


 まあ、男尊女卑の文化なら、いかにもありそうなことだ。


「し、シロー殿、この方々は?」


 ナルとメルの前で、片膝をついてしまったラズローが尋ねる。まだ、声が震えているから、二人との出会いは、それほどの衝撃だったのだろう。


「私とルルの娘です。

 素性は、詮索しないでください」


 念のため、釘を刺しておく。


「分かりました」


 やっと、声が震えなくなった彼は、ひざまずいたまま二人に深く礼をすると、席に戻った。席に着く前、赤竜像にまで礼をしていた。


 対戦相手が、こちらに無い感覚を持っているとなると、竜闘で不利な材料となるかもしれない。

 俺は、これまで思い描いていた竜闘の作戦を、練りなおす必要があると考えていた。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

竜闘は思ったより史郎達にとって不利な条件が多いようです。

 次話、史郎とリーヴァスがいないイオの家に不気味な影が忍びよります。

 明日へつづく。

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