朝の会
久しぶりの投稿、自分でもこの小説を忘れていたよ。
いわゆる朝礼が始まった。
「今日も一日頑張ろう。皆。宜しくな!」担任の寺内先生が、気合を入れて言った。
寺内は亜梨沙や凜花よりも若く、二年目となる先生だ。
鈍感で生徒の顔の変化も気付かない男だと愛梨や、凜花から聞いた。
「じゃあ、出席取ります。1番、遠藤 優君!」
「はい。」
先生は次々と名前を呼んだ。
「10番、木村麻友さん。」
「はい。」麻友、いやいや凜花がそう返事した。
続いて私の番が来た。
「25番、古橋愛梨さん。」
「はい。」
アイツが気づいていないのは分かるが、他の先生方も麻友が凜花だとは気付いていないらしい。恐るべし凜花。
私もバレなきゃいいな。
こんなスリルを味わうのは遊園地のお化け屋敷ぐらいだよ。
まさか、パイオニアがいたとは思わなかった。しかも、娘の友人の母が、私のライバルだったなんて。
「えぇと。今日は三、四時間目に家庭科で調理実習が有るな。期待してるぞ。俺も一応、行くからな。」
鈍感ではあるが、味覚音痴ではない寺内は、技術科担当をしているが、家庭科の免許も取得しており、いつも助手として活動しているようだ。
変なところで才能がある。
「じゃあ、今日も穏やかに過ごすように。では。」
先生は足早に去って行った。
「ねぇ、愛梨。ちょっとやつれた?」わざとらしく凜花が聞いてくる。
「えっ?何よ。どういう事?私普通だよ?逆に太ったかも知れない。」その後に中年太りと付け加えたかったが抑えた。
「じゃあ、ダイエットしなきゃ。」
「まだ受験生だから無理よ。そんな暇無い。」
「そんな暇ないって、進路決まったんでしょ?」
「もう五月蝿いわね。麻友、いい加減にしないと怒るよ?」
「分かった、分かった。早まるなよ。皆、受験で辛い思いをしてるんだ。ここで怒ったら皆、不満が爆発するぜ。」
凜花はもう懲り懲りだという顔をしていた。
「おい、皆、授業始めるぞ。」国語の大橋先生が入ってきた。
「ねぇ、麻友、何か準備するものあった?ノート、教科書、便覧以外。」
「何も無いよ。大丈夫。」
「おい、そこ2人大丈夫か?」
「あっ、大丈夫です!」
一時限目が始まろうとしていた。大橋先生の授業は難しくよく寝てしまうと愛梨から聞く。
心して授業を受けないとな。