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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第6シーズン 竜人世界ドラゴニア編
225/927

第223話 竜人世界編 第27話 迷い人の情報

四竜社が動きます。


 四竜社よんりゅうしゃへ向かう前日、俺はかねてからしようと考えていたことを行った。

 それは、上空から都市を見ておくことだ。


 転移直後にも上空からの観察はしたが、あれは大陸の形などを確認する大まかなものだったからね。

 すでに、青竜族の都であるこの都市、そして、赤竜族の都である隣の都市があることは、分かっている。


 夜が明けるぎりぎりの時間を見計らい、点ちゃん1号を透明モードで出す。俺一人が乗りこみ空へ上がる。

 俺たちが滞在している都市の形が見えてくる。それは、ほぼ円形をしていた。

 さらに上昇すると、同じような形の都市が、合わせて四つあることが分かった。正方形の各頂点に位置するように四つの円形都市があり、その中心に、丘のようなものがある。丘のふもとには、それを取りかこむように建物群が見える。丘の上にも、一つだけ大きな施設があった。


 情報収集のための点をばらまく。各円形都市にまんべんなく、そして、丘の周辺にはやや多めにまいておく。四竜社は、丘の周辺施設のどれかだろうからね。


 仕事を終えた俺は、水平線から昇る朝日を眺めながら、ゆっくりお茶を飲むのだった。


 ◇


 四竜社の執務室では、ビギがミマスから報告を受けていた。


「それで、そいつらは、ここに来るのか?」


 ビギが、不機嫌な声でそう言う。

 それは、そうだろう。目の前に立つ若い竜人は、すでに一度任務に失敗しているのだ。


「はあ、手紙は、受けとってもらえました」


「なんだとっ! 

『受けとってもらえた』とは、なんだ! 

 お前は、黒竜族としてのプライドが無いのか!」


 若い竜人ミマスは、その大柄な体を小さくしている。


「もうよいわ! 

 もし、ヤツらが呼びだしに応じぬ時は、お前も同罪だ」


「そ、そんな……」


「さっさと出ていけ!」


 ビギは、汚らしいモノでも見るような目で、ミマスを見た。

 若者は、すごすご、部屋から出ていった。


「全く、最近の若い者は、なっとらん!」


 ビギが、机を拳で叩くと、机の上から筆記具が飛散した。

 そこへ、ノックの音がする。


「入れ」


 不機嫌な声で、許可を出す。

 赤竜族の男が入ってくる。年のころは、四十代だろう。竜人には珍しく、お腹が出ている。


「報告があります」


「何だ?」


「ラズローと、例の迷い人が接触したようです」


「なに? 

 何が目的か、分かっているのか?」


「ヤツの娘が、迷い人がやっている店に押しかけたようなんです」


「店? 

 商売の許可など、出していないはずだぞ」


 大体、商売しようにも、迷い人には元手が無いはずだ。


「その時、迷い人が、二十人ほどの武装した赤竜族を倒したということです」


「なにっ!? 

 迷い人は、少年だったはずだが」


「それが、新しく現れた迷い人が合流したようなのです。

 赤竜族を倒したのは、老人という話でした」


「なにっ? 

 老人が、二十人をか?」


「はい、瞬く間に制圧したそうです」


「その男は、竜人か?」


「いえ、人族のようです」


「馬鹿を言うな! 

 人族など、一対一でも、竜人に勝てぬわ」


「しかし、目撃者によると……」


「いい加減な情報に踊らされるな。

 それより、新しく現れた迷い人は、一人か?」


「いえ、女子供を含めて、五人はいると思われます」


 一体、どういうことだ? ランダム・ポータルが、そんなに都合よく開くはずはない。同じ時に転移して、遅れて都にやって来たのだろう。

 ただ、万が一の事がある。隠しポータルの確認をしておく必要があるか。追放用ポータルの方は、問題あるまい。


「よし、さらにその辺のことを詳しく調べろ」


「はっ、分かりました」


 赤竜族の男は、一礼すると、部屋から出ていった。


 ラズローと迷い人か。嫌な組みあわせだな。

 ビギは、少し考えた後、特別な笛を口にくわえた。笛からは、妙に甲高い音がした。


 間もなく、部屋に黒竜族の男が入ってきた。全身を黒く光沢がある衣服で覆っている。その男の冷たく鋭い目つきは、蛇を思わせた。

 男は、ビギの前に片膝をつき、頭を下げた。


「ご用でしょうか?」


「うむ。

 青竜族の都にやってきた、迷い人を探れ」


「はっ」


「くれぐれも、さとられぬようにな」


 黒服は、頭を下げると、スルスルと部屋から出ていった。動きまで蛇を思わせる。


「念には念を入れんとな」


 男が去った後、ビギは薄笑いを浮かべていた。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

 黒竜族の族長ビギがいい感じで悪るだくみしています。

 次回、シロー、ポル、リーヴァスが四竜社へ。

 大丈夫かね、そんなところへ行って……。

 では、あすへつづく。

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