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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第5シーズン 地球一時帰還編
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第191話 地球一時帰還編 第3話 報告 渡辺家

 史郎は、聖女舞子の家族へ、報告を行います。


 俺は、次に渡辺家を訪れることにした。


 舞子の実家は神社で、父親はそこの神主をしている。俺は何度か、舞子の巫女姿を見たことがある。

 木々に覆われるように建つ、神社の境内へ降りる。神社は小山の上にあるから、普通なら長い階段を昇らなければならない。


 境内を掃いている、作務衣さむえを着た長身の男性がいた。舞子の父だ。


「おじさん!」


 俺が声を掛けると、彼は眼鏡越しに、いぶかしげにこちらを見ていたが、誰だか分かると、箒を投げすてて駆けよる。


「史郎君じゃないか!」


「お久しぶりです」


「一体、今までどこにいたんだい?」


「それも含めて、舞子さんのことについて、伝えたいことがあって来ました」


「そうか! 

 まあ、とにかく、上がってくれ」


 小学生までは良くお邪魔したが、中学生からあまり来なくなった家だ。俺は、初めて訪れる家のような感覚で、中に入った。

 広い座敷に通される。

 おじさんは、頭に巻いていた手ぬぐいを外すと、冷えたジュースを持ってきてくれた。俺が好きなジュースだ。


「まだ、これが好きならいいんだが」


 彼は、そう言うと、俺の前にジュースを置いた。


「舞子が、このジュースだけは、切らさないようにしててね。

 あの子がいなくなっても、これだけは、いつも冷蔵庫に入れておいたんだ」


 俺は、舞子のお母さんの容態を聞くことにした。


「おじさん、おばさんは?」


「うん、あの子がいなくなって、元気が無くなっちゃってね。

 とにかく、声だけは、掛けてくるよ」


「舞子さんの様子をお知らせしますから、できるなら、ぜひ」


「ああ、ありがとう」


 おじさんが部屋を出ていって少しすると、廊下をパタパタ走る音がした。ガラッとフスマが開いて、舞子の母親が立っていた。

 舞子が、そのまま年齢を重ねたような容姿だ。青いパジャマに、白いカーデガンを羽織っている。頭は、寝ぐせが付いたままだ。


「史郎君! 

 舞子の話が聞けるって、本当!?」


「ええ、最初から、詳しくお話しますね」


 俺は、ポータルで転移した経緯から、アリストの王城に行くところまでを話した。


「それで! 

 それで、あの子は、今どうしてるの!」


「俺が説明するより、この映像を見てもらった方が、早いでしょう」


 俺は点魔法で壁にシートを出すと、それに舞子の動画を映した。それは、舞子が獣人世界を訪れた時、歓迎を受けている様子が映ったものだ。獣人の群衆を前に、演台に登った舞子が、堂々と話している姿が映っていた。


「こ、これがあの子?」


 腰を浮かせ、映像に見いっていたおばさんが、ペタリと腰をつく。


「史郎君、これ、特撮映像じゃないよね」


 まあ、これだけ変わっている舞子を、すぐには信じられないのだろう。


「違いますよ。

 俺も、この場にいましたから」


「なんで舞子は、こんなにも、歓迎されているの?」


「それは、もちろん、この国の人たちに、好かれているからですよ」


「ど、どうしてそんなことに……」


 二人は、我が娘ながら、立派になった彼女が、信じられないのだろう。


「この群衆が集まっている広場がありますよね。

 ここ、実は、建物が立っていたんですよ」


 俺は、驚いた顔のままの二人に話しかける。


「舞子さんを歓迎するために、現地の人たちが、それを全部壊して、広場にしちゃったんです」


「こんなにも、立派になって……」


 おばさんは、スクリーン上で動いている舞子の顔に手で触れている。


「私たちは、この世界に行けないのかい?」


 おじさんが聞いてくる。


「残念ながら。

 一定時間が過ぎれば、俺も向こうに帰らなければなりません」


「そうか。

 ねえ、敦子あつこ、私たちが、もしこの世界に行けるようになった時、舞子に元気な姿を見せてやりたいと思わないかい」


 おじさんは、彼女の背中に手を置き、優しく語りかけた。


「史郎君、それができると思う?」


 おばさんが、すがるような目を、俺に向ける。


「今すぐには、無理です。

 でも、なんとかその方法を探してみます」


「史郎君の事は、小さいころから、よく知っているだろう。

 舞子の事で、嘘をつくような子じゃない」


「ええ、分かってるわ。

 舞子に会えるように、元気にならなくちゃ」


 舞子のお母さんは、さっきより顔色が良くなっている。この様子なら、きっと床から離れる日も近いだろう。

 舞子が、聖女として多くの人を救い、病気を治していることも伝えた。


「人を治す聖女の母親が、病気じゃいけないものね」


 最後には、彼女にも微笑みが戻っていた。


 俺は二人から舞子へのメッセージを映すと、畑山の家に向け、空へと昇った。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

聖女の家族はとても彼女の事を心配していたので、史郎の報告が余計に役に立ったようです。

次回、畑山家。加藤家、渡辺家のようには、簡単にいかないようです。

 明日へつづく。


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