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奴隷少女の勇者道  作者: 巫 夏希
第二章 大盗賊の子、エルール
30/40

2-20. 穢れ

 穢れていく。

 穢れていく穢れていく穢れていく。

 レミリアは自らの身体を少年に触られていくたびに、自分が穢れていくというのが解っていく。

 自分が自分でなくなっていく。それが、彼女にとって辛いのだ。

 でも、これは初めてのことではなかった。彼女にとって封じておきたかった記憶。それは忘れたかった。思い出したくなかった。彼女が母親に捨てられてしまった……悲しき記憶。その記憶を忘れたかったのに、思い出させられた。


「……どうしたの? 抵抗しないなんてつまんないよ? 胸揉まれて気持ちいいと思わないの? 最初はアウアウ喘いでいたくせに、いや、それは僕のミスだったかな? そうだったかな? ……うーん、それは覚えてないけど、けれど、ねえ? ねえ? どうしたの? 今の主役は僕だよ? もっと楽しませろよ。もっと喘げよ。もっと気持ちよくさせろよ」


 乱暴に乱暴に乱暴に乱暴に乱暴に、少年は彼女の胸を鷲掴みにする。彼女は必死に、抵抗しようとはしなかった。

 もう諦めたかった。このループをさっさと終わらせてしまおうと思っていたが、この周回は無しにしようと思っていたからだ。


「……つまんないの」


 そして、少年はレミリアを乱暴に嬲っていった。



 ◇◇◇



 彼女はゴミ捨て場に捨てられていた。彼女の目は虚ろで、どこを見ているのか解らない。

 彼女が着ている服はもはやボロ布のそれに近くて、何もつけていないに等しい。

 イヴァンはどうなってしまったのだろう。捕らえられてしまったのだろうか。

 今の彼女には、それを考えられるだけの余裕もなかった。


「ああ……もう……眠いや……」


 そう言って。

 そうつぶやいたかすらも忘れて。

 彼女は目を閉じた。








 数字がカウントされる。

 1、2、3、4……。

 そのカウントはいったい何のカウントなのか。

 5、6、7、8……。

 忘れることのできない、忘れたくないカウント。

 23、24、25、26……。

 対処法を掴めないまま、カウントが増えていく。

 97、98、99、100……。

 回数を重ねていくうちに、彼女は自然とそのカウントが『死んだ回数』であることに気づいた。

 170、171、172、173……。

 ループで学べる手段は少ない。

 なぜなら敵が同じ方法を使う可能性は殆どないからだ。

 220、221、222、223……。

 諦めたくなかった。彼女は、救いを求める人なら、助けたかったから。


「なら、立ち上がるといい。なら、勇気を持って行動するといい。いつかきっとそれは叶えられるはずだから」


 どこからともなく声が聞こえた。

 彼女は、諦めたくなかった。

 イヴァンをすくいたかった。救いを求める人をすくいたかった。

 そして、彼女は。















 ――目を開ける。


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