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ポータルズ ー 最弱魔法を育てよう -  作者: 空知音(旧 孤雲)
第4シーズン 聖樹世界エルファリア編
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第144話 聖樹世界編 第11話 四人の王女

 史郎が四人の王女と会います。

さて、何が起きますやら。

 エルフの国は、一筋縄ではいかないようです。


 俺は、城内を散策したり、王城イビス自慢の庭を見せてもらったりしながら過ごしていた。

 ナルとルルは、エルファリア製の木で作ったおもちゃで遊ぶのに夢中だ。

 コルナは、子供たちにつきあったり、モリーネとお茶したり、楽しそうにしている。

 ルルとリーヴァスさんは、エルフ製の将棋のようなものに、はまっている。俺も参戦したが、あまりに二人が強いので、すぐに脱落した。

 豊かなお茶文化があるエルファリアだから、俺はそちらに走ることにした。


 陛下が何か食べたり飲んだりするのは、一日の決まった時間に行うようにしてもらっている。

 その時間帯、俺は寝室にこもり、遠隔で食事や薬のチェックをしている。距離に関係がない点魔法だからこそできる芸当なんだけどね。

 点ちゃんは、毎日活躍する機会が多いから機嫌がいい。


 毒が盛られなくなって一週間、俺はミーネ王妃に、あるお願いをすることにした。

 それは、モリーネ姫を含め、五人の王女と一度に会わせて欲しいというものだ。

 最初、お后は良い顔をしなかったが、俺が重ねて頼むと、仕方ないという風に、許可を出した。


 ただし、病床の第二王女とは、一人だけ別に会うことになった。


 ◇


 会見当日、俺は家族と共に、王城の庭にいた。


 広大な庭の片隅に石造りのあずま屋があり、その屋根の下で王女たちと会うことになっていた。

 あずま屋の周りには、何人かの騎士が待機している。


 突然、背後の植えこみが、ガサガサ音を立てたかと思うと、白い塊が飛びだした。

 それが、リーヴァスさんにぶつかっていく。


「リーちゃん!」


 フリル付きの白いドレスを着たエルフの少女がリーヴァスさんに抱きついている。


「マリーネ様、大きくなられた」


 リーヴァスさんが、少女の頭を撫でている。

 彼の左右にいたナルとメルは、驚いた顔でマリーネと呼ばれた少女を見あげている。


「マリーネ、お行儀が悪いですよ」


 落ちついた声が聞こえると、三人の娘が姿を現した。

 最も背が高い娘はきらきら輝くエメラルド色のドレスを着ている。彼女の美貌がそのドレスの美しさでさらに引き立っていた。

 お后、つまりはモリーネ姫に、とてもよく似ている。


「リーヴァス殿以外は、初めてお目にかかります。

 シレーネです」


 先ほどマリーネという少女をとがめたのは、彼女だったらしい。


「同じく、初めまして。

 マリーネです」


 先ほどリーヴァスに飛びついた少女が、白いドレスを軽く持ちあげて挨拶する。こうして見ると、まるで別人のようだ。

 シレーネ姫の後ろに隠れるようにしているのは、第五王女だろう。


「ポリーネ、挨拶なさい」


 シレーネ姫に言われ、彼女の後ろから出てきたのは、薄桃色のドレスを着た大人しそうな少女だ。ナル、メルより、少しだけ年長に見える。


「初めまして」


 それだけ言うと、少女は再びシレーネ姫の後ろに隠れてしまった。


「もう、ポリーネは」


 モリーネ姫は、眉をひそめたが、そのままコルナの手を取り、植えこみに消えた。

 ナルとメルも、年が近いポリーネ姫の手を引くと、木立に入っていく。


 シレーネ姫の案内で、俺とルル、リーヴァスさんは、あずま屋に上がった。

 あずま屋には、壁沿いに円形にベンチがしつらえてあり、中央にはテーブルもある。

 本当は、四人と一度に話したかったのだが、こうなれば仕方がない。


 俺は、目の前にいる二人の王女、シレーネ姫、マリーネ姫との会話に集中することにした。


 ◇


「まず、モリーネを助けてくれたことに対してお礼を言わせてほしいの」


 シレーネ姫が俺の目をまっ直ぐに見る。


「妹を助けてくれて、本当にありがとう」


 彼女は、少し頭を下げる。


「お気にせず。

 成りゆきでそうなっただけですから。

 それより、陛下のことについて、お后様からお話は?」


「ええ、聞きました。

 妹に続き、父まで助けてくださり、本当にありがとう」


 今度は、リーヴァスさんにもたれ掛かっていたマリーネ姫も居ずまいを正し、頭を下げた。


「たまたま、毒に気がついただけです。

 それより、お后様から毒の話を聞いたのは、いつのことでしょう」


 シレーネ姫は、少し頭をかしげてから答えた。


「ポリーネの治療があった日だから……十日前になるわ」


 十日前というと、毒の件が明らかになった翌日だ。


「他に、このことを知っている人はいますか?」


「家族と、ほんの一握りの側近だけだと思うわ。

 公になっているなら、今頃お城は大騒ぎよ」


 それもそうだ。


「その側近の名前を、うかがってもよろしいか?」


「ええ、いいですよ。

 シローは、犯人を捕まえたいの?」


 俺は、慎重に言葉を選んだ。


「俺は、この国の人間ではありませんから、誰かを裁こうなどとは考えていませんよ。

 しかし、モリーネ姫に関わりのある方々が命を狙われているのを、黙って見過ごすわけにもいきません。

 犯人を見つけたら、後はお国に任せるつもりです」


「ふーん、そうなのね」


 彼女は、しばらく何か考えているようだった。


「妹たちを狙う一連の事件が起きて、一番疑われているのは私なの」


 シレーネは、溜めていたものを吐きだすように言葉にした。


「このマリーネが乗った馬車が崖から落ちた時も、私のアリバイが無い時だった。 

 ポリーネの時もそう。

 皆、はっきりとは言わないけれど、私を疑っているの」


「私は違うわ! 

 お姉様が、そんなことをするはずないもの!」


 マリーネ姫が興奮して、おもわず家族内での口調になっている。


「ありがとう、マリーネ。

 でも、多くの人が私を疑っているのは間違いないわ」


「シレーネさんだけ、何も起きていないんですか?」


「ええ、私は一度も襲われたことも、狙撃されたことも無いの」


 シレーネ姫は、暗い顔で俯いている。


「念のため確認しておきますが、王位継承権は、どのようになっていますか」


「第一位は母、次が私、次が二女のコリーダ、次はモリーネね」


「なるほど」


 俺は次にしたい質問を口に出そうとしたが、それを騎士の警告がさえぎった。


「姫様!! 

 お気をつけください!」


 俺が、あずま屋の外に走りでると、地面を大きな影が横ぎった。

 空か!


 見あげると、巨大な翼を持つ、トカゲのようなものが数匹、空を舞っている。

 騎士が、叫ぶ。


「ワイバーンです! 

 そこから出ないでください!」


 俺は、一旦、あずま屋の中に戻った。

 しかし、それは襲撃者の思うつぼだった。


 ワイバーンが、足に掴んだ何かを落とす。

 それが、あずま屋の屋根にぶつかったとたん、閃光を上げ爆発した。

 石造りのあずま屋がぺしゃんこにつぶれる。


 つぶれたあずま屋の上では、後から落ちてきたものが、次々と爆発した。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

さて、史郎と四人の王女との会見は、大変な事になりました。

 では、史郎達を心配しながら明日につづく。

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