第161話 聖樹世界編 第28話 ミミとポルの冒険1
久々に猫人少女ミミと狸人少年ポルナレフが登場です。
彼らのワクワク旅が始まります。
ポルナレフがとっても恥ずかしい体験をします。
獣人世界グレイルは『時の島』大陸。
猫人の少女ミミと狸人の少年ポルナレフは、大陸北西に位置するケーナイの町にいた。
学園都市世界から救出してきた獣人の行く先や住居を世話しているうち、思いもかけないほど日にちが経っていた。
ミミとポルナレフは、とり急ぎ史郎たちの後を追うことにした。
彼らのギルドランクは、学園都市世界での活躍で、一気に銀ランクまで上がっていた。
ケーナイのギルマス、アンデの好意で、馬車を貸してもらえることになった。
ギルドに紹介してもらい、御者もベテランを雇う。馬車は、ケーナイの町を出てから三日後には狐人領に着いた。
狐人族族長コルネの計らいで、すぐにポータルを使わせてもらえることになった。
二人は、コルネに連れられ、城内にある神樹の部屋までやってきた。
神樹の開いた口にあるポータルが怖いらしく、ポルナレフが二の足を踏んでいる。
ミミが、その背中をドンと押した。
「あーっ!」
ポルナレフが、頭からポータルに突っこむ。
ミミは、コルナに丁寧にお礼を言うと、ポルナレフの後を追った。
◇
ポータルを出ると、当然、ポルことポルナレフが怒っていた。
「ど、どうして押したりなんかするんだよ」
「そうでもしないと、いつまでたっても渡れないじゃない」
ミミは、涼しい顔だ。
「こんにちは。
ミミちゃんとポルナレフ君ね?」
美しい女性が、話しかけてくる。
ポルは、赤くなってモジモジしている。仕方なくミミが対応することにした。
「初めまして。
どうして、私たちの事を?」
「今日の事は、アンデからの連絡で知ったの。
でも、君たちの事は、ルルやシローから詳しく聞いているわ」
「え?
そうなんですか。
ルルさんやシローのお知りあいなんですか?」
「ええ、そうよ。
私はエレノア、ルルの母親、リーヴァスの娘でもあるわ」
「「えっ!!」」
「だから、気兼ねなんてしなくていいわよ。
家は、娘たちが使った所でいいわね?」
「あ、ありがとうございます。
ポン太、あんたも、きちんとお礼して」
「あ、すみません。
お世話になります」
◇
エレノアは、二人を案内すると、去っていった。
二人は、シローたちが泊まったというS字型の『木の家』で過ごすことになった。キッチンは無いようだが、寝室とリビングは十分広い。
ノックがあったので、ポルがドアを開ける。
高齢の上品な女性が、立っていた。
「どうだい、何か困ったことはないかい?」
「おばあちゃんは、誰?」
「ああ、紹介が遅れちまったね。
私は、近所に住んでる、ミランダっていう者さ。
困ったことがあったら、私に言いな」
「ミランダさんも、シローさんの知りあい?」
「知りあいってほどじゃないけど、こないだ会って話したよ」
「おばあちゃん、すみません。
ポン太は、銀ランクになったことを、早くシローに知らせたいんですよ」
「おやおや……。
ああ、あんたたち、あの有名なパーティ・ポンポコリンかい?」
ポルが胸を張る。
「そうですよ。
ボクらは、ポンポコリンのメンバーです。
ボクとこのミミは銀ランクだし、リーダーのシローさんは、黒鉄の冒険者で、すごいんですよ」
「そうかい、そうかい」
ミランダは、目を細めてポルを見ている。
「お口に合うか分からないけれど、これ、お食べ」
ミランダは、提げてきたバスケットをテーブルの上に置いた。中には、冷えたジュースのボトルと、具を挟んだパンが入っている。
「うわー、おいしそう!
おばあちゃん、ありがとう!」
ミランダは、ポルの反応に満足そうに微笑んでいる。
「おばあちゃん、許してね。
ポン太は、長いこと夢に見ていた冒険者になれて、その上、冒険者として活躍できることが、すっごく嬉しいの」
ミミがとりなす。
ミランダは、そんな二人を優しい目でじっと見ていた。
◇
次の日、ミミとポルは、エレノアに連れられ、ギルド本部にやってきた。
「うわっ!
これがギルド本部か!
すっごいなー」
ポルは、きょろきょろしながら、部屋中を歩きまわっている。
「ポン太!
恥ずかしいから、じっとしてて」
ミミが注意するが、興奮しているポルの耳には届かない。エレノアも、苦笑いしている。
奥から、二人の付きそいを連れたミランダが出てきた。エレノアが、膝を着いて礼をする。
「ミランダ様、この二人が、ポンポコリンのミミとポルナレフです」
「あれ?
おばあちゃん、どうしてここにいるの?」
ポルが、驚いている。
「ポルナレフ君、この方はギルド本部の長、つまり全てのギルドで一番偉い方よ」
エレノアが、説明する。
「えっ?
どういう……?」
さすがに気づいたミミが、ポルに飛びついて頭を下げさせる。
「き、昨日は、大変な失礼をしました!」
さすがのミミも、やってしまった感が限界を超えたようだ。彼女らしくなく、縮こまっている。
ポルは、まだ何が起こったか、ピンときていない。
「ホホホ、気にしなくていいんだよ。
わたしゃね、長いこと、この仕事やってるけれど、昨日くらい嬉しかったことはないよ」
ミランダは、ポルのところに来ると、その頭を撫でる。
「長生きするのも、悪くないねえ。
あんたのような子に会えるんだから」
ミランダは、ミミが下げていたポルの頭を上げさせる。彼を抱きよせ、こう言った。
「エレノア、あんたたち。
この子らの事を、よく覚えておくんだよ。
冒険者として、誇り高く生きている若者だ。
私たちギルドは、こういう若者のためにも、いい加減な仕事はできないんだよ」
ミランダの涙が、ポルの頬を濡らしていた。
いつもお読みいただきありがとうございます。
今回のお話は書いていてとても楽しかったですね。
ミランダさんが、いい味出してます。
さて、次回は船旅。二人は無事『西の島』にたどり着き、リーダーの期待に応えられるでしょうか。
明日へつづく。




