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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第4シーズン 聖樹世界エルファリア編
175/927

第173話 聖樹世界編 第40話 ダークエルフ侵攻3

 ダークエルフ軍の大侵攻が、終わったように思えましたが……。

史郎がダークエルフ軍を打ちまかした、その秘密も明かされます。


 ダークエルフに投降を呼びかける声は、城の前面に展開したエルフの軍勢にも届いた。


 両手を上げたダークエルフの兵士が、森から次々に現れる。

 エルフ軍からは、歓声と勝鬨かちどきが上がった。


 史郎が予想していた通り、若いエルフの指揮官に率いられた一団が、投降したダークエルフたちへ、駆け足で近づいていく。


「奴らに、目にもの見せてやれ!」


 ヨレヨレで泥まみれの軍服を着た、ダークエルフの兵士たちは、武器も無く、それに抗えるすべはなかった。

 勢い勇んで駆けよるエルフ兵の前に、銀髪の老人が現れた。


「貴様、人族だな! 

 奴らの味方をするなら、生かしてはおかんぞ」


 若い指揮官が、目を吊りあげ、老人に詰めよる。


「やれやれ。

 馬鹿な若者は、どこにでもいますな」


 老人は、苦笑いしている。

 落ちつきはらったその態度に、若い指揮官は一瞬ひるんだが、剣を抜いて叫んだ。


「こいつもろとも、殺してしまえ」


 若い指揮官の剣が老人を袈裟懸けさがけにした、と見えたが、それは彼が動いた後の残像に過ぎなかった。

 剣を抜いていた者、全員の手首から先が、宙を舞った。

 剣を抜いていなかった者も、あっというまに、見えない何かに取りおさえられた。


 エルフの軍勢から、騎乗した一人の文官が駆けつける。


「リーヴァス様、お手数をおかけします」


「ははは。

 まあ、彼らには良い教訓になるでしょう」


 利き手を失った者は、突然姿を現した、三人の獣人が応急手当している。


「なんか、面倒を押しつけられてる気もするけど……」


「ミミ、何言ってるの? 

 リーダーは、二万人の兵士を無力化したんだよ。

 ぐずぐず言わずに手を動かす」


「はいはい。

 もー、ポン太ったら、ほんと偉そうなんだから」


 リーヴァスの所に、大柄なダークエルフの武人が近づく。

 彼だけは、腰に剣を差したままだ。

 彼は胸に手を当て、軽く礼をした。


「名のあるお方と、お見受けする。

 部下の命を助けていただき、感謝する。

 私は、プーダと申すもの。

 ぜひ、お名前をお聞かせ願いたい」


 リーヴァスは、軽く会釈を返した。


「リーヴァスと申します。

 部下の方々のことは、お礼には及びませんぞ。

 彼らを守るのが、エルフ王からの依頼ですからな」


「依頼……冒険者ですか。

 冒険者でリーヴァスという名前……。

 もしや、『雷神リーヴァス』殿では?」


「ははは。

 誰かが付けた二つ名ですが、確かに私の名ですよ」


「リーヴァス殿、あなたを見こんで頼みがある。

 ぜひ、私と手あわせ願いたい」


「手あわせ? 

 なぜですかな?」


「わが軍は、すでにエルフ軍にくだった。

 しかし、私は、どうしても、戦ってから身を処したい。

 愚か者のたわごとと、お笑いください」


「私が受けねば、どうするおつもりかな?」


「エルフ軍に切りこんで、彼らを一人でも倒します」


「……うむ。

 分かりました。

 お相手しよう」


「おお! 

 受けてくれるか。

 雷神殿ならば、相手にとって不足は無い」


 二人は、五メートルくらいの距離を取って対峙した。


「リーヴァス様、無駄なことは止めてください」


 ミミが叫ぶ。


「ミミ、これは、武人の血から、止められぬもの。

 黙って、見ていなさい」


 プーダ、リーヴァスともに、その手が、剣のつかにかかる。

 一瞬、二人の姿がぶれたと思うと、それぞれの位置が入れかわっていた。


「見事!」


 ダークエルフの将軍は、そう言うと、前のめりに倒れた。


「コルナさん、頼めるかな」


 コルナが、プーダに駆けより、彼に治癒魔術を掛ける。


「……大丈夫です」


 彼女には、リーヴァスが急所を避けて剣を振るったことが、すぐに分かった。


 こうして、王城付近で行われた戦闘は、全て終わった。


 ◇


 どうして、戦闘があのようなことになったか、知りたいって?


 最初、城に向け襲いかかった魔獣の群れを、闇魔術から解き放ったのは、俺の点魔法だった。

 聖属性の魔術を点に付与し、それを魔獣に付けた。

 魔獣を操っている闇魔術を、その魔術が打ちけしたというわけ。


 グリフォン隊の上空に現れた二体の飛行獣は、ナルとメルだ。

 透明化の魔術をかけたボードにルルが乗りこみ、サポートしていた。

 ナルとメルがグリフォンのコントロールを奪うとすぐに、俺は娘たちとルルを、『西の島』フェアリスの集落にある、『土の家』の二階に転送した。点魔法の「連結」と「付与 空間」の合わせ技だ。

 この合わせ技は、『メテオ』を地面に誘導するときにも使った。一つの点で魔術を吸いこみ、もう一つの点から出したのだ。


 ダークエルフには、吸収した『メテオ』を使うと脅したが、実のところ、点に収納した魔術が時間をおいて再び使えるかどうかは、定かでない。

 だから、あそこでダークエルフが降参しなかったら、いろいろ面倒な手順が必要になっていた。

 結局、その手順は不要になったんだけどね。


 点ちゃん、今回も大活躍だったね。


『(^▽^)/ いっぱい遊べて楽しかったー』


 まあね。いつもの点ちゃんだね。

 俺は1号機の中でコケットに横になりながら、明日から、いかにゴロゴロするか、その計画を練っていた。


 いつもごろごろする計画を練っている、この史郎という少年、実のところ勤勉なのでは?

 いつもお読みいただきありがとうございます。

プーダ将軍VSリーヴァス、一瞬の戦いでした。

大侵攻を凌ぎきった史郎たち。

後は、何もなければよいのですが……。

 ほっとしつつ、明日へつづく。

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